赤城大空 『二度めの夏、二度と会えない君』 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)
(2015/01/20)
赤城 大空

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 突然やって来た転校生、森山燐(もりやま・りん)は不治の病を患っていた。オレ、篠原智(しのはら・さとし)は彼女と一緒に、彼女に引きずられバンドを結成し、ライブを演り、最高の時間を一緒に過ごした……そして、燐は死んだ。
 俺に残されたのは、取り返しがつかない、たった一つの後悔だった。決して伝えてはいけなかった言葉。あんなことを彼女に言わなければ、燐はきっと最後まで笑顔でいられたのに…。
 後悔に押しつぶされそうになっていた俺にチャンスが。突然のタイムリープ、二度めの夏。そこで俺はもう一度燐と出会う。奇跡が与えてくれた、再びの夏。俺は嘘をつく、彼女の最後の時間が笑顔で過ごせるように。

感想
 買ってみて驚いたことは、『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』の作者さんの作品だということ(笑)

 この『二度めの夏~』は、ド真ん中真直ぐな青春小説です。 あらすじを読んでもらえれば分かるとは思いますが。
 一方、『下ネタ~』の方は、タイトル通りのとてもではないですが万人に勧められるような作品ではない作品なのです。下世話もここに極まれり、といった内容の作品。何より表紙絵が…。

 という、読んでみて驚いたというお話


 あらすじにあるように、ぱっと見、お涙ちょうだいの良くある話なのかと思いましたが、そう単純な話ではなかったという。
 全体のトーンがそこまでセンチではなく、どちらかというとラブコメのノリに近いです。
 それもじれったく感じるタイプのラブコメです。


 ヒロインである燐(りん)が、常に明るく、全力投球で、笑顔でいるところが大きいですね。彼女が陰鬱になっていたら、この作品はつまらなかったでしょう。
 その彼女のために嘘をつくことを決めた主人公の覚悟、迷いも、ストーリーに彩りを加えています。

 中心にいる二人の人物造形がとても魅力的で、作品を読ませてくれました。





 ※※以下、話の結末部分のネタバレを含みます※※

 結末も、ご都合主義的なものではなく、悲しみを悲しみのままで終えているところがよかったです。
 奇跡的なことが起きて、燐が死なずにすんでハッピーエンドということが無いところにも好感が持てました。
 逆にこの作品で、「実は…」とかやられていたら、駄作になった気がします。

 ※※終わり※※
 

 失礼ながら、『下ネタ~』止めてこういった青春モノの方にシフトしても十分にやっていけるんじゃないかと思いました。
 と言うか、もっと読んでみたいと思いました。
 次も、青春小説を書きませんかね?

 イラストも作品に合っていて、良かったです。
 燐の笑顔が可愛い♪ 
 表紙絵が素晴らしいですね。
 読後に見ると悲しくなりますが…。
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宮部みゆき 『悲嘆の門』

悲嘆の門(上)悲嘆の門(上)
(2015/01/15)
宮部 みゆき

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 世間では、殺害した人間の死体から、一部を切り取るという戦慄の殺人事件が発生していた。しかもその殺人事件は、複数発生し、メディアでは連続殺人事件として連日大きく扱われていた。
 そんな中、ネット監視のアルバイトでこの事件に行きあった大学生の孝太郎は、やがてこの事件に飲み込まれていく。一方で街には「動くガーゴイル像」の噂が広まっており、定年退職した元刑事・都築は、知人の頼みでその噂を調査することになる。
 徐々に憎しみに染められていく世界。二人と《異形》が出会う時、「悲嘆の門」が開かれる。

感想
 『英雄の書』の続編でした。
 『英雄の書』自体を読んだのがだいぶ昔で、記憶があやふやなので断言はできないのですが(^_^;)
 物語自体には直接の繋がりはなく、世界観を共有した別のお話といったところが正確でしょう。

