月村了衛 『自爆条項 上・下』他感想…

 遅くなりましたが、今回の分の紹介と感想です。

新刊
 コミックス
・末次由紀     『ちはやふる 36』         ☆3.5
・Koi         『ご注文はうさぎですか? 6』   ☆3.5


既刊
・月村了衛     『機龍警察 自爆条項 上・下』       ☆4
・藤木稟    『バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ』  ☆3
・P.コーンウェル  『証拠死体』                   ☆3.5
・D. アーモンド   『肩甲骨は翼のなごり』            ☆4
・J. ディーヴァー  『コフィン・ダンサー 上・下』         ☆3.5


感想


『ちはやふる』
 クイーン戦東日本予選準決勝・理音戦。体力も付き、死角がほぼなくなった理音に苦戦する千早と、相変わらずドM 戦法な太一。今後は、どうにか千早がクイーン戦進出、東西代表決定戦で新と太一が一先ず雌雄を決するんでしょう。周防さんとの名人戦はおまけになりそうですが(苦笑)。とは言え、まだあと数巻以上はかかるでしょうからまだまだ楽しめそうです。

『ごちうさ』
 青山担当編集・凛さんが、本格参戦の模様。ハロウィーン~クリスマスまでの秋冬イベント回。

『自爆条項』
 「機龍警察」シリーズ続編。 今回は特捜部の三人のうち、ライザに焦点を当てた話となっています。 彼女が如何にしてIRF(IRAの武闘派分派という設定の模様)所属のテロリストから、現在の日本の警視庁の特捜部入りを果たしたのか。
 スケールが前回よりも拡大しましたが、ストーリーは薄まるどころかより詰まっていて素晴らしかった。濃ゆいです。そして、SFに偏り過ぎず、警察小説作法に偏り過ぎず、絶妙な読みやすさの作品に仕上がっているところもまた素晴らしいです。
 続編が読みたいところですが、まだ文庫化されていない模様。出来れば文庫で集めたいので、待ちでしょうか(我慢できずに単行本で買うかもしれませんが)。

『千年王国のしらべ』
 シリーズ4作目。 今回の調査は、イエス・キリストと同じく、死して後3日に復活したとされるアントニウス神父の調査。「よくまぁ、こんなにネタが浮かびますね」と感心します。キリスト教に関する知識や科学的知識の扱いが上手。オカルトに堕していないところが良い。 次巻以降も買いました。

『証拠死体』
 「ケイ・スカーペッタシリーズ」の第二作。今回は、殺人を示唆している恐喝者を自ら招き入れたとしか思えない状況で殺害されていた女性作家の事件を、科学捜査を駆使して追う。 マリーの警部補とケイとのやり取りが、夫婦漫才のようで面白くて好きです。

『肩甲骨は翼のなごり』
 ファンタジー作品。児童書とのことですが、創元推理文庫から出版されています。 引っ越したばかりの古い家のボロボロのガレージの隅で出会った「彼」と隣の家の少女ミナとの、不思議な体験を描く。 「彼」ことスケリグの背中には翼のようなものが…。
 読後は、懐かしい気分や優しい気持ちになれること請け合い。是非読んで、主人公マイケルの一生懸命さ・健気さに胸を打たれ、ミナの子供らしからぬ物言いに度肝を抜かれたり、スケリグの謎に思いをはせましょう。
 「旨し糧。神々の神酒。」、「27番と53番」。

『コフィン・ダンサー』

 「リンカーン・ライムシリーズ」の第二作。「コフィン・ダンサー」と呼ばれるプロの殺人犯による証人殺害を防ぐべく、ダンサー逮捕にライムとサックスのコンビが挑む。
 ダンサーとライムの知力を尽くした勝負が一番の見どころ。全編通して二人の駆け引きに痺れます。保護対象の証人パーシーの胆力にも目を見張ります。序盤は分を弁えない身勝手な言い分にイライラしたこともありますが、終盤は応援していました。
 今回は、最後に色々と趣向が凝らされていてそちらも面白かったです。ミステリーとしては禁じ手の部類かも知れませんが、あまり気にはなりません。



