森橋ビンゴ『この恋と、その未来。 -一年目 夏秋-』 (ファミ通文庫)

この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)
(2014/11/29)
森橋 ビンゴ

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 夏休みを迎えた四郎(しろう)と未来(みらい)は、クラスメイトの女子、和田(わだ)、三好(みよし)の4人で泊りがけの小旅行へと出かけることに。旅先の死までの解放感の中、未来から三好との仲を煽られて複雑な心中の四郎。未来への明かせない思いを秘めたまま、新学期が始まる。
 四郎は新学期早々、文化祭委員に三好と共に任命され奔走することに。共に居て気疲れしない、穏やかな三好に心地良さを感じながらも、未来への恋心を消化できないまま悶々とする。追い打ちを駆けるように、未来の心を奪う人物まで現れて…。

感想
 いよいよ本編に動きが出てきましたね。

 前巻末にて自分の未来への恋心を自覚した四郎ですが、ある事情から明かすわけにもいかず、悶々としております。
 そこに来て、女子二人を交えた「ダブルデート」ですよ。
 さらには新キャラ登場なうえに、あんなことになってしまって…。

 森橋さんは、四郎が嫌いなのでしょうか(笑)?

 まぁ、四郎は四郎で、今回の最後での発言も大概ヒドカッタですけどね。
 彼のイメージが変わるくらいの酷さというか、鬼畜ぶりというか。
 いっぱいいっぱいなのは分かるが、もう少し言いようがあるだろうと突っ込まざるを得ないw
 
 今後また一波乱もふた波乱もありそうですが、楽しみです。
 あの子には不幸な未来しか見えないのが悲しいですが(TДT) 気を強く持って頑張って欲しいと思います。
 どう考えても幸せになれなさそうなのがまた…。


 今回も性同一性障害という重いテーマでありながら、暗かったり、真面目になりすぎることも無く、程良い明る明るさとノリの良さで読ませてくれました。
 その点すごく上手ですよね、この作者さん。

 一方で未来や四郎の迷いというか、気持ちの置き方、在り様等はきちんと書かれていて、恋の問題に悩む高校生という部分もしっかりとあり、恋愛小説としてもきちんとしているかと思います。


 今回はあとがきにて、ちょっとしたSSが掲載されております。
 6p.程の本当にちょっとしたお話ですが、あの人たちの「その後」のお話を見ることができます。
 というか、本編中にもちょろちょろ出てきてますが(名前だけは)。 それなりに幸せそうで良かったです。
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宮原るり『僕らはみんな河合荘 6巻』 (ヤングキング・コミックス)

僕らはみんな河合荘  6巻 (ヤングキング・コミックス)僕らはみんな河合荘 6巻 (ヤングキング・コミックス)
(2014/11/29)
宮原るり

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 律と宇佐、そして河合荘の住人、麻弓やシロやさやかたちとのドタバタラブコメディー。
 憧れの先輩、律との距離も少しづつ縮まってきて幸せ気分の宇佐。しかし春を迎えて新三年生となり、受験生となった律にはささやかな変化が訪れて…。

感想
 今回は恋愛成分多目(当社比w)でお送りされていました。
 もちろんただの恋愛成分ではありませんよ。
 何せ律ちゃんですからw
 こじらせまくった恋愛模様が展開されております。

 巻末にはよく重い話があるこのお話ですが、今回はそんなことの無く、終始ニヤニヤして楽しむことができました。

 律ちゃん、とうとう自身の恋心を自覚する!?

 終始いい表情を浮かべてくれておりました(^-^)
 が、いかんせんすげー今さら感、というかやっとかよ感w

 実は宇佐くんの方にも動きがあるのですが、こっちは別にいやw
 爆発しろ!としか言いようがねぇ。



 新キャラあり、懐かしのツネコの登場あり、と内容濃い目になっていました。
 二人の今後の関係からますます目が離せなくなった新刊でした。
 いやぁ、律ちゃん可愛いな(笑)

 アニメ版から入った方にも十分楽しめるものになっているかと思います。

鈴木大輔『文句の付けようがないラブコメ』 (ダッシュエックス文庫)

