三浦しをん『神去なあなあ日常』 (徳間文庫)

神去なあなあ日常 (徳間文庫)神去なあなあ日常 (徳間文庫)
(2012/09/07)
三浦しをん

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 三浦しをんさんの『神去なあなあ日常』です。
 昨日5月10日から実写映画『Wood Job』として公開されていますね。

評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 平野勇気、18歳、高校3年生。間近に迫った高校を卒業したらフリーターで食べていこうかと考えている、どこにでもいそうな普通の高校生。
 しかし卒業式の日、担任に何故だら就職先として三重県での林業の現場を薦められ、というか就職を決められ、あれよあれよという間に勤務地である三重県の山奥に連れて行かれることに。連れていかれた神去村は、携帯も通じない山奥の小さな山村だった。
 自然豊かな山村でまきおこる、新人林業社員と個性豊かな人々が繰り広げる騒動記。

感想
 実は管理人、三浦しをんさんの作品はこれが初めてです。『舟を編む』も実は未読だったりします(^_^;)
 そんな初美浦さん作品でしたが、非常に楽しめました。
 林業をテーマにした職業小説でしたが、エンターテイメント性があり、小説として十二分に面白い作品でした。もちろん林業を知らずとも楽しめますよ~。
 
 もちろん職業小説ですので、「林業」という職業についても詳しくなれます。林業の現場の過酷さや、必要性、やりがいなどを知ることができます。もちろん理想ばかりではなく、安価な海外産材木に押されて衰退傾向にある日本林業の現状なども書かれています。
 緻密な職業描写に、三浦さんの丁寧な取材の跡をうかがうことができます。

 舞台となる「神去村(かむさりむら)」は、「なあなあ」精神が息づいたのんびりした村ですが、謎もたくさん。ちなみに「なあなあ」は、村の言葉で「ゆっくり行こう」とかいう意味の言葉ということになっています。沖縄の「なんくるないさ」みたいなものでしょうか。

 そして主人公の勇気が務めることになる、「中村林業株式会社」の面々も個性的です。
 社長であり、村の総代でもある中村精一(なかむらせいいち)。30代と若いのに重圧をものともしない人。
 社長の幼馴染でもあり、野生児、飯田与喜(いいだよき)。林業をするために生まれてきたような男。
 田辺巌(たなべいわお)、子どもの頃神隠しにあったというおじさん。
 小山三郎(こやまさぶろう)、74歳なのに現役の山師。

 主人公の勇気くんですが、最初は横浜出身という都会っ子らしく田舎である神去村を疎んじ、村の行事などを時代錯誤の非合理的なものとしてバカにしたりしています。
 本作は職業小説であるとともに、この勇気くんの成長小説でもあると言えます。
 林業という職業を通して自然に、村の人々に触れ、関わっていく中でどのような変化が勇気くんの中に起こっていくのかも楽しみの一つです。

 もう一つ、勇気くんと直紀さんとの恋模様も気になるところですw
 直紀さん、いわゆるクーデレ(クールだけど、デレると可愛い)人間なので、頑張って欲しいです。本作の続編となる、『神去なあなあ夜話』では多少の進展が見られますので、このまま頑張って欲しいものです。
 さらなる続編が見られるのかは分かりませんが、期待してます。


 彼らこの作品の登場人物を通して、自然と人間の関わり方、あり方みたいなものをもう一度立ち止まって考えてみるのもいいかもしれません。
 もちろん今ある生活、文明を棄てて自然に回帰しろなんてことは、言いませんし三浦さんも言わないでしょう。
 ですが、急がずに「なあなあ」の精神で立ち止まって考えることは有益かと思います。


 話は変わりますが、実写映画『Wood Job』の方も気になりますね。面白いといいですが、時間とお金に余裕があれば見に行こうかな。

神去なあなあ夜話神去なあなあ夜話
(2012/11/28)
三浦 しをん

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小野不由美 『黄昏の岸 暁の天 十二国記』 (新潮文庫)

黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)黄昏の岸 暁の天 十二国記 (新潮文庫)
(2014/03/28)
小野 不由美

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 今回は小野不由美さんの『十二国記』です。 もはや説明不要の名作ですね。
 とは言え、管理人が読みだしたのは最近のことですのであまり偉そうには語れませんが(^_^;) シリーズの他の作品は読み終わっていたのですが、最近『黄昏の 岸暁の天(そら)』を読み終わりました。
 実は発売日に手に入れてはいたのですが、忘れていました…orz
 そんな訳で感想を書きますw

