久遠侑『黒崎麻由の瞳に映る美しい世界』 (ファミ通文庫)

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)
(2015/01/30)
久遠 侑

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 高校入学の日から、彼女の異様な大人しさは僕の印象に残っていた。誰もが気になって仕方ないほどの存在感を持ちながら、誰も触れ得なかった彼女、黒埼麻由(くろさき・まゆ)。
 文化祭の準備の中、僕との些細な会話を切っ掛けに彼女は少しずつクラスに迎えられていく。しだいに変わっていく彼女。かつての暗い少女のイメージは徐々に消えつつあった。だけでも彼女には、僕たちが知らない影が寄り添っていて。
 でも、僕はそんな彼女の側にいたいと思った。

感想
 いろいろと装飾はありますが、基本的には青春小説です。
 普通に恋愛小説風味のライトノベルとして読んでも、十分に楽しめるかと思います。

 少し珍しいなと思ったのは、作品内時間が文化祭前後の3カ月ぐらいという短めに設定されていることですね。わりと一年間ぐらいのスパンで物語が構成されていることが多いと思うので。
 文化祭に何か思い入れがあったんでしょうか?
 作品自体にはそこまで文化祭という要素は重要ではなかったですけど。
 

 主人公のキャラクターも、バランスがよく、「いやいや」とか突っ込むことも特になかったように思います。
 ヒロインの子も、多少過度に無口キャラではありましたが、いい子でしたし。
 友人キャラも良かったですね。キノコ頭はちょっとうざいですがw


 個人的には、ヒロインの背景設定の一部がちょっと違和感があるかなぁと。
 暗めの性格の原因の部分ですね。
 あの家庭事情、どっかの現代ミステリーかと。

 家庭事情が複雑なのは、現実でもよくありますが、もう少し大人しめでよかったのでは?
 遺産相続争いでもするんですか?
 姉さんが嫌いですw


 その他のネタバレにも掛かるような設定に関しては、個人的には別にそこまで気になりませんでした。ぶっちゃけ無くても良かったような気もしますが…。

 今後の展開も気になります。
 というか、あの後どうなっていくのかを読んでみたくはあります。
 個人的にはもっと面白くなるんじゃないかなぁ、と思ってみたり。
 先に書いたような色々な装飾(一番大きな装飾)がなくなって、普通になっても面白いと思います。というか、そちらでも見てみたいというのが正確かな。
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清水苺『今日、となりには君がいない。』 (講談社ラノベ文庫)

今日、となりには君がいない。 (講談社ラノベ文庫)今日、となりには君がいない。 (講談社ラノベ文庫)
(2015/01/30)
清水 苺

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評価(☆5が満点)
☆1

あらすじ
 朝霧凛。他人とのふれあいを拒んで、壁を作って、誰も寄せ付け無くて――けれど本当は、人との関わりを確かに求めていて。
 彼女に一目惚れをしたときから、この物語は始まった。けれど、彼女が僕に初めて笑いかけてくれた日、僕はすべてを失った。彼女は僕の前から姿を消した。そして同時に、彼女に関する記憶が周囲の人間から消えてしまった。
 あれから二年。高校二年生になった僕の前に転校生が現れる。彼女は自分のことを朝霧凛と語り…。

感想
 最初に、このブログでの☆の数について。
 星は5が満点と書いてありますが、最低点は☆1としております。
 ☆なしとすることもできますが、物語を考え、本を書き上げ、出版までされた作者の方への敬意を込めて、最低でも星1を付けることにしてます。



 ということで、☆1評価です。最低点です…。
 本書で最も良かった点は、あらすじですね。面白そうな構成をしていながら、残念な本でした。

 まず、主人公が気持ち悪いです。
 彼のセリフが最悪でした。「ザ・勘違い男」とルビを振ってもいいくらい。
 あんなセリフを吐くのは、CMでやっているようないわゆる「乙女ゲー」の男キャラぐらいでしょうね。隣の席の、しゃべったことも無い女子に唐突に「君は可愛いんだから」云々と話しかける人間がいるか?

