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三津田信三 『凶宅』他感想…

 すっかり寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 炬燵にすっぽりと入って本を読むのは至福ですが、寒いのは嫌です。
 
 それでは、今回の分の紹介と感想です。

新刊
・三津田信三     『凶宅』              ☆3.5
・小川哲        『ユートロニカのこちら側』   ☆3.5

既刊
・乙野四文字     『僕が愛したすべての君へ』  ☆3.5
・――          『君を愛したひとりの僕へ』   ☆3
・今邑彩        『そして誰もいなくなる』     ☆4
・城平京        『名探偵に薔薇を』        ☆3.5
・内藤了        『猟奇犯罪捜査班 ZERO』   ☆3
・――          『猟奇犯罪捜査班 ONE』    ☆2.5
・太宰治        『走れメロス』            ☆3.5


感想


『凶宅』
 久々の三津田作品。『禍家(まがや)』に続く「家」シリーズの第二作品。 引っ越した先の新しい我が家にはナニカがいる。憑かれた家に住むことになった子供の家族を守る戦いを描く。 なお、第三作は単行本で12月21日発売とのこと。
 嫌~な、嫌~なお話でした。今回は特に、最後のやるせなさが…。あんなに頑張ったのに。主人公と友人の少年との解決を求めての奮闘は、『学校の怪談』のようで面白かった。 婆さんが怖いw

『ユートロニカのこちら側』
 SF作品。 ユートピア社会の光を影を、複数人物の視点から描き出す。
 個人的には3話目と4話目が気に入る。 が、どれももうひと押し足りないような話が多かった。「だからどうした」と。そこからもう少し掘り下げてみて欲しかった。 あとは徐々に明かされていくユートピア社会「アガスティア・リゾート」が、どこかで見たモノの焼き直しでしかなかったように思われるところも残念。とくに『PSYCHO PASS』に近しいものを感じた。
 二作目(『ゲームの王国』)が発売されているのですが、単行本上下二冊を買うのはためらう。

『僕が愛したすべての君へ』、『君を愛したひとりの僕へ』
 並行世界が実証され、行き来さえする世界でのラブストーリー。
 『君を愛したひとりの僕へ』は、『僕が愛したすべての君へ』よりも面白さが落ちる。
 『僕が~』が、パラレルワールドが実在する世界でのラブストーリーを正面から扱い、素直に面白い。
 『君を~』は、『僕が~』と世界観、主人公、登場人物のほとんどを重ねつつ、ストーリー展開を変えてある「並行世界的な別展開の世界」の話。なので、『僕が~』を楽しんだ身としては『君を~』はイマイチ。ストーリーも、ドキドキもワクワクもなく、淡々と進む。さらには主人公の独善的な性格が宜しくない。『僕が~』も大概といえば大概だが、まだあちらは可愛げがある。
 読むのなら時間を空けて両方を読むか、『僕が~』のみがおススメかと。

『そして誰もいなくなる』
 ご存知クリスティーの『そして誰もいなくなった』を本歌取りした作品。
 学校の式典で、『そして誰もいなくなった』を上演中、舞台上で生徒が実際に死亡する。それに続くかのように、筋書き通りに次々と演劇部の生徒が殺されてゆき…。 とまあ、クリスティー作品の様に展開していくわけですが…。というところが見どころ。 
 本家『そして誰もいなくなった』を読んだことがなくとも楽しめるかと思います。読後の感想だと、坂口安吾『不連続殺人事件』も思い出してみたりしました。

『名探偵に薔薇を』
 不気味な童話『メルヘン小人地獄』を軸に展開される事件を中心にして、時間軸の前後という珍しい形の二部構成をとったミステリー。
 『虚構推理』の作者さんのデビュー作ですが、本作は王道の推理もの。
 構成の妙も面白さを増していますが、事件解決に至るまでの推理パートも見事でした。探偵役のシニカルな雰囲気もイイ味を出してる。第二部の事件の背景と、『メルヘン小人地獄』にまつわるあれこれのエグさを除けば最高でした

『猟奇犯罪捜査班』

 暫くご無沙汰だったシリーズものの続編。 個人的にどうも好ましくない方向に向かっていそうだったので、寝かせて置いたシリーズが、中古で発見したので読んでみた。 犯罪の猟奇性にばかり注力しすぎて、警察小説の部分、ミステリー的な部分がおろそかになっていませんか、と。
 まぁ、そのとおりでしたが。 依然捕まえた連続殺人鬼、バッファロー・ビルみたいな犯人が脱獄したという展開があったものの、最後にあっさりと退場するという微妙さ(お粗末さとは言うまい)。

『走れメロス』(新潮文庫版)
 といいつつ、併録作の『女生徒』が読みたいがために買った本
 『女生徒』が読みたかったのは、以前紹介した北村薫『太宰治の辞書』で取り上げられていて、なおかつ未読だったから。
 太宰のもとの送られてきたある女子学生からの手紙をもとに書いたためか、文体が太宰っぽくない。が、そこに面白みを感じて読むことにした作品。軽妙だけれど軽佻ではない、独特な独白文が面白かった。
 因みにほかの収録作は、『富岳百景』、『東京八景』、『駈け込み訴え』、『ダス・ゲマイネ』、『満願』、『帰去来』、『故郷』。


 今回はこの辺で。
 それではまた。
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ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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