柴村仁『ノクチルカ笑う』 (講談社文庫)

ノクチルカ笑う (講談社文庫)ノクチルカ笑う (講談社文庫)
(2014/10/15)
柴村 仁

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 前回更新時にもう一つ「由良シリーズ」があるという様な事書きましたが、こちらがその作品になります。
 前回はタイトル等を忘れていたので、改めて紹介します。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 「死体って、光るのかな」。
 文化祭の準備中、お化け屋敷の人形を見て呟いた女子生徒の一言を沖津(おきつ)は聞き逃さなかった。他人をいじること、陥れてそれを見ることが趣味のイケメン沖津は、その人形を作った美術部の真名井(まない)が何かを知っていることに勘付く。

感想
 これ、「由良シリーズ」って名付けていいのかと思いましたw
 いや由良君は美術教師にちゃんとなってこの学校に着任しているのですが、ストーリーにほとんど絡んでないし。「居ますよ~」とばかりに最後の方になってやっと出てきただけですし。
 ちなみに由良君は、前作「セイジャの式日」で教育実習生をやっていたので作品の最後での約束を守ったんだなぁ、とちょと感慨に浸ったりw


 本作自体は、前述の通り由良君はあまり絡まないにもかかわらず、シリーズの他の作品と同じ空気感を持った作品。
 すっきりとしたわかりやすい文章で、淡々と語られていく物語です。淡々と言いましたが、「山なし谷なし落ちなし」という訳ではありません。
 魅せるところはきちんと魅せてくれます。

 帯にありましたが、「ごくありふれた高校生活から、ちらりと顔を覗かせる不気味な歪み」を描き出した作品です。ミステリーというよりは青春小説の感が強いです。
 『プシュケの涙』とはその意味では毛色の違った作品になるでしょうか。まぁ、日常の謎解きミステリーではありましたが。
 ちなみに、ミステリー的な「してやられた感」はありません。

 光る死体の謎が、本編にあまり絡んでこなかった点はちょっと残念でした。おまけのような扱いでした。
 肝心のメインの事件となるものは、文化祭の準備期間中に起きた妨害事件ということになるでしょうか。それにまつわるあれこれの一つとして、光る死体の謎が出てきます。
 ちなみに殺人事件は発生せず、死体が登場することはありません。
 
 コミカルにというか、軽く扱おうと思えば扱える題材を良くも悪くも「真面目に」扱っているのがこのシリーズのいいところですよね。
 米澤さんの「『氷菓』シリーズ」、似鳥さんの『訳あって冬に出る』などとか、同じライトミステリーでありながらそうしたライトミステリーとは雰囲気を異にする作品です。
 あ、一応書きますが個人的にはどちらも大好きです。


 作者の柴村さんはこうした青春モノというか、高校生ぐらいの年代の子を中心に据えたお話が得意なようですし、今後も続けて書いて行って欲しいと思います。甘くない青春小説というか、現実を見据えたストーリーというのか、しっかりと地に足のついた話を今後も書いて欲しいですね。
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