 あまりにもあんまりなので、1章の最初の方を読んだだけで読むことを止めようかと思ったほどでした。
 が、色々ともったいないので、速読の練習(読みとばし)に使いました。

 あとストーリーも微妙でした。
 主人公+女の子3人が都合登場するのですが、女性陣がまた微妙。彼女たちの魅力的な部分は、イラストですね。

 メインヒロイン(凛)は、ツンデレとも言えない、単なるコミュ症ではなかろうか。
 第二のヒロイン(自称・凛)は、何がしたいのか不明。友達思いという訳でもないし…。
 第三のヒロイン(病院娘)は、最早登場してきた意味が無いような…。彼女のとある告白のシーン、キャラは泣いていましたが、感動できる要素が…。

 そして我らがキモイ主人公は、彼女たちから何らかの影響・トラウマを受け、グダグダと自分語りをするというお話でした。これがストーリー。発言が気持ち悪く、地の文では常に自分語り(それも自己憐憫が入るタイプの語り)という、彼のオナニー話です。


 これらに耐えられるのであれば、購入して読まれてみてもいいのではないでしょうか。

天沢夏月『思春期テレパス』 (メディアワークス文庫)

思春期テレパス (メディアワークス文庫)思春期テレパス (メディアワークス文庫)
(2015/01/24)
天沢夏月

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 学校で話題になった一つの噂。「そのサイトに空メールを送ると、友達の“本音”を教えてくれる」。
 秀才の大地、お調子者の学、サバサバ系女子の翼は、一緒の帰宅部三人組。自然と集まって、だらだら時間を過ごす心地良い距離感の友達同士だった。
 だけど、夏祭りの夜――。
 三人がふざけて登録した噂のサイトから、一通のメールが届いた。その内容は、翼の本音……。翼の気持ちを知ってしまった時から、三人の距離感が変わっていく。

感想
 白身魚さんのイラストに惹かれて購入w
 白身魚さんのイラスト、かわいくて好きなんですよね。水彩っぽい透明感とか。

 少し『ココロコネクト』のように感じてしまいました。
 どちらも白身魚さんのイラストで、テレパシーを扱っているところが『ココロコネクト』を思い出しました。
 とは言え、肝心の中身は完全な別物でしたので、ジャンルかぶり程度の類似です。


 『思春期~』の方は、基本的には大地・学・翼の男二人女一人の三人組の恋模様をメインに据えた作品でした。
 それと「子ども時代の終わり」というか、「大人への成長」も含めた青春物語でした。
 まぁ、『ココロコ』も似たような話ですが、『ココロコ』の方が超常現象の方に多少なりとも力点がるのに比べて、こちらは現象の理解・解消を目的としていないというところが違います。

 こちらはあくまで、三人の心模様の変遷と、成長に重点があったと思います。


 実は物語中、重要なキャラクターがもう一人登場するのですが、彼女の立ち位置というか扱いが少し気になりました。
 大地・学・翼の三人に関係してくるキャラクターとして岡夜子という女の子が登場するのですが、微妙な立ち位置にいた気がしました。


※※以下若干のネタバレ含みます※※

 最終的には、三人+一として、男女比2:2のグループになります。
 が、その経緯が気になりました。

 若干三人組から距離を置き続けていた彼女が、最終的に深く関わり合うことになった契機がね、自殺未遂だったことが好きになれませんでした。
 必要だったのかな?、と。
 展開上の唐突さはないのですが、個人的には好きになれない展開でした。


 まぁ学くんは、元々気にかけていたみたいでしたけど、それでも唐突というか、付け足しな気がしました。なんというか、ズレている感じです。
 もちろんストーリー上はキチンと登場し続けているのですが、彼女の話と三人組の話の交点が少ないというか、つながりが薄い気がします。

 以上が気になった点でした。
※※ここまで※※



 大地・学・翼の三人の心模様というか恋模様ですが、展開としては良くあるものの、テレパシーという要素を加えて一味違う感じになっていて面白かったです。

 上では否定的なことを書きましたが、最終的には2:2になったのは恋愛模様から見ると新しいのかもしれませんね。

 三人が三角関係に陥って、その中でどろどろした心理状態になって人間関係が崩れていく様を見なくて済んだのも良かったかな。
 こんな展開だと良くありすぎていますしね。食傷気味というやつです。


 一味違った青春小説、恋愛ものとして面白い作品でした。

持岬湯葉『モノノケグラデーション』 (ダッシュエックス文庫)

