伊藤計劃 『虐殺器官〔新版〕 』(ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
(2014/08/08)
伊藤計劃

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 『ハーモニー』を読んだのにこちらを読んでいなかったので購入。
 『ハーモニー』の方は以前の記事に感想があります。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 9.11以後の「テロとの戦い」は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理社会体制に移行して、テロの恐怖の排除に成功した。一方で後進諸国では反対に内戦や民族浄化などの大規模虐殺が急激に増加していた。
 米軍の大尉クラヴィス・シェパードは、後進諸国での大規模虐殺などの混乱の影に常に存在が疑われている謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かった。ジョン・ポールの目的は何か?大量虐殺を引き起こすという『虐殺の器官』とは?

感想
 面白かったです。
 個人的には『ハーモニー』よりもだいぶ楽しんで読むことができました。
 が、順番的にはこちらの方が先になるので、こちらを読んだことで『ハーモニー』を読んだ時の違和感のいくつかを拭うことができたかと思います。

 「社会問題に正面から取り組んだ意欲作」といった評価もあるようですが、個人的には社会問題というよりも人間とは何かというより根本的とも言える問題に取り組んだ作品のように思えました。
 まぁ確かに作品内では、テロリズムへの対処、その他社会不安を醸成する物事への取り組みといった社会問題的な側面もあります。

 が、それよりも人間について考えた作品だろうと感じました。
 『ハーモニー』と合わせて考えてみると、この両作品を通していわゆる「人類の種としての幼年期の終わり」を描き出そうとしたんじゃないかと思いました。


 戦闘シーンの描写などもしっかりしていて臨場感がありましたね。作者紹介の所で「メタルギア」のノベライズをして好評だったとあったのも納得でした。
 冒頭から結構グロテスクな描写もあるので、苦手な方は注意です。
 が、そうした部分もしっかり描いてあることで戦場の臨場感的が作りだされていると思います。


 個人的には「虐殺の器官」のことや、言語機能と現実認識との関係の議論なんかには疑問を覚えなくはなかったのですが、作品としては十二分に楽しめました。
 基本的にしっかり考察された上で、形作られている作品です。
 物語自体もテンポ良く展開していくので、中だるみするようなことも無く読んでいけると思います。

 2015年にアニメ映画化される予定だそうですので、そちらも楽しみにしようと思います。
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