文句の付けようがないラブコメ (ダッシュエックス文庫)文句の付けようがないラブコメ (ダッシュエックス文庫)
(2014/11/21)
鈴木 大輔

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評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 神、神鳴沢セカイ(かなるざわせかい)は美少女だ。世間知らずで尊大で、見た目は幼いのに酒と葉巻を嗜み、一日中外に出ることも無く屋敷で本を読んで過ごしている。
 そんな彼女の「生贄」として捧げられた少年、桐島ユウキ(きりしまゆうき)。彼は生贄の代償に叶えられる願いに、世界との結婚を望んだ。そして始まった二人の生活は、穏やかで他愛のない日々は、徐々に狂いが生じ始めていく。

感想
 この巻では、特にラブコメしていません。 タイトル倒れ的な部分がありますのでご注意を。
 所々ラブコメというか、お約束的なイベントは書かれています。
 ※※長編としての構成のもと書かれているようですので、今後ラブコメ分が強調されてくるのかもしれません※※ 


 が、それはそれとして、特に面白くはありませんでした

 設定は考えられていると思いますが、それとラブコメ要素が噛み合っていないように感じました。今後どのように処理されていくのかに期待ですかね。
 次巻以降は購入しないと思いますが。

七尾与史『ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件』 (幻冬舎文庫)

ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件 (幻冬舎文庫)ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件 (幻冬舎文庫)
(2013/08/01)
七尾 与史

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 人気クイズ番組のクイズ王が、喉を切り裂かれて殺害された。黒井マヤは相棒の代官山、本庁のキャリア組の浜田学(はまだまなぶ)とともに捜査を始め、もう一人の有名クイズ王・阿南(あなん)の元部下である伊勢谷(いせや)を重要な容疑者として狙いを付ける。しかしその矢先、伊勢谷は喉を切られて殺害された自身の母親を残し失踪してしまう。彼女の自宅には、カルト教団の祭壇がおかれていて…。

感想
 新キャラ登場で、ますますドSぶりに磨きがかかったマヤ様でした。
 マヤのドSな言動に歯磨きが掛かっていましたが、猟奇趣味の方は大人し目でした。

 代官山君は、相変わらずのワトソンぶりと振り回されぶりでした。
 今回は振り回された揚句、本庁へと出向ですw

 新キャラさんの浜田はキャリアであり、マヤの上司でもあり、なおかつドМという濃いキャラでした。
 とは言え、浜田は代官山とマヤさまとの三角関係などに発展するでもなく、しれっとした登場。現場では大体ゲ○を吐いているところぐらいしか印象に残っていませんw
 まぁ終盤で見せ場がありましたが。


 今回は「朱に交われば赤くなる殺人事件」ということでした。
 前回しかり、今回はどんな仕掛けで楽しませてくれるのかと楽しみにしていたところですが、今回はそんなに印象的なものではありませんでした。
 というか、仕掛けの現実味が薄く感じたからでしょうか。
 もちろんきちんとした裏付け、理論はあるのでしょうが、どうも「トンデモ」な感じがしていけませんでした。多少なりとも誇張されているんでしょうが、現実にああなり得るのか疑問に感じました。
 その点で、ちょっと引っかかりを覚えました。


 それ以外に印象に残ったのは、作品内に作者本人が登場したことでしょうか。しかも歯科医師。
 ストーリーにもしっかりと絡んでるしw

 「カルト教団」とかが出てきたときはどうなる事かと思いましたが、暴走というか迷走することなくきちんとまとまっていたのはさすがだなと思いました。
 次巻はどうしようか迷い中です。

横槍メンゴ『クズの本懐(4)』 (ビッグガンガンコミックス)

クズの本懐(4) (ビッグガンガンコミックス)クズの本懐(4) (ビッグガンガンコミックス)
(2014/11/19)
横槍 メンゴ

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 茜(あかね)の歪んだ本音を知った花火(はなび)は、一つの決断をする。
 愛しい人の代わりに、足りないモノの代わりに、求めてしまう温もりがある。
 それぞれの恋心と欲望が渦巻く拗れた関係と、もつれる赤い糸の行方は…。

 純愛は穢されていく。もう止められないくらいに。


感想
 いやぁ~、面白くなってきました(ー_ー)!!

 茜先生、クズいですネw
 歪みなく歪んでいます。 そして今回、とうとう、今回…やってしまいましたね。
 というか、麦くんは彼女のどこが良いのやら。 クズい部分も含めて好きということですが、どうなんそれ?


