三津田信三 『のぞきめ』 (角川ホラー文庫)

のぞきめ (角川ホラー文庫)のぞきめ (角川ホラー文庫)
(2015/03/25)
三津田 信三

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 長期休暇を利用したアルバイトで、辺鄙な貸別荘地を訪れた成留(しげる)たち。 バイト中、仲間がであったという謎の巡礼の母娘に導かれるように彼らは禁じられた廃村に紛れ込み、恐るべき怪異に見舞われる。
 民俗学者・四十澤(あいざわ)が昭和初期に残したノートからその村が「弔い村」という異名を持ち、「のぞきめ」という付きものの伝承が残る忌み村だということが明らかになっていく。
 作家である「僕」が出会う二つの怪異譚。その衝撃の関連と真相とは。

感想
 最近ハマりだした、三津田信三さんの作品です。
 『首無~』などの感想は、読み終えているのでまた後で上げる予定です。 どれも面白かったです♪


 この作品は、上記「刀城言耶シリーズ」でも、「死相学探偵シリーズ」でも「作家シリーズ」でもない独立した作品となっています。 作家シリーズのようではありますが、ちょっと違う感じです。

 語りがとても練られていて、怖さが増していますです。
 序盤の一文がとても効いていて、読み終えた後も怖さが続きます (((゜Д゜)))ガクガクブルブル
 というよりも、読んでからの方が怖いかもw 上手に人間心理を突いた作品でした。


 イメージとしては、《洒落怖スレ》の「リゾートバイト」にちょっとだけ近いかなと思います。 話としてはまったくの別物ですが…。 「リゾートバイト」もなかなか怖い「お話」です。
 その上に、民俗学的な怪異の謎解きというスパイスが加えられています。
 ホラーとしても普通に怖いのですが、ただ怖いだけではなくそこに裏付けのように民俗学的な考察が重なるので怖さ倍増です。
 

 ホラーと謎解き。
 この二つの混じり具合が、とても良く、怖さと謎解きの快感を感じられるという面白い作風です。これは、三津田さんの他の作品にも共通している作風ですので、興味をもたれたら他の作品も読んでみることをおススメします。

 京極夏彦のような怪異+探偵ものに、ホラー要素が加わっていると言えば近いかと思います。
 「死相学探偵シリーズ」の方は手を出してはいないのでわかりませんが、「刀城言耶シリーズ」と「作家シリーズ」は上記のような作風です。 より謎解きの方に軸足が置かれている等の違いはありますが。

 ちなみにですが、映画化が決定しているそうです(オビ情報)。 映像化したらさらに怖くなるかもしれませんね。


 何かに覗かれている――そんな気がする時は、必ず一旦本書を閉じてください。(あとがきより)
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牧野修 『傀儡后』 (ハヤカワJA)

傀儡后 (ハヤカワJA)傀儡后 (ハヤカワJA)
(2005/03/24)
牧野 修

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 20年前の破滅的な隕石落下により、大阪は異形の街と化した。落下地点から半径6キロは、現在も危険指定地域とされた。 現在この地域は、五感で世界と融合するというドラッグ「ネイッド・スキン」、全身の皮膚がゼリー化するという謎の奇病「麗腐病」の中心地として、破滅の予兆をはらんだ都市を形成していた。
 人類社会崩壊の予兆の中、変容する人の意識と世界が醜悪かつ美麗に描かれる。

感想
 崩壊しつつある社会を舞台にした作品ということで、退廃的な雰囲気を漂わせた、そう言う意味では実に「SF的」な作品でした。
 とは言え、『ニューロマンサー』の冒頭や『ブレイドランナー』の社会のような感じではありません。あの、「なんか違う感じ」満載の日本文化風ではありません。
 あくまで現代日本(大阪)の延長でしかありません。 そのいみでSFに付きものの「未来感」はそれほどありません。


 作品としては「服」、「着る」ということがキーとなっており、なかなか異色の作品でした。 

 また割とグロテスクシーンが出てきますので、苦手な方は気を付けられた方が良いと思います。 程度としてはそこまでではないとは思いますが、ちょっと多いかもしれません。

 まぁ、それらを含めても作品の雰囲気としてはわりと好きな方だったのですが、ストーリーがイマイチ楽しめませんでした。最後の最後で明かされたあの真相は、好き嫌いが分かれそうですね。 私は後者でしたが。
 まったく関係ないのに、なんとなく『黄泉返り』(原作小説版)を連想しましたw 
 ※※本作では、人間は甦ったりしません。作風も全く違います※※


 上記のように「服」・「着る」といったことに拘った小説ということで、他のSF小説とは一線を画した感があります。
 お話としては面白いのでしょうが、この差異の部分を受け入れられるかどうかがこの小説を楽しめるかどうかの分岐点になるんではないでしょうか。

 いみじくも巻末の解説にありますが、「(この作品は)(中略)…宇宙論SFであり、哲学SFであり、言語論SFであり、小説論であり、単なるフェティシズム小説ですらある」(P.536)とあるように、単純なSFのイメージに納まらないものでした。

 ですので、「普通の」SFをお望みの方には向かないかもしれません。
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ゆーいち

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ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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