つかいまこと 『棄種たちの冬』他感想

 それでは今回の分の紹介です。

新刊
・つかいまこと     『棄種たちの冬』         ☆3

既刊
・恩田陸        『きのうの世界 上・下』     ☆4
・小川洋子       『薬指の標本』           ☆4
・田中芳樹      『銀河英雄伝説 9,10』      ☆4.5
・田島斗志之     『不思議島』             ☆4
・飛浩隆        『自生の夢』             ☆4.5
・シュペルヴィエル  『海に住む少女』          ☆4
・テッド・チャン     『あなたの人生の物語』     ☆4.5


感想

 『棄種たちの冬』
 『楽園追放』、『グラン・ヴァカンス』
と同じ系統のSF作品。電脳世界に移行した人類と文明崩壊後の世界に残った(残された)人類を巡るお話。というよりも、『ナウシカ』(原作漫画版)の世界観に電脳という概念を持ち込んだ感じ。
 ただ、ナウシカ風でありながら、「越えられない(かもしれない)冬」を超えようとするような人間の強かさなどはあまり感じられず残念。終盤に『地獄の黙示録』風になったのも残念。

 『きのうの世界』
 祝直木賞受賞! ということで未読の作品を読んでみた次第。 受賞作は読んでないw
 ファンタジーのようでありながらミステリー。一人の人間の死の謎を巡って話が進むうちに、その事件が起こった地方都市の真の姿も明らかになっていく。そのリンクのさせ方がまたお上手で、流石の一言。 恩田さんはもっとずっと前に直木賞を受賞していたと思っていた。

 『薬指の標本』
 「標本室」で働くことになった「わたし」と標本師とのひそやかな愛を描く短編作。 奇妙な物語として読んでも面白く、恋愛ものとしても面白い。『博士の愛した数式』などの有名になった作品に埋もれているような気がしますが、こちらの方が面白いかも。 本作には他に、「六角形の小部屋」という短編も収められていますが、こちらも面白い。二編しか収録されていませんが、十二分に素晴らしい読書が出来るかと思います。

 『銀英伝』
 とうとうクライマックスです。
 「卿は死ぬな。(中略)これは命令だ、死ぬなよ」(9巻 p.333) 巨大な栄光を得たのと引き換えに、いくつものものを失い続けてきたラインハルトの悲哀。それが感じられるセリフでした。 最期までラインハルトらしさが感じられるのが、流石だなぁと感じ入った次第。 ヤンの死から駆け足気味だったのだけが少し残念でした。

 『不思議島』
 ミステリー作品。
 過去と現在、その他様々な対の事象が織りなす見事なタペストリー。トリックそのものというより、プロットの妙が光る作品でした。よくもここまで練り込んだ作品が書けるものです。
 他の作品も読んでみようかな。『症例A』が代表作だそう。

 『自生の夢』
 SF短編集。 飛さんのエッセンスが詰まった作品集でした。 飛さん好きは是非!
 「海の指」、「自生の夢」がおススメ。他の作品も面白いです。 もっと新作が読みたいところですが、寡作な作家さんなので気長に待たなければいけないのが玉に瑕。

 『海に住む少女』

 短編小説集。  訳者さん(光文社版)曰く、「フランス版・宮沢賢治」と紹介されていますが、まさにその通り。優しくて切ない物語の数々が楽しめます。 「海に住む少女」、「飼い葉桶を囲む牛とロバ」、「空のふたり」がお気に入り。
 宮沢賢治がお好きな方は気に入ると思います。

 『あなたの人生の物語』
 8編を収めたSF作品集。 単純にSFと言い切れないものもありますが、物語の出来として素晴らしい。
 有名作の「バビロンの塔」、「あなたの人生の物語」はもちろんおススメ「地獄とは神の不在なり」の皮肉の利いた話も面白い。「七十二文字」のゴーレムを通して人間を考察する話も素敵。


 今回はこんなところです。
 他には、今更ながらパトリシア・コーンウェルに手を付け始めたところです。まだ一作目の『検屍官』の途中ですが。
 あとは、あらすじに魅かれて買ってみた貫井徳郎『霧生殺生祭』がとても気に入っているところ。「京極堂シリーズ」や「刀城言耶シリーズ」、「天帝シリーズ」のような作品と言えば、雰囲気は掴んでもらえるでしょうか? ああ、続きが楽しみ。

 実は『魔法科高校の劣等生』の最新刊も買ったのですが、どうも読む気になれなかったので放置中だったりします……。読まないかも…。


それではこの辺で(*'▽')ノシ
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