 個人的には、えっちゃんが気になります。 
 というか、えっちゃんはお気に入りキャラです。 かわいいですよねぇ~。
 今回の感想の第一は、
 嫌ぁ~、ヤンデレ化してる~(TДT)ですw 
 そんなえっちゃんですが、今回とうとうダークサイドへ足を踏み出したと言うか、堕ちたようですw
 作者から不幸体質認定され、今後幸せになれるのか激しく不安なえっちゃんです(あとがき漫画より)。


 花火ちゃんも、えっちゃんに釣られてダークサイド堕ちするようですが、これからがこの作品の本番なのでしょうか。
 「クズの本懐」ですからね。 病んでからが本番でしょう。

 これからどうなってくのかなぁ? えっちゃんには幸せになって欲しいですが(>_<)

三秋縋 『三日間の幸福』 (メディアワークス文庫)

三日間の幸福 (メディアワークス文庫)三日間の幸福 (メディアワークス文庫)
(2013/12/25)
三秋縋

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 寿命を買い取ってもらった、一年につき一万円で。
 困窮し、本CDなど換金できるものは換金した。その時訪ねた古本屋、CDショップで「人生を換金してくれる店」の話を聞かされた。胡散臭く思いつつも尋ねたその店で査定された俺の残りの人生は、一年に付き一万円だった。
 未来を悲観して、残りの寿命を三カ月だけ残して売り払った俺は、僅かな余生で幸せをつかもうと躍起になるが、すべて裏目に出る。そんなオレのから回りっぷりを冷静に監視する女性、ミヤギ。残りわずかな人生を彼女とすごすうちに、彼女のために生きることが幸せなのではないかと気付いた。しかしそう気付く頃には、残りの寿命は二カ月を切っていた。

感想
 人生を査定して換金するというアイデアに惹かれて買ってみました。
 三秋縋さんは、ウェブ小説界では有名な人なのですかね?帯などの紹介を見るに。

 さて、感想ですが、面白かったですよ。
 上述のアイデアがきちんとストーリーに活かされていて、企画倒れというか、見かけ倒しの作品ではありませんでした。
 「『お前の人生はロクでもない』と評価されてしまった時、人はどうするのだろうか?
 この作品は、そういった問いに対する答えの一つなのではないでしょうか。


 クスノキという男が主人公なのですが、作品冒頭の小学校時代の回想シーンがヒドイですw なんていうか、ロクな大人にならないんじゃないか的な雰囲気が漂っています。 「鼻もちならない」ってこういう時に使うんだな、という凡例になりそうなお子様です。
 が、作品中盤から確実に「まとも」な方向に向かっていましたね。自分勝手な人間が、周りに目を向け始めた感じです。

 一方で監視ミヤギさんですが、色々謎な人でした。
 ただ監視対象者がやけを起こして問題行動に走らないかを監視しているだけで、死神のようなものでもない。というか、人間だそうで。 でも監視対象者以外には姿を認識されないとか。
 その謎も魅力の一つになっている不思議な人でした。 それらの謎は謎のままで放置されていますが、特に気にはなりませんでした。



 基本的には、この二人を中心にした変則的ボーイミーツガールものです。
 命がかかった状況でのラブストーリーですが、一昔前に流行った「病気で相方が死ぬ」タイプ、携帯小説タイプの物語ではありません。
 そういった自己陶酔型の物語ではないので、それらが苦手な人にもおススメです。

 また、そういった作品にありがちな鬱屈した空気はほとんどありません
 むしろ作品終盤になり、リミットが近づくにつれて前向きになっていく作品です。 でもそれもカラ元気とか、諦めから来る明るさではないところがこの作品の魅力だと思います。


 個人的には、このクスノキ・ミヤギコンビの話だけではなく、他の人間のエピソードも見たかったですが。
 ミヤギ自身のエピソードや、これまで担当してきた人たちの話はありましたが、そうした人たちにも焦点を当てたと言うか、彼らを主人公にしたお話もあったら良かったです。
 オムニバス形式で。

 単純にこの世界観での、他の物語も読んでみたいなという単なる願望です(^_^;)
 『世にも奇妙な物語』にありそうな、面白い世界観だと思ったので。

伊藤計劃・円城塔 『屍者の帝国 』(河出文庫)

屍者の帝国 (河出文庫)屍者の帝国 (河出文庫)
(2014/11/06)
伊藤 計劃、円城 塔 他

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 屍者復活の技術が全欧に普及したた19世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員にスカウトされ、アフガニスタンへの潜入任務を言い渡される。アフガニスタンの奥地でワトソンを待ちうけていたのは、潜入任務の目標、屍者の王国の王カラマーゾフだった。彼の渾身の依頼を受けたワトソンは、近年頻発している屍者が関わる事件の裏にいると言う最初の死者、ザ・ワンと「ヴィクターの手記」を追い求めて世界を駆けることに…。