評価(☆5が満点)
☆4.5

あらすじ
 周囲の人間や環境に違和感を感じつつも普通の女子高生として暮らしていた陽子(ようこ)の前に、「ケイキ」と名乗る人物が突然現れる。彼は陽子の前に跪くと、陽子を異界へと連れ去った。陽子が連れ去られた世界は、それまで暮らしていた世界とは全く異なる異形の獣らが跋扈する異界だった。
 故郷への思いを胸に様々な困難を乗り越えようとする陽子の前に、やがて途轍もなく過酷な運命が提示される。すべては途轍もない「決断」への幕開けにすぎなかった。(シリーズ一作目『月の影 影の海』あらすじ)


感想
 ファンタジーであるはずなのに、圧倒的なリアリティを感じさせる名作です。
 お話自体は異世界ものという一般的な素材ですが、小野さんの筆力によって「生」が吹き込まれています。ゲームやライトノベルのような仮想現実感は、殆ど感じられません。それは小野さんが登場人物たちをしっかり描いているからであって、圧倒的な存在感を持って読んでいる人間に迫ってきます。
 単純な善悪や、勧善懲悪、成功の物語ではなく、迷い悩みながらも自分たちの足で進んでいく「人間」のお話です。

 さて『十二国記』では、各巻毎に主人公となる人物、国が変わります。
 タイトルにもあるように、この世界には十二の国があり、各国には国王が存在します。
 国王となるべき人物は麒麟によって選定され、国家を統治します。麒麟に、ひいては天に選ばれた王は不老不死となり統治を行いますが、「道」を逸れた統治を行うなどした場合天意を失い死亡します。また首をはねられるなどすれば死亡するため、完全な不死ではありません。

 基本的に、シリーズ各作品とも一国の王の即位までの話、ないし即位後の話となっています。ただ一作目の主人公である陽子は、例外的に複数作で主人公となっています(『月の影 影の海』、『風の万里 黎明の空』、『黄昏の岸 暁の天』など)。『黄昏の岸 暁の天』などは李斎が主人公とも言えますが。

 ですので一作目から読んで、陽子が気に入ったのなら陽子が主人公の話を選んで『月の影 影の海』のその後の話を追いかけるということもできます。他方他の国の話を読みたいと思ったのなら、別作品を読む。といった読み方をすることもできます。管理人は陽子を追いかけて読みました(笑)

 また作品ごとの書き方も工夫されていて、ファンタジー、ロードノベル、ミステリー要素を持つものなど様々な演出方法で物語が語られていることも本シリーズの特徴だと言えると思います。

 短編集も含めて多数の作品が出版されている本シリーズですが、個人的なおススメは六作目『図南の翼』です(『魔性の子』を除いて、上・下巻構成のものは一作として数えています)。
 
 この作品は、「恭」という国の話です。主人公となるのが、珠晶という12歳の少女です。恭国では王が倒れて国が乱れているにもかかわらず、大人たちは人任せにして自分が王になろうとはしない。そんな大人たちを見限った珠晶は、自ら王になることを決めて旅に出ます。
 この作品では、この珠晶が王に即位するまでの苦難の旅路を描いたものになっています。

 んで、この珠晶が小気味いい性格をしているのですよ。即断即決というか、空竹を割ったような性格をしていて気分がいい。我儘というか世間知らずでもあるんですが、それを補って余りある魅力的なキャラクターです。
 『図南の翼』もぜひ読んでみてください。

 他の作品や登場人物たちも色々書きたいところですが、長くなりすぎるのでこの辺にします(^_^;)
 それぐらい、この小野不由美さんの『十二国記』は面白い作品だと思います。大人でも十分、いえ、十二分に楽しめるファンタジーだと思います。
 シリーズ内の他の作品も、その内に別記事で紹介するかもしれません。


月の影 影の海(上) 十二国記 (新潮文庫)月の影 影の海(上) 十二国記 (新潮文庫)
(2012/06/27)
小野 不由美

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月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)月の影 影の海(下) 十二国記 (新潮文庫)
(2012/06/27)
小野 不由美

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図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)
(2013/09/28)
小野 不由美

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