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櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 水無月のひとしずく』他感想…

 それでは、今回の分の紹介と感想です。どうぞ。

新刊
・櫛木理宇        『ホーンテッド・キャンパス 水無月のひとしずく』     ☆3.5

 コミック・ラノベ
・九曜           『佐伯さんと一つ屋根の下 3』      ☆3
・鏡貴也・山本ヤマト  『終わりのセラフ 15』            ☆3.5

既刊
・月村了衛        『機龍警察〔完全版〕』        ☆4
・道尾秀介        『シャドウ』               ☆4
・――           『水の柩』                ☆4
・――           『向日葵の咲かない夏』       ☆3.5
・藤木稟         『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』  ☆3.5
・芥川龍之介      『奉教人の死』              ☆4
・石持浅海        『君の望む死に方』           ☆3.5
・久世光彦        『聖なる春』               ☆4


感想


『ホーンテッド・キャンパス』

 とある事情から「恋人のふり」をすることになった森司とこよみの、むやみやたらな初々しさに心を折られる巻(笑)
 今回は三篇。背表紙のあらすじに「依頼は禍々しさを増していた」とかありますが、いつも通り。収録作中では、行方不明になった中学生を探す話「罪のひとしずく」が良かった。

『佐伯さんと~』

 交際が始まって初めての夏休み、にもかかわらず特に何もなかった二人でした。その割に休み明けの若干唐突な、すれ違いイベントがあったりと、イマイチ盛り上がりに欠けるきらいあり。駆け足気味なのは、大人の事情でしょうか(売上的な)?

『終わりのセラフ』
 久しぶりの新刊。暮人のクーデターの顛末と、グレンによるいくつかのネタばらし。 二人(?)の四鎌童子とか、気になる話もちらほらと。キ・ルク戦は次巻。

『機龍警察』
 若干のSF要素とテロリズムが蔓延した近未来を舞台にしたSF警察小説。 『攻殻機動隊』ほどSFしておらず、『パトレイバー』や伊藤計劃作品がイメージとしては近いかと。
 警察小説・ミステリー小説的な要素もしっかりしており、SF要素は作品の彩りの一つぐらいの位置づけ。話の展開のテンポもよく、どんどん読まされた。 シリーズものなのでこれからどんどんスケールなども大きくなっていくのでしょうが、楽しみ。

『シャドウ』
 母の死後、後を追うように幼馴染の母親が自殺。それを皮切りに周囲に次々と不幸が舞い降りる。父とのささやかな幸せを願う少年がたどり着いた真相とは…。
 丁寧に巧まれた作品。作者の企みもそうだが、作中のある人物の決意と実行力にも感嘆する。タイトルの「シャドウ」は「影」ではなく、心理学用語。

『水の柩』
 家族小説、再生の物語。 主人公・逸夫(いつお)の祖母が吐いた「嘘」、同級生の敦子の「嘘」。二つの嘘が交差するとき、彼らのささやかだけれど確かな癒しが訪れる。
 単純に「イイ話だなぁ~」で終わってしまわないところがいいところ。現実を抉っていく深さがきちんとあるから、結末の救いと感動があるのかと。

『向日葵~』
 こちらは道尾さんの一番売れた(?)、有名作。ミステリー作品。
 が、個人的には上の二作品の方が面白く感じた。作品世界のシュールさを置いておけば、二転三転する話の展開は面白くはあった。終盤の展開というか明かされたタネは頂けなかった。割と禁じ手。

『バチカン奇跡調査官』
 シリーズ第三巻。今回は「首切り道化師」の伝説と、角笛の音が満ち光に包まれる協会の奇跡の調査。
 個人的には、このシリーズの面白さは奇跡の謎解き部分なので、いつもそれ以外は割と…。このシリーズでもフィクサーみたいな人物が登場するのですね。角川ホラーの編集さんは、ホームズとかが好きなのか? 私はそういう黒幕的なものは嫌いだし、興ざめなので、出てくるとウンザリします。
 『櫻子さん~』シリーズは、ウンザリしたので二作ぐらい前から購入ストップ中です。

『奉教人の死』(新潮文庫)
 表題作を含めた、芥川のいわゆる「きりしたんもの」を集めた短編集。表題作『奉教人の死』は何度読んでも素晴らしい名作ですが、今回読んだ中では、「報恩記」、「煙草と悪魔」などが面白かった。
 「報恩記」は、押し売り気味ではあるが自己犠牲精神を題材にした作品。『奉教人の死』にも通じるか。
 「煙草と悪魔」は、煙草伝来の話に材を採った、キリストの教えという善と煙草に代表させた悪の同時伝来を皮肉交じりに語った話。
 他の収録作も面白い。

『君の望む死に方』

 『扉は閉ざされたまま』に登場した碓氷優香の推理が冴えるミステリー作品。 社員に自らを「殺させようと」奮闘する社長の「最後の数日」を、サスペンス形式で描く、珍しい趣向の作品。 碓氷さんは、相変わらず壊れていてそこも良かった。
 ただし、殺されるのをまだかまだかと待ち焦がれる描写を延々観させられるのはなかなか退屈かもしれない…。

『聖なる春』
 土蔵に引きこもり、クリムトの贋作を書き続ける「私」と、不幸の香りをまとった女性キキとの、交流と愛の軌跡を描く奇譚。
 非常に面白かった。登場人物は、私とキキ、フランソワとキキの母ぐらいしかいないのに、作品の広さと深さはなんだろう。作品に終始漂う退廃の気配も、鬱屈とはしていないから、読んでいて嫌味がない。
 他の作品も読もうと思う。 唯一の難点は、クリムトの作品をカラーで収めるために作中に二枚挟まっている種類の違う紙のせいで若干読み辛いこと。


 他にも岩波文庫で読んだK. チャペック『ロボット (R. U. R.)』も良かった。「ロボット」という言葉を世界に送り出した作品。ロボットもの作品の要素のほぼすべてが詰まっている。

 それではまたノシ
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ゆーいちです。

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よろしくお願いいますm(- -)m

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