紫村仁『プシュケの涙』 (メディアワークス文庫)

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)プシュケの涙 (メディアワークス文庫)
(2010/02/25)
柴村 仁

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 夏休み、一人の少女が校舎の4階から飛び降りて自殺した。 彼女は何故飛び降り自殺をしたのか?
 謎を探るため、二人の少年が動き出した。 一人は少女が飛び降りるまさにその瞬間を目撃したという少年、榎戸川(えどがわ)。最近うまくいかないことばかりで鬱々とした学校生活を送っている受験生。もう一人は、「変人」として有名な由良彼方(ゆらかなた)。何を考えているのか分からない男。
 彼らが辿りついたのは残酷で、悲しい事実だった。

感想
 なんとなく何の予備知識もないままにきまぐれで手に取った作品。
 当たりでしたw


 哀しい物語でした。
 単なる悲劇、計算された悲劇ではなくて哀しい物語。 生々しさとはまた違ったものです。ドロドロしていないとでもいいましょうか。

 個人的には悲劇は好きではないのですが、この作品はよかったです。
 悲劇は悲劇の主人公が悲劇に浸ることがあるので嫌いなのですが、この作品ではそれが無い。悲しみを悲しみとして受け入れ、受け入れられないものは出す。
 主人公が陶酔的な自己愛に浸っていないところが良いところでした。


 「翅を片方失った蝶は
  地に堕ちるしかない
  涙を流す理由も分からない私は
  失った半身を求めて彷徨うだけ」(本書扉絵より)


 本書は二部構成のようになっています。
 前半のパートで、あらすじに書いたミステリ要素を含む全体の物語が提示されます。
 後半のパートでは、事件のもう一人の当事者の視点から事件に至るまでの物語が語られます。

 この構成、上手ですよね。
 前半で悲劇の全体像を明らかにしたうえでの、あの後半です。ずるいw

 帯の有川浩さんの推薦文に「世界が優しくないことをこれほど軽やかに語られたらいっそ心地良い」とありますが、まさにその通りの読後感でした。
 哀しい物語なのに、どこか綺麗な印象を持ちました。

 ちなみにですが、今作の主人公の一人、由良彼方を主人公にした作品が他にも出されているので興味を持った方はそちらもどうぞ。

ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
柴村 仁

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セイジャの式日 (メディアワークス文庫)セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
(2010/04/24)
柴村 仁

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 もう一作、由良を主人公にしたものを書店の新刊コーナーで見かけたのですが、タイトル等忘れました。
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