モノノケグラデーション (ダッシュエックス文庫)モノノケグラデーション (ダッシュエックス文庫)
(2015/01/23)
持崎湯葉

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評価(☆5が満点)
☆2

あらすじ
 十河春一(そごう・はるいち)は、ある夜、河原で格闘家も真っ青の戦いを繰り広げている謎の少女・大河小百合(おおかわ・さゆり)と出会う。実は、彼女は人間界に紛れ込んだ妖怪を監視する「休更月(きさらぎ)」に所属するエージェントだという。
 成り行き上早百合に協力することになった春一は、現在世間を騒がせている連続傷害事件の犯人、小百合たちから「栗毛」と呼ばれている妖怪をともに捜索することに。
 いざ捜索開始、と行きたいところだが……小百合はエースのくせに天然ボケで、武器はなぜかそば打ち棒、来ている服はいつも一緒で、ファッションセンスゼロ、あまつさえそのコートの下は下着だけ!?

感想
 どこかで見たようなお話でした。
 まぁ、そのどこかというのはアニメ化もされていた『境界の彼方』
 「妖怪退治を生業としている美少女と出会った主人公、しかもその主人公には特殊な力があって…」というあらすじ部分がほぼ一致。
 ストーリーはちゃんとオリジナルでしたが、上記のように世界観と設定が似通っているので、最後まで類似作品・二番煎じにしか思えませんでした。


 もう一点、作中で時々繰り広げられるギャグというか、掛け合いが個人的には合いませんでした。
 読んでいてちょっとした苦痛でした。
 このレーベルの新人賞優秀賞受賞とあったので期待していたのですが…。


 もう少しオリジナリティを感じさせてくれれば、良かったかと思います。

犬村小六 『とある飛空士への誓約 7』 (ガガガ文庫)

とある飛空士への誓約 7 (ガガガ文庫)とある飛空士への誓約 7 (ガガガ文庫)
(2015/01/20)
犬村 小六

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 「災厄の女王」――戴冠から半年、ウラノスの新女王ニナ・ヴィエントは、地上に住まう人々からそう呼ばれ、恐れられていた。ウラノスの長年の悲願「天地領有」を果たすべく、傀儡国家張るもんディア帝国はウラノスの意を受け、隣国セントヴォルト帝国が誇る絶対防衛線ククアナ・ラインに対して攻撃を開始、セントヴォルトに侵攻。新たな戦雲が再び他島海を覆おうとしていた。
 世界各地に散りじりになってしまった「エリアドールの七人」は、それぞれの運命に必死に抗い、国家を、そして時代を動かしてく。

感想
 とうとう最終章の始まりです。
 物語世界はますます混沌としてきましたが、これからどうなっていくのでしょうか?
 また先達たちがドンドン脱落して言っていますが、世代交代でしょうかね。

 ところで、第二次イスラ艦隊が今回とうとう『誓約』メンバーと合流しましたね。
 んで、バレステロスとか前シリーズの国家群はどうなってるんでしょうか? 『誓約』側の国家群はほぼ、ウラノスのなすがままになってしまっていますが、向こう側は平穏なのかな?

 イマイチこの世界の全体の情勢を把握しきれていません(^_^;)
 前作末までの状況だと、『誓約』よりは大分ましに思えますが。彼らはどちらかと言うと内輪が問題な気が…。



 そんな世界情勢と同じように、相変わらず清顕(きよあき)の気持ちもグダグダしてますね。
 個人的にはイリアの方がミオより好きですので、イリアをさっさと選べばいいのにとか思ってみていますw

 ミオについては、感傷的な部分が強い気がします。「初めての相手は忘れられない」のか?
 引け目もあるのかな。ミオの悩みに気付いてあげられなかったという。

 前巻のラストがあれだったので、今巻はイリアとの親密さが増してるのかと期待してたのですがね。
 いきさつがあれなので、二人とも距離を測りかねている部分があるせいでしょうか、詰め切れていないのは。

 このままだと、最後の最後に選ぶ羽目に成りそうですね。
それものっぴきならない状況で。

 てか、ミオはこれで脱落かと途中で思いましたw


 カルが颯爽と活躍とともに再登場した今巻のラストでしたが、次回以降はどうなるのやら。
 ニナの方は、まだまだ先は長そうです。
 てか、カルの再登場シーンが、「王子様」っぽくて笑えてしまいました。

赤城大空 『二度めの夏、二度と会えない君』 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)
(2015/01/20)
赤城 大空

