新藤卓広 『秘密結社にご注意を』 (宝島社文庫)

秘密結社にご注意を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)秘密結社にご注意を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
(2014/04/04)
新藤 卓広

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 またまた「『このミス大賞』作品」です。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 ストーカー容疑を掛けられ、勤めていた会社をクビにされ、以来ひきこもり生活をしていた青野恵介(あおのけいすけ)。そんな彼の元にある日突然、採用通知が届けられる。しかも採用先は「秘密結社」!
 出勤した恵介に与えられた仕事は、「晴れの日に傘をさして歩く」、「商店街を3時間歩き続ける」、「ゲーム店の遊技台を誰にも譲らずに遊び続ける」など意味不明、予想外の仕事ばかり。しかし一見無関係に見えたこれらの仕事は、やがて重なり初めて…。

感想
 ドタバタコメディの要素を取り入れたミステリー。
 登場人物たちの個性も立っていて、テンポ良く読ませてくれる作品でした。

 まったく無関係、かつ無意味に思える青野くんの仕事が、やがて交錯し、異なる姿を現していくようになる過程は見事でした。まぁ、かと言って、それぞれにより大きな視点からの意味付けがされていたことが明らかになるだけで、それぞれの仕事が見た目通りの無意味なものであることに変わりはないのですがw

 この点で、本作は京極夏彦『絡新婦の理』と同じタイプの事件でした。『攻殻機動隊S.A.C.』の事件の構造と同じでもありますね。「スタンド・アローン・コンプレックス」ですか。個々の独立した事象が描き出す、より複雑な構造の事象です。
 とは言え、これらの作品ほど大掛かりすぎる事件ではありませんでしたけど。


 「秘密結社」という設定も面白かったです。
 秘密結社とは言っても、ダン・ブラウンの小説に登場するフリーメイソンなどのような組織でもなく、仮面ライダーのショッカーのような悪の組織でもないですw
 単に秘密の組織だから、「秘密結社」と名乗っているようですw で、「秘密結社なんだから謎のボスから指令ぐらい来るわよ」ということらしいです。
 この何とも言えない脱力感というか、気軽さが良かったです。


 キャラクターの個性の強さ、話のテンポの良さ、ミステリーの仕掛け、それぞれのバランスが上手く採られていて、面白い作品です。本格派の推理小説ほど堅苦しくなく、かと言ってミステリー部分がおもしろくないかというとそういう訳でもなく、ミステリー部分も面白い。今後の作品が楽しみになる作家さんです。

 ただ、最後というか本来の目的として置かれていた事件とそれまでの事件とのバランスは、微妙な気がしました。事件の毛色が、それまでの事件とは違って、一気に現実味を持つというか、生臭いものになっている気がしました。
 例えるなら、『ダイ・ハード』を見ていたら結末が山口豊子作品(『大地の子』とか)になった感じです。
 似たような毛色の事件にしていた方が、良かったのではないかと思いました。全体の繋がりというか、まとまりの点で。


 本作の解説を書かれている大森望さんが書いていますが、シリーズ化に期待出来る作品でした。
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