 今回はこんなところです。
 いつもより少ないのですが、他に福沢諭吉『学問のすゝめ』、新渡戸稲造『武士道』などを読んでおりました。『証拠死体』なども厚かったので、少々時間を取られました。
 『学問のすゝめ』、『武士道』ともに一読をお勧めします。もっと早く読んでおくべきでした。


 それではまだ次回。
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櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 水無月のひとしずく』他感想…

 それでは、今回の分の紹介と感想です。どうぞ。

新刊
・櫛木理宇        『ホーンテッド・キャンパス 水無月のひとしずく』     ☆3.5

 コミック・ラノベ
・九曜           『佐伯さんと一つ屋根の下 3』      ☆3
・鏡貴也・山本ヤマト  『終わりのセラフ 15』            ☆3.5

既刊
・月村了衛        『機龍警察〔完全版〕』        ☆4
・道尾秀介        『シャドウ』               ☆4
・――           『水の柩』                ☆4
・――           『向日葵の咲かない夏』       ☆3.5
・藤木稟         『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』  ☆3.5
・芥川龍之介      『奉教人の死』              ☆4
・石持浅海        『君の望む死に方』           ☆3.5
・久世光彦        『聖なる春』               ☆4


感想


『ホーンテッド・キャンパス』

 とある事情から「恋人のふり」をすることになった森司とこよみの、むやみやたらな初々しさに心を折られる巻(笑)
 今回は三篇。背表紙のあらすじに「依頼は禍々しさを増していた」とかありますが、いつも通り。収録作中では、行方不明になった中学生を探す話「罪のひとしずく」が良かった。

『佐伯さんと~』

 交際が始まって初めての夏休み、にもかかわらず特に何もなかった二人でした。その割に休み明けの若干唐突な、すれ違いイベントがあったりと、イマイチ盛り上がりに欠けるきらいあり。駆け足気味なのは、大人の事情でしょうか(売上的な)?

『終わりのセラフ』
 久しぶりの新刊。暮人のクーデターの顛末と、グレンによるいくつかのネタばらし。 二人(?)の四鎌童子とか、気になる話もちらほらと。キ・ルク戦は次巻。

『機龍警察』
 若干のSF要素とテロリズムが蔓延した近未来を舞台にしたSF警察小説。 『攻殻機動隊』ほどSFしておらず、『パトレイバー』や伊藤計劃作品がイメージとしては近いかと。
 警察小説・ミステリー小説的な要素もしっかりしており、SF要素は作品の彩りの一つぐらいの位置づけ。話の展開のテンポもよく、どんどん読まされた。 シリーズものなのでこれからどんどんスケールなども大きくなっていくのでしょうが、楽しみ。

『シャドウ』
 母の死後、後を追うように幼馴染の母親が自殺。それを皮切りに周囲に次々と不幸が舞い降りる。父とのささやかな幸せを願う少年がたどり着いた真相とは…。
 丁寧に巧まれた作品。作者の企みもそうだが、作中のある人物の決意と実行力にも感嘆する。タイトルの「シャドウ」は「影」ではなく、心理学用語。

『水の柩』
 家族小説、再生の物語。 主人公・逸夫(いつお)の祖母が吐いた「嘘」、同級生の敦子の「嘘」。二つの嘘が交差するとき、彼らのささやかだけれど確かな癒しが訪れる。
 単純に「イイ話だなぁ~」で終わってしまわないところがいいところ。現実を抉っていく深さがきちんとあるから、結末の救いと感動があるのかと。

『向日葵~』
 こちらは道尾さんの一番売れた(?)、有名作。ミステリー作品。
 が、個人的には上の二作品の方が面白く感じた。作品世界のシュールさを置いておけば、二転三転する話の展開は面白くはあった。終盤の展開というか明かされたタネは頂けなかった。割と禁じ手。