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 突然やって来た転校生、森山燐(もりやま・りん)は不治の病を患っていた。オレ、篠原智(しのはら・さとし)は彼女と一緒に、彼女に引きずられバンドを結成し、ライブを演り、最高の時間を一緒に過ごした……そして、燐は死んだ。
 俺に残されたのは、取り返しがつかない、たった一つの後悔だった。決して伝えてはいけなかった言葉。あんなことを彼女に言わなければ、燐はきっと最後まで笑顔でいられたのに…。
 後悔に押しつぶされそうになっていた俺にチャンスが。突然のタイムリープ、二度めの夏。そこで俺はもう一度燐と出会う。奇跡が与えてくれた、再びの夏。俺は嘘をつく、彼女の最後の時間が笑顔で過ごせるように。

感想
 買ってみて驚いたことは、『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』の作者さんの作品だということ(笑)

 この『二度めの夏~』は、ド真ん中真直ぐな青春小説です。 あらすじを読んでもらえれば分かるとは思いますが。
 一方、『下ネタ~』の方は、タイトル通りのとてもではないですが万人に勧められるような作品ではない作品なのです。下世話もここに極まれり、といった内容の作品。何より表紙絵が…。

 という、読んでみて驚いたというお話


 あらすじにあるように、ぱっと見、お涙ちょうだいの良くある話なのかと思いましたが、そう単純な話ではなかったという。
 全体のトーンがそこまでセンチではなく、どちらかというとラブコメのノリに近いです。
 それもじれったく感じるタイプのラブコメです。


 ヒロインである燐(りん)が、常に明るく、全力投球で、笑顔でいるところが大きいですね。彼女が陰鬱になっていたら、この作品はつまらなかったでしょう。
 その彼女のために嘘をつくことを決めた主人公の覚悟、迷いも、ストーリーに彩りを加えています。

 中心にいる二人の人物造形がとても魅力的で、作品を読ませてくれました。





 ※※以下、話の結末部分のネタバレを含みます※※

 結末も、ご都合主義的なものではなく、悲しみを悲しみのままで終えているところがよかったです。
 奇跡的なことが起きて、燐が死なずにすんでハッピーエンドということが無いところにも好感が持てました。
 逆にこの作品で、「実は…」とかやられていたら、駄作になった気がします。

 ※※終わり※※
 

 失礼ながら、『下ネタ~』止めてこういった青春モノの方にシフトしても十分にやっていけるんじゃないかと思いました。
 と言うか、もっと読んでみたいと思いました。
 次も、青春小説を書きませんかね?

 イラストも作品に合っていて、良かったです。
 燐の笑顔が可愛い♪ 
 表紙絵が素晴らしいですね。
 読後に見ると悲しくなりますが…。

宮部みゆき 『悲嘆の門』

悲嘆の門(上)悲嘆の門(上)
(2015/01/15)
宮部 みゆき

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 世間では、殺害した人間の死体から、一部を切り取るという戦慄の殺人事件が発生していた。しかもその殺人事件は、複数発生し、メディアでは連続殺人事件として連日大きく扱われていた。
 そんな中、ネット監視のアルバイトでこの事件に行きあった大学生の孝太郎は、やがてこの事件に飲み込まれていく。一方で街には「動くガーゴイル像」の噂が広まっており、定年退職した元刑事・都築は、知人の頼みでその噂を調査することになる。
 徐々に憎しみに染められていく世界。二人と《異形》が出会う時、「悲嘆の門」が開かれる。

感想
 『英雄の書』の続編でした。
 『英雄の書』自体を読んだのがだいぶ昔で、記憶があやふやなので断言はできないのですが(^_^;)
 物語自体には直接の繋がりはなく、世界観を共有した別のお話といったところが正確でしょう。

 さて、物語自体は『英雄の書』がそうであったように、純粋な現代劇ではなく、ファンタジー要素をその根幹に据えた、ファンタジーと現代劇のハイブリッドになっています。

 ですので、純粋な現代劇、ミステリーとしての作品を期待されている方には違和感があるかと思います。「これはこういうお話だ」という割り切りが必要で、そういった割り切りが無理そうであれば、おススメできません。
 例えば、最近の宮部さんの作品で言うと『ソロモンの偽証』のような、現代ミステリーを期待されて購入を検討されている方は、再考された方が良いかもしれません。

