麻耶雄嵩 『隻眼の少女 』(文春文庫)

隻眼の少女 (文春文庫)隻眼の少女 (文春文庫)
(2013/03/08)
麻耶 雄嵩

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 麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』を読んだので感想を書きます。
 ミステリーです。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 ふらりと訪れた、とある山奥の山村で種田静馬(たねだしずま)は殺人事件に巻き込まれる。しかも静馬は殺人事件の容疑者として警察に疑われることに。窮地に陥った彼を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女御陵みかげ(みささぎみかげ)だった。
 彼女は「探偵」を名乗り、殺人事件の調査を買って出る。みかげの推理で窮地から救われた静馬は、みかげとともに事件の調査を開始しする。犠牲を払いつつも、二人は何とか殺人事件の解決にこぎつける。しかしその18年後、同じ村で再び同様の惨劇が幕を上げる…。

感想
 「日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞のダブル受賞!」の煽りに惹かれて購入しました。
 が、そこまで面白い作品だとは思えませんでした。
 もちろん作品内では様々な技巧が凝らされており、作品の構成もきちんとしています。特に作品内に見られる、「対象関係」というか「鏡像関係」は独特の雰囲気を作品にもたらしていると思います。

 こうした構成面、技巧面はさすがだと思うのですが、いかんせんトリックがいただけませんでした。このトリックは、「禁じ手」でしょう…。
 探偵である御陵みかげの推理は、基本、論理的で的を得た推理手法を採っているにも関わらず、最後の最後で梯子を外された気分にさせられます。

 同様に犯人の犯行動機、犯行理由が突拍子もなく感じます。意味がわからない。
 そもそも論として、犯人の犯行動機を達成するために採った方法が不要だろうという感じがします。もっと簡単に、もっと容易に目的が達成できるはずです。わざわざ「ABC」的犯行を実行する必要性が皆無です。
 第一の事件はまだしも、第二の事件に関してはそもそもの犯行動機がおかしいです。「死んでいると思っていたけど死んでいなかったから自分が殺す」。どういうことでしょう???

 本書の「解説」では、「横溝正史の『獄門島』が連想される」と書かれていますが、殺人事件の様から見れば、どちらかといえばクリスティの『ABC殺人事件』の方が近しいのではないでしょうか?
 旧家の因習、娘殺しといった諸要素は『獄門島』に近いでしょうが。

 あともう一点、苦言を。
 本書では物語のメイン舞台となる、琴折(ことさき)家の屋敷の平面図が掲載されていません。事件はこの屋敷内ならびに周辺の敷地内で起こるのですが、それぞれの現場同士の位置関係が非常に把握し難くなっています。
 せめて琴折家の屋敷の平面図は掲載していて欲しかったところです。


 読んで損になるような作品ではないと思いますが、あまり期待されていると肩透かしを食うかもしれません。
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