『バチカン奇跡調査官』
 シリーズ第三巻。今回は「首切り道化師」の伝説と、角笛の音が満ち光に包まれる協会の奇跡の調査。
 個人的には、このシリーズの面白さは奇跡の謎解き部分なので、いつもそれ以外は割と…。このシリーズでもフィクサーみたいな人物が登場するのですね。角川ホラーの編集さんは、ホームズとかが好きなのか? 私はそういう黒幕的なものは嫌いだし、興ざめなので、出てくるとウンザリします。
 『櫻子さん~』シリーズは、ウンザリしたので二作ぐらい前から購入ストップ中です。

『奉教人の死』(新潮文庫)
 表題作を含めた、芥川のいわゆる「きりしたんもの」を集めた短編集。表題作『奉教人の死』は何度読んでも素晴らしい名作ですが、今回読んだ中では、「報恩記」、「煙草と悪魔」などが面白かった。
 「報恩記」は、押し売り気味ではあるが自己犠牲精神を題材にした作品。『奉教人の死』にも通じるか。
 「煙草と悪魔」は、煙草伝来の話に材を採った、キリストの教えという善と煙草に代表させた悪の同時伝来を皮肉交じりに語った話。
 他の収録作も面白い。

『君の望む死に方』

 『扉は閉ざされたまま』に登場した碓氷優香の推理が冴えるミステリー作品。 社員に自らを「殺させようと」奮闘する社長の「最後の数日」を、サスペンス形式で描く、珍しい趣向の作品。 碓氷さんは、相変わらず壊れていてそこも良かった。
 ただし、殺されるのをまだかまだかと待ち焦がれる描写を延々観させられるのはなかなか退屈かもしれない…。

『聖なる春』
 土蔵に引きこもり、クリムトの贋作を書き続ける「私」と、不幸の香りをまとった女性キキとの、交流と愛の軌跡を描く奇譚。
 非常に面白かった。登場人物は、私とキキ、フランソワとキキの母ぐらいしかいないのに、作品の広さと深さはなんだろう。作品に終始漂う退廃の気配も、鬱屈とはしていないから、読んでいて嫌味がない。
 他の作品も読もうと思う。 唯一の難点は、クリムトの作品をカラーで収めるために作中に二枚挟まっている種類の違う紙のせいで若干読み辛いこと。


 他にも岩波文庫で読んだK. チャペック『ロボット (R. U. R.)』も良かった。「ロボット」という言葉を世界に送り出した作品。ロボットもの作品の要素のほぼすべてが詰まっている。

 それではまたノシ

森博嗣  『ペガサスの解は虚栄か?』 他感想…

 溜まり具合に合わせたので変なタイミングでの更新ですが、よろしくお願いします。
 それでは、今回の分の紹介です(;´・ω・)
 

新刊
・森博嗣       『ペガサスの解は虚栄か?』     ☆3.5
・北村薫       『太宰治の辞書』           ☆3.5

コミックス・ラノベ
・丸戸史明      『冴えない彼女の育て方 13』   ☆4.5
・川上稔        『境界線上のホライゾン 10上』  ☆4
・濱田浩輔      『はねバド! 11』           ☆4
・赤坂アカ       『かぐや様は告らせたい 7』    ☆4

既刊
・北森鴻       『緋友禅 旗師・冬狐堂』         ☆4
・神林長平      『七胴落とし』                ☆4
・歌野昌午      『新装版 動く家の殺人』         ☆4
・殊能将之     『鏡の中は日曜日 樒/榁』        ☆4
・機本伸司     『卒業カノン 穂瑞沙羅華の課外活動』 ☆3.5


感想


『ペガサスの解は虚栄か?』

 Wシリーズの最新刊。スーパーコンピューター・ペガサスから、疑似受胎機能を搭載したウォーカロンが逃走している可能性を提示されて出向いた先に待っていたものは…。
 良くも悪くもシリーズものの一作といったところ。今回はハギリの身辺の人間関係が少し変わった事ぐらいしか見どころがないかもしれません。そろそろ動きが欲しいところ。