 個人的には結構楽しく読めましたが、ファンタジー部分と現代劇部分の比率というか、混じり具合が微妙だったかなとも思いました。
 もう少し、ファンタジー要素を減らしてくれていたら良かったなと。
 ファンタジー要素を無くしてしまっても面白い作品になったと思いました。もしくは『ブレイブストーリー』のようにファンタジー部分に軸足を置いてしまっても良かったかな、とも。
 ファンタジー部分が付けたしの様になっていまっていて、少しもったいない気もしました。

 まぁ、よくよく考えてみると、付け足し部分は現代劇の方のような気もしますが。
 「連続死体損壊遺棄事件」がメインとして描かれているのですが、実のところ、事件そのものは作品の中心ではない気がします。少なくともミステリーや警察小説のように、事件そのものが作品のキモではないので。
 そうした点でも、ミステリー作品として本書を楽しむことは難しいかと思います。

 
悲嘆の門(下)悲嘆の門(下)
(2015/01/15)
宮部 みゆき

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ヒュー・ハウィー 『ウール』 (角川文庫)

ウール 上 (角川文庫)ウール 上 (角川文庫)
(2013/09/25)
ヒュー・ハウイー

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 終焉を迎えた後の世界、人類は地下深く、144階建ての「サイロ」と呼ばれる建物で、限りのある資源を利用しながら生き延びていた。
 サイロのカフェテリアのスクリーンに映し出されるのは荒涼とした外の世界のみ。外に出ることができるのは、レンズを磨くための「清掃」の時だけ。しかし「清掃」に出かけたものが生きて戻ることはなかった……機会工のジュリエットが「清掃」を科される時までは。
以上は上巻のあらすじです

感想
 帯やらなんやらで煽られている程ではなかったかな、というのが素直な感想です。
 ストーリーや世界観はしっかり練られていて、読み応えはあるのですが、いかんせん良くある話という感じを最後まで払拭できませんでした。
 「文明崩壊後の世界もの」と言って皆さんがぱっとイメージするもの、それ以上のものではなかったかと思います。


 とはいえ、サイロと呼ばれている人類の居住空間といった舞台設定、その中で営まれている人類の生き残りの生活感など見どころは多々あるかと思います。
 サイロという閉鎖空間内での生活が持たざるを得ない閉塞感、そういったものを作者さんはきちんと描いていて、それがこの作品の魅力の一つになっています。

 閉鎖空間内の閉塞感からの解放。
 そうしたカタルシスがこの作品の大きなテーマになっているようでした。
 閉鎖空間内のはなしなのに、解放的な性格の楽天的な人間がわんさかいたら興ざめですもんねw


 さて、この作品ですが、実は三部作となっているそうです。
 現状は第二部の『シフト』までが角川文庫から刊行されているのかな? 
 第二部は、時系列的には『ウール』以前、人類がサイロを作りその中に閉じこもることになるまでを描いたものだそうです。三部は、『ウール』に続く時系列の作品になるのだとか。

 二部以降はどうしようかな?
 個人的には、あまり期待ができないので保留しています(^_^;)
 作品世界の謎自体も予測通りでしたし、これ以上の期待は…。


 ところで、「サイロ」のイメージがFF8の砂漠の刑務所と被ったのは私だけでしょうか?
 ちなみにFF8の砂漠の刑務所は、ドリル型の3つの塔が連結したような建物でした。そして、必要がある時にはドリルのように回転して地下に埋まるというものです。
 閉鎖空間で、地下に埋まっているとか似ていませんか?

ウール 下 (角川文庫)ウール 下 (角川文庫)
(2013/09/25)
ヒュー・ハウイー

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鴨志田一『青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない』 (電撃文庫)

青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)
(2015/01/10)
鴨志田一

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 夏休み直前、咲太(さくた)の前に初恋の相手、牧之原翔子(まきのはら・しょうこ)と同じ名前、同じ容姿をした女子中学生が現れた。本当なら翔子は大学生になっているはずで…。混乱する咲太に、さらなる思春期症候群の影が忍び寄る。
 「この世界に私がふたりいるんだ」。
 何故か二人になった理央(りお)。咲太は片方の理央を自宅にかくまうことになり、プチ同棲生活が始まった。麻衣先輩までそこに加わって、自分も咲太の家に泊まると言いだして…。


感想
 ちょっと個人的に当初予測していたものとは違っていて、その点では残念でした。

 「理央が二人に別れた」ということだったので、「恋愛をとる理央」「友情をとる理央」の二人に別れるのかと思っていたのですよ。

 理央があの関係性の中から踏み出すのかどうか、これまで思春期症候群に距離を置いていた感じの彼女が自分が当事者になってどうするのかな、とか色々想像してましたw
 その点では、恋愛方面には軸足はあまり置かれていなかったようなので残念でした。個人的には、理央のキャラは好きなのでリベンジの機会をその内設けて欲しいですw