 さて、物語自体は『英雄の書』がそうであったように、純粋な現代劇ではなく、ファンタジー要素をその根幹に据えた、ファンタジーと現代劇のハイブリッドになっています。

 ですので、純粋な現代劇、ミステリーとしての作品を期待されている方には違和感があるかと思います。「これはこういうお話だ」という割り切りが必要で、そういった割り切りが無理そうであれば、おススメできません。
 例えば、最近の宮部さんの作品で言うと『ソロモンの偽証』のような、現代ミステリーを期待されて購入を検討されている方は、再考された方が良いかもしれません。

 個人的には結構楽しく読めましたが、ファンタジー部分と現代劇部分の比率というか、混じり具合が微妙だったかなとも思いました。
 もう少し、ファンタジー要素を減らしてくれていたら良かったなと。
 ファンタジー要素を無くしてしまっても面白い作品になったと思いました。もしくは『ブレイブストーリー』のようにファンタジー部分に軸足を置いてしまっても良かったかな、とも。
 ファンタジー部分が付けたしの様になっていまっていて、少しもったいない気もしました。

 まぁ、よくよく考えてみると、付け足し部分は現代劇の方のような気もしますが。
 「連続死体損壊遺棄事件」がメインとして描かれているのですが、実のところ、事件そのものは作品の中心ではない気がします。少なくともミステリーや警察小説のように、事件そのものが作品のキモではないので。
 そうした点でも、ミステリー作品として本書を楽しむことは難しいかと思います。

 
悲嘆の門(下)悲嘆の門(下)
(2015/01/15)
宮部 みゆき

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ヒュー・ハウィー 『ウール』 (角川文庫)

ウール 上 (角川文庫)ウール 上 (角川文庫)
(2013/09/25)
ヒュー・ハウイー

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 終焉を迎えた後の世界、人類は地下深く、144階建ての「サイロ」と呼ばれる建物で、限りのある資源を利用しながら生き延びていた。
 サイロのカフェテリアのスクリーンに映し出されるのは荒涼とした外の世界のみ。外に出ることができるのは、レンズを磨くための「清掃」の時だけ。しかし「清掃」に出かけたものが生きて戻ることはなかった……機会工のジュリエットが「清掃」を科される時までは。
以上は上巻のあらすじです

感想
 帯やらなんやらで煽られている程ではなかったかな、というのが素直な感想です。
 ストーリーや世界観はしっかり練られていて、読み応えはあるのですが、いかんせん良くある話という感じを最後まで払拭できませんでした。
 「文明崩壊後の世界もの」と言って皆さんがぱっとイメージするもの、それ以上のものではなかったかと思います。


 とはいえ、サイロと呼ばれている人類の居住空間といった舞台設定、その中で営まれている人類の生き残りの生活感など見どころは多々あるかと思います。
 サイロという閉鎖空間内での生活が持たざるを得ない閉塞感、そういったものを作者さんはきちんと描いていて、それがこの作品の魅力の一つになっています。

 閉鎖空間内の閉塞感からの解放。
 そうしたカタルシスがこの作品の大きなテーマになっているようでした。
 閉鎖空間内のはなしなのに、解放的な性格の楽天的な人間がわんさかいたら興ざめですもんねw


 さて、この作品ですが、実は三部作となっているそうです。
 現状は第二部の『シフト』までが角川文庫から刊行されているのかな? 
 第二部は、時系列的には『ウール』以前、人類がサイロを作りその中に閉じこもることになるまでを描いたものだそうです。三部は、『ウール』に続く時系列の作品になるのだとか。

 二部以降はどうしようかな?
 個人的には、あまり期待ができないので保留しています(^_^;)
 作品世界の謎自体も予測通りでしたし、これ以上の期待は…。


 ところで、「サイロ」のイメージがFF8の砂漠の刑務所と被ったのは私だけでしょうか?
 ちなみにFF8の砂漠の刑務所は、ドリル型の3つの塔が連結したような建物でした。そして、必要がある時にはドリルのように回転して地下に埋まるというものです。
 閉鎖空間で、地下に埋まっているとか似ていませんか?

ウール 下 (角川文庫)ウール 下 (角川文庫)
(2013/09/25)
ヒュー・ハウイー

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ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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