『太宰治の辞書』

 まさかまさかの「円紫さんシリーズ」の最新刊。 『朝霧』で<私>が社会人として独り立ちしたところで完結したものと思っていたので、続編が読めるとは望外の喜び
 今回は、芥川・三島・太宰、三人の文豪を巡る<私>の探求の旅。書物と言葉を巡る考察と推理の妙は、変わらず面白い。が、シリーズでも時間を経過させているために、〈私〉と円紫師匠との関係もまた変化してしまっているところが、二人の関係性ややり取りが好きだった者としては少し寂しく感じた今回でした。〈私〉がおばさんに……。

『冴えない彼女の育て方』
 シリーズ完結巻。お疲れさまでした。
 話そのものは全巻までに完結しているので、今巻は最終巻なのにエピローグ。二人のイチャイチャっぷりを堪能してください(壁を殴りたくなること請け合い)。ゲーム作りや諸々の話題も回収して一応きれいに終わったのではないでしょうか。
 番外編なんかが今後出るかもしれないようなので(あとがき)、それはそれで楽しみかも。

『ホライゾン』
 捕まったら戦争の鬼ごっこ(「伊賀越え」の再現)でした。羽柴勢と武蔵勢との直接対決がいよいよ始まるわけですが、どう決着するのか想像できませんね。というか、後二巻(中・下)で終われるのでしょうか…? 最厚記録を更新するのか!
 今回は最後に爆弾が投下されたわけですが、それを読んで思いました。福島の父親は誰だろうか、と(○○の旦那になる人物)。糟屋の胸は隔世遺伝か、と。

『はねバド』
 狼森戦の決着と、三強の一角・益子戦の開始。選手として格上の益子相手に、どう立ち回って勝利をつかむのか楽しみです。もちろん負けるという展開でもいいですが、それはそれで話の作り方が難しそうです。
 綾乃Vs.益子の裏でひっそり行われている、なぎさVs.コニーの試合も気になる(本誌掲載)。

『かぐや様』
 生徒会選挙編。新キャラ・伊井野ミコ登場。柏木さんが巻き込まれて恥ずか死ぬお話も。
 今回のカバー下は、なぜか錯視…。なぜだ? あと、柏木さん被害者の会第一号の女子に6巻ぶりに台詞がありました。

『緋友禅』
 蓮杖那智シリーズにも登場する、冬狐堂さんを主人公に据えた古美術ミステリー。
 海千山千の世界を身一つで渡っていく冬狐堂さんの活躍を目にできます。蓮杖那智シリーズでは、スポット参戦で紙面での活躍の場面は限られていましたが、こちらでは十二分に堪能できます。 もう一編あるようなので、そちらも読もうと思います。

『七胴落とし』
 思春期までの人間が感応力(テレパシー)を持つ世界で、思春期の危うさを描くSF小説。 SFという要素を抜きにしても、思春期の孤立感、死への希求といったあの時期特有の揺らめきを描き、青春小説、思春期を描く小説としても成立している名作
 話はズレるが、『氷菓』の折木奉太郎の本棚にはこれが入っているそうな。イメージに合わないがw
 ※↑は、立ち読みした米澤穂信さんを特集したムック本に紹介されていた。

『動く家の殺人』
 信濃譲二シリーズ第三作。色々なところに仕掛けが施されていて、一筋縄ではいかない作品。読みやすい作品だが、犯人当てをしようと読むと引っ掛る。作者は『葉桜の季節に君を思うということ』の作者さんだということに気を付けましょうw

『鏡の中は日曜日』

 同時収録の「樒/榁」は、本編のサイドストーリー・後日譚の短編。
 前作『黒い仏』が悪い意味でぶっ飛んでいたので不安で今まで手に取らなかったのですが、今作は正統派の推理もので一安心。時を超えて二人の探偵によって解かれる謎という設定、巧まれた構成とどんでん返しで楽しませてくれました。