 またヒロイン(各巻毎に設定されているヒロイン)が、今回は理央でしたので彼女の性格的なものもあってか、全体的に大人しめでしたね。
 トンデモ展開というか、飛んだ感じの話も無かったかと思います。
 それが悪いという訳ではないのですが、もう少し理央の恋心的なものを引っ張っても良かったのかなぁと思いました。少し良い子ちゃんすぎるかなぁって。

 そういえば、咲太の初恋の人にそっくりな翔子はなんだったんでしょうか?
 まだ彼女の話にはなっていないので、次回以降に持ち越しですね。 一つの話の中で二つのストーリーが展開されているので、せわしない感じが多少しました。


 次回はあまり光の当たらなくなっているメインヒロイン、麻衣先輩回になるそうです。
 バニー再び?
 新キャラも出るようです。ってか、妹って…。

佐島勤 『魔法科高校の劣等生 (15) 』(電撃文庫)

魔法科高校の劣等生 (15) 古都内乱編 (下) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 (15) 古都内乱編 (下) (電撃文庫)
(2015/01/10)
佐島勤

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評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 9月下旬。
 四葉真夜(よつば・まや)による「横浜から逃亡した周公瑾の捕縛」依頼を受けた司波兄弟は、古都京都で九島光宣(くどう・みのる)と出会う。彼の協力を得、捜査を進めるものの手掛かりは未だ掴めずにいた。
 そんな折、七草家のボディーガードの訃報が達也たちのもとにも届く。自家のボディーガードの死について思うところがあった真由美は、彼の死の調査に関して達也に協力を願う。真由美も合流し、事態は動き出す。
 一条将輝(いちじょう・まさき)も加わり、周公瑾を追いつめていく。

感想
 山なし、谷なし、オチなし…。
 盛り上がりに欠ける巻でした。
 これぐらいなら、上下分冊にせずまとめて厚めの一冊で出してくれた方がずっといいですね。

 ストーリーは、あの芸人のネタみたいな感じでした。「♪あるある言いたい~」って言いつつ、結局言わないアレ。
 動きを匂わせておきながら、結局特に何も起きずに、大きな動きも無く普通に終わるとか…。
※一応動きとしてはありましたが、微妙過ぎて盛り上がりに欠けます※

 一条とか登場損じゃね? それともあまりに大人し過ぎるストーリーだから飾りを増やしたのか?
 たんなる「光宣の紹介回」という程度として見ておけばいいんでしょうかね。

 周公瑾も、大物臭をさせておきながらのあの体たらく…。
 咬ませ犬もいいとところ。 せめて盛り上げろと。


 派手に魔法を打ちあったり、戦闘をするからこそ面白いお話であると思うので、陰謀・策謀なんかがメインに来ると面白みに欠けますね。
 
 次の巻は、またまた陰謀・策謀中心になりそうで期待薄です…。
 まぁ、四葉本家や分家がからみそうですので、今回よりはいいかもしれませんが…。

 そろそろ考え時でしょうか…?

相沢沙呼 『マツリカ・マジョルカ』角川書店

マツリカ・マジョルカマツリカ・マジョルカ
(2012/03/01)
相沢 沙呼

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 柴山祐希(しばやまゆうき)は、学校に居場所を見つけられず、友達もおらず、冴えない学園生活を日々送っているだけの高校一年生。そんな彼の毎日は、学校近くの廃墟に住む女子、「マツリカ」との出会いで一変した。
 彼女から「柴犬」と呼ばれてパシリ扱いされることへの憤りと、彼女のクールな中にも漂う色香に高ぶってしまう男子高校生的なモヤモヤ感との狭間で揺れながら、どういう訳か学園の謎を解明するために奔走することに…。

感想
 別シリーズ作品、『午前零時のサンドリヨン』とはまた異なるテイストのミステリー作品でした。

 こちらの方のヒロイン、マツリカさんはドSでしたw
 廃墟に住んでいる(棲んでいる)わ、毒舌だわ、狙っているのか妙な色気はあるわで、主人公祐希くんの心を翻弄しておりました。
 祐希くん、高校生でこんな子にハマると人生狂うんじゃなかろうかと余計な心配までしてましたw