『卒業カノン』
 名作『神様のパズル』のスピンオフ・シリーズ最終巻。 紆余曲折を経てたどり着いた、ワタさんと沙羅華、二人の未来は…。
 とまぁ、最後に二人がどうなったのかが気になって買いました。個人的には、一連のスピンオフ作品があまり好きではなかったので、刊行から4カ月経った今更の読了という訳です。『神様のパズル』の様なドキドキ・ワクワク感が、スピンオフ作品ではほとんどなかったので楽しめなかったのです。
 とりあえず、二人の関係は遠回りして、やっと落ち着くべきところに落ち着いた感じです。頭のいいツンデレってメンドクサイですね。


 今回はこんなところです。
 シャーリー・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』チャペック『ロボット(R. U. R.)』など、色々買ったのでそちらを読んでいきます。楽しみだ。
 
 それではまた次回。

有栖川有栖 『鍵の掛かった男』他感想…

新刊
・有栖川有栖        『鍵の掛かった男』     ☆4

ラノベ・コミックス
・あざの耕平        『東京レイヴンズ 15』    ☆3.5
・羽海野チカ        『3月のライオン 13』     ☆4


既刊
・今邑彩        『金雀枝荘の殺人』         ☆4
・大塚英志       『木島日記』             ☆3
・ヴァン・ダイン    『僧正殺人事件』           ☆4

・萩尾望都       『ポーの一族 1∼3』         ☆4.5
・辻灯子        『敗者復活戦 1・2』         ☆3.5


感想

『鍵の掛かった男』
 火村シリーズ文庫化最新刊。 シリーズそのものの最新刊は先頃出てますが、未読です(タイトルは忘れました)。
 今作は、いつもとは異なる趣向で書かれており、WHO-DONE-ITの犯人当てがメインではありません。
 大阪市内・中之島のホテルの一室で死んだ梨田稔という男性の死に不信を抱いた人物からの依頼で捜査が始まるのですが、この梨田という男性の過去・素性のほとんどが不明という言わば「鍵の掛かった状態」。そこで梨田の素性調査から始めるのだが、そこで明らかになる凄絶な過去とは……。 とまぁ、いわば「被害者探し」からの犯人探しという構成になっています。
 構成の妙による面白さのほか、前半で語られる大阪うんちくというか、「大阪探訪」とでも言うべき部分、梨田という人物の謎、終盤で煌く火村の推理の切れ味と、見どころ満載となっています。他にも、多くの登場人物によって一つのものが語られていく形式の構成も面白いです。事件の真相の救いの無さも中々でしたが…。
 ただ、本編が文庫700ページを超える大長編なので読むのが大変ですが、難点はそれぐらいです(苦笑) 

『東京レイヴンズ15』

 久々の本編新刊です。今巻と次巻ぐらいで、本編終了なのかと思っていたら、今回は過去編でした。
 夜光と相馬一族の出会いがメインとなっています(なんちゃって大蓮寺家もw)。過去の因縁の一端が明らかになった感じですが、夜光が「失敗」したという大戦末期の泰山府君祭はまだ書かれていないので(物語の核心部分)、もう一巻ぐらい過去編に使うのでしょうか。色々大変だったようですが、作者さんには頑張って完結させて欲しいです。

『3月のライオン 13』

 今回の主人公は坊(ぼん)と滑川さん(死神さん)です。
 二階堂が宗谷との対戦で見せた、気迫、見事な試合にみんなが影響を受けていく。二階堂は、カッコいい。ところで、前半は12巻の夏祭りで突如巻き起こった、林田先生と島田さんによる恋模様の続きが描かれておりますが、何とも言えない感じw どっちも頑張っていただきたい。
 ところで、田中さんは何時まで心の声でスミスと会話するんでしょうか(笑)
 
『金雀枝荘の殺人』(えにしだ荘の殺人)
 ミステリー。 一年前に起こった密室状態の館での殺人事件の謎を解くべく、集まった6人の男女を待っていたものは。
 犯行動機のもととなる因縁、トリック、謎解き、どれも素晴らしく、一気に読みました。どれもオーソドックスではあるのですが、ホラー要素に彩られて、さらに面白いものになっています。

『木島日記』
 民俗学者折口信夫(おりくち・しのぶ)を主人公に据えた、民俗学伝奇小説。ですが、民俗学テーマの小説でもなく、純粋な伝奇小説でもなく、どちらかといえば、イロモノ小説といったいかがわしさをぬぐい切れませんでした。どこに面白さを感じればよいか困る作品。イロモノ感が作者の意図するところであったのなら、図に当たっているのかも。

『僧正殺人事件』
 有名ミステリー作品。 マザーグースに材を採った見立て殺人テーマのミステリーの元祖(違っていたらすみません)。
 『グリーン家殺人事件』と双璧をなす著者の代表作の一つですが、個人的にはこの『僧正殺人事件』の方が面白かった。連続する見立て殺人事件の気味悪さと、それに挑む名探偵ファイロ・ヴァンスの推理と犯人の追い詰め方が圧巻
 古典的名作は、名作と呼ばれるだけあって、良いですね(たまにハズレもありますが)。

『ポーの一族』
 『トーマの心臓』を読んだので、今回は『ポーの一族』です。 
 言うまでもなく、萩尾望都さんの代表作の一つ。永遠の時を生きる美しきバンパネラの一族の伝説を描く。長編漫画ではなく、連作短編集。永遠に生きるがゆえに一所に留まれないエドガーたちバンパネラの、行く先々での出来事を描く。どの話も素敵な言葉で飾られた、一編の詩のような作品。
 先頃刊行された、続編も気になるところ。 なお、主人公たちの名は「エドガー」と「アラン」。ということは…。

『敗者復活戦』
 立ち読みで気に入って買った作品。
 古書店を舞台にした若干百合系の日常系4コマ漫画。美人で出来る人だけどどこか抜けている月穂さんと、アルバイトの女子高生、おバカな子ニーナと保護者兼親友の夕記たちの、掛け合いを楽しむ作品。古書店ウンチクも面白いが、力を抜いて楽しめるのがいいところ。



 今回はこんなところです。
 『東京レイヴンズ』は、実は先月末の刊行だったりしますが、新刊の方にしました。
 最近は積ん読本が増えてるので、頑張って消化していきたいと思います。山脈になっているw
 
 それではまた次回。

乾緑郎 『機功のイヴ』 他感想…

 それでは今回の分の紹介です。

新刊
・乾緑郎      『機功のイヴ』        ☆4
・森博嗣      『サイタ×サイタ』      ☆3.5
(ラノベ)
・葵せきな     『ゲーマーズ DLC』     ☆4


既刊
・泡坂妻夫     『乱れからくり』        ☆4
・森博嗣       『カクレカラクリ』        ☆3.5
・中田永一     『百瀬、こっちを向いて』   ☆3
・北森鴻      『凶笑面』            ☆4
・――        『触身仏』            ☆4
・――        『写楽・考』           ☆4
・――        『邪馬台』            ☆4
・――        『天鬼越』            ☆4


感想

『機功のイヴ』
 SF・伝奇作品。 江戸時代に似た架空の世界を舞台にした、オーバーテクノロジーの結晶であるアンドロイド・イヴを巡る物語。
 時代小説とロボットという異色の組み合わせながら、とても面白い物語に仕上がっていた。スチームパンクものに雰囲気は近いかも(歴史のIF的なものを扱っているという意味では)。
 話としては、イヴの存在の謎を巡ってのアレコレの話です。終盤(最後の二編)は話が大きくなってしまってイマイチでした。前半のようなスタイルで通してほしかった。決して面白くないわけではないのだが、唐突な感じが否めなかった。
 イヴが非常に人間臭くて可愛い。2話以降登場することになる箱への愛着とか。『攻殻機動隊』のシャチョーを思い出したり。