 一方、そんな祐希くんは祐希くんで、とてもいい味出している子でした。
 ヘタレで、ぼっち、さらにはムッツリ
 ザ・思春期な男の子でしたね。
 作者さんは、女性だと思われるのに、こうも見事に男子の、それも男子高校生の心理が描写出来ていることに驚きました。気になるよね、パ○チラwww



 さて、本編ですがこちらは『サンドリヨン』と同じく日常の謎を解くことをメインとしたミステリーです。
 こちらは主人公たちが通う学園で囁かれている噂を基として、その噂の奥に潜む謎、真相を探る形になっています。このてんで、手品のトリックを基にした『サンドリヨン』とは異なった感じになっています。

※※注意して欲しいのは、都市伝説的な噂の真相を探るというようなB級番組(たけしの年末特番的なw)のようなものではありません※※

 学園内で「噂」という形に姿を変えて伝わって来る、いじめなどの出来事や事件、事故。そういったものを探るという形です。
 もっとも人死には描かれない作品であることは変わらないのですが。


 さて、続巻である『マツリカ・マハリタ』も同時に購入したのですが、このシリーズは二巻で終わりにするのでしょうか?
 雰囲気的には完結した感じもするのですが、もう少し彼らの話を読んでみたいんですよね。
 
 『サンドリヨン』の続巻である、『ロートケプシェンこっちにおいで』が1月29日に文庫で発売されるそうです。
 なぜわざわざ書いたかというと、最近紹介した時に買ったのは当然単行本。それから一カ月足らずで文庫が…orz
 まぁ、面白かったからよかったんですけどね。あっちの不器用カップルの行方も気になりますし、続巻の刊行も楽しみです。

 にしても、文庫、どうしよう…。

マツリカ・マハリタ (単行本)マツリカ・マハリタ (単行本)
(2013/08/31)
相沢 沙呼

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野尻抱介 『太陽の簒奪者』 (ハヤカワJA)

太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)
(2005/03/24)
野尻 抱介

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 西暦2006年、突如水星から吹き上げられた大質量の鉱物資源は、やがて太陽をとりまくリングを形成した。不運にもそのリングは行動面に平行に形成されたため、地球の日照量は激減、人類は破滅の危機にさらされることになった。
 一体誰が何の目的でリングを創造したのか?
 異星文明への憧れと人類の救済との間で揺れる科学者、白石亜紀(しらいしあき)は宇宙艦に乗り、リング破壊ミッションに赴くが…。

感想
 中古100円にて発見したので購入してみましたw
 以前紹介した『ふわふわの泉』、『南極のピアピア動画』の作者さんの作品です。こちらの方が初期作品になるようです。

 上記の二作品は、きちっとしたまじめなSFの中に遊び要素というか、お楽しみ要素があるような感じだったのですが、今回は基本的に全編通してきちっとした作風でした。
 個人的にはもう少し肩の力を抜いた作風の作者さんなのかと思っていた(上記二作品のような)ので、ちょっと意外でした。まぁ、後書なんかを読んでいると堅い人なのかとは思っていましたが。


 作品としては、『アルマゲドン』のようなディザスタームービーテイストの作品です。
人類滅亡の危機に対処するべく旅立つ人たちの話です。焦点は基本的に白石亜紀という女性にあてられていますが。

 そしてそのディザスタームービーテイストの中に、「未知との遭遇」というテーマが込められていました。
 野尻さんの他の作品でも見られましたが、この人の宇宙人はわりと人類に無関心ですね。まぁ、『インディペンデンスデイ』とかのようなタイプの攻めてくる宇宙人でも困りますけどねw

 ところで、この作品の宇宙人を見て『天冥の標』のメイスン(ミスミィ)を連想したのは私だけでしょうか? まぁ、形は全く違いますし、性質も違うのですが、特徴は似ている気がしました。
 知的生命体は到達するだろうと予測されている一つの頂点なんですかね、彼らのような存在は。
 それに関連して、もう少しAIと意識、魂についての話を掘り下げてみて欲しかったかなと思いました。
 こちらは単純な興味です。


 他には、この作品が野尻さんのこれ以降の作品の基本型になっているような気がしました。
 ヒロインの造形、宇宙、異星人などなど…。
 別シリーズの『ロケットガール』の方は、その内に読むかもしれません。
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