『サイタ×サイタ』
 「Xシリーズ」の最新刊(文庫化の)。 小川たちのもとに舞い込んだ依頼人・目的不明の素行調査と、巷を騒がせる連続爆破事件との関連性とは。
 今回も(だったかな?)登場の真鍋君の同級生、永田さんがいい味出してます。あの絶妙なおとぼけキャラが素敵。というか、このシリーズのキャラクターたちの掛け合いは面白い。推理ものとしては弱いですが、作品としては楽しめるこのシリーズ。

『ゲーマーズ DLC』
 今回は、番外編。本編とは違うところでせっせとフラグを立てる主人公のお話(笑)。 『今巻のクリア報酬は、主人公専用装備「大型地雷」』(折り返しの作者コメント)。
 外伝ということで新キャラが登場しています。外伝でもすれ違い錯綜コメディを展開していて、最高です。本編とどう絡んでいくのかはまだわかりませんが、続きも気になるところです。外伝は、本編5~7巻当たりの裏側という時間設定の模様。

『乱れからくり』

 ミステリー作品。ねじ屋敷の主馬割家、奇禍が相次ぐ彼らにいったい何が起きているのか。馬割家に秘められた謎とは何か。
 タイトルの通り、作中にちりばめられたからくりの数々(ミステリーとしての仕掛けも含め)を楽しめる作品。ただ、終盤の大時代が買った趣向は人によって好みが分かれるかもしれません。
 個人的には、最後に明らかになった事件全体の構造が好きでした。京極夏彦『絡新婦の理』のような、ああいった構想の事件物が好きです。

『カクレカラクリ』

 こちらも絡繰りをモチーフにした作品。タイトルからすると↑に触発された部分もあるのかしらん。
 村内に隠されたという天才絡繰り師の手にによる絡繰り。その仕掛けが今年動き出すというのだが、その詳細は誰も知らない。「カクレカラクリ」の所在と制作目的を探るべく、廃墟マニアの大学生と、彼らの同級生姉妹がその謎に挑む。
 こちらは、隠された絡繰りの所在を巡る謎を解くことがメイン。あと、裏表紙にもありますが、森作品には珍しい純粋な青春ミステリーとなっています。

『百瀬、こっちを向いて。』
 表題作が何年か前に話題になった作品。 恋愛短編小説集。表題作を含めて4編。
 個人的には、表題作よりも「キャベツ畑に彼の声」、「小梅が通る」の二編の方が好きだった。
 「キャベツ畑に彼の声」は、女子高生と覆面作家をしている国語教師の交流を描いた作品。じれったい恋の行方と結末がよかった。「小梅が通る」は、恵まれた容姿のゆえにチヤホヤされることが嫌で、普段はブスメイクをしている少女と、軽薄な少年との恋物語。
 表題作は、最終段落だけ読めばいいような気がする…。


『凶笑面』、『触身仏』、『写楽・考』、『邪馬台』、『天鬼越』

 北森鴻による「蓮丈那智フィールドファイル」と名付けられた伝奇シリーズ。民俗学をモチーフにしたミステリーシリーズ。
 『邪馬台』のみ長編作品で、他は短編集となっている。なお、作者の北森氏は連載途中で急逝されたため、『邪馬台』の途中からパートナーの浅野里紗子氏により書き継がれており、以降連名作品。
 いずれの作品も、民俗学的な謎解きとミステリー的な謎解きが併存しており、二つの切り口から作品を楽しめる。ただ、横溝作品のように民俗的な事象と事件とを融合させた事件であることは少ない(昔ながらの因習が~的な)。
 なお作中では、主人公・蓮杖那智による興味深い民俗学的見解が披露されているものの、所謂学会的な学説との整合性の如何は私の知識不足のため不明ですが、その発想の豊かさはとても興味を惹かれるものでした。
 星野さんの『宗像教授伝奇考』シリーズと似た雰囲気の作品です。

 ただ、読んでいて気になったのは作中での「民族」という語彙の使用法です。誤用・乱用で、イマイチその範囲が分かりにくいと感じました。「製鉄民族」って何よ…。「製鉄技術集団」とかと言ってくれた方が分かりやすい。


 今回はこんなところです。
 それではまた。
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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