感想
 非常に抑制された、恬淡とした文章でした。
 作中のとある趣向、屍者による口述筆記という形式をとっていると言う設定上仕方が無いのかもしれませんが、非常に淡々と進みます。
 屍者は、生者のような感情を持ち合わせていないと言う説明がされているので。
 そのせいか、物語自体がとても淡白な印象を与えてしまっています。なんと言うか、盛り上がりに欠けると言うと言い過ぎですが、もう少し感情というか、情緒的なものがあってもよかったのにと思います。


 ストーリーはあらすじに書いたとおり、世の中に屍者、すなわち「フランケンシュタインの怪物」があふれている世界設定となっています。 つまり、人間から死が奪われたと言うか、遠ざけられた状態の世界です。
 「死なない」のではなく、死んだ後も動き続ける感じです。
 「永遠の生を死に続ける」と説明されてました。個人的には「永遠の死を生き続ける」の方がしっくりきますが。

 そんな死人にあふれた世界で、屍者作成技術に関する陰謀を巡って、ワトソン氏の冒険が繰り広げられます。
 このワトソン氏、誰もが知るあのワトソンと「同一人物」ということになっています。
 名探偵の助手のワトソンです。
 元のワトソンもアフガン帰りということになっていますが、(というかネタ元がそうなっているので)冒険先もアフガンになったんでしょうね。まぁ、こっちのワトソンは日本にも行っていたりしましたが。


 作品としては、SF的なスパイ小説の雰囲気でしょうか。 諜報員ワトソンの活動記録です。
 スパイとはいっても「007」とか「MI」でのような雰囲気ではなく、トム・クランシー的な謀略もの寄り。アクションがない訳ではないけれども、頭脳戦がメイン。
 『虐殺器官』や『ハーモニー』のような、活動的な作品ではありません。作品としてはそれら前作のようなものを期待していたので、余計に淡々とした感じが強かったのかもしれません。



 プロットは伊藤さんが作ったそうですね。
 『虐殺器官』では言葉、『ハーモニー』では意識を取り上げていましたが、今回は死ですかね。最後まで読むと言葉なような気もしますが。

 円城さんには失礼になってしまいますが、やはり出来れば伊藤さんが書かれたものを読んでみたかったですね。
 「19世紀にイスラエルと出現させるにはどうしたらいいか?」とかを考えていたとか聞くと、そちらも読んでみたくなります。

 
 もちろん、面白くなかった訳ではありませんが、先にあげたような理由で盛り上がりに欠けるきらいがあった気がしますので、微妙な評価とさせてもらいます。

渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10』 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫 わ 3-16)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫 わ 3-16)
(2014/11/18)
渡 航

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 冬休み。のんびりとした年の瀬、年明け。
 合格祈願の初詣や買い物など、普段はしない予定がいの外出が重なる八幡(はちまん)が新年に街で出会ったのは、雪ノ下陽乃(ゆきのしたはるの)と葉山隼人(はやまはやと)、そして…。
 一緒に過ごしてきた時間の中で、お互いのことを多少は知ることができていたように思っていた。でも知らないことの方がまだたくさんあるのだろう。
 二年生という学年もあとわずか――。

感想
 なんだか、雪のんが可愛過ぎてびっくりしました。デレ期?デレ期?
 とりあえず、一山は越えたからですかね。本丸はまだまだこれからみたいですが。
 
 陽乃お姉さんは相変わらず、小悪魔ただし大魔王クラス)でした。そして何気に表紙まで飾る…。
 どんなサブキャラ?
 ちなみに「大魔王うんぬん」は、作中での八幡の発言です。「大魔王からは逃げられない」だそうなw 



 今回は前回のクリスマスイベント後、年の瀬を挟んでの冬の出来事でした。
 メインは、高校生としては避けては通れない進路にまつわる悲喜交々。進路によってはこの先も一緒にいられなくなることもあり。新年度以降のクラス分けに関係もあり。

 変わっていくことと、変わって欲しくないこと。 新しい季節と、新しい関係。
 そうしたあれこれのお話でした。


 だんだんというか、だいぶ前からというか、ヒッキーは「ぼっち」の名を返上すべきなのではないかと思ったりw
 あんだけかわいい女の子たちに囲まれてぼっちとか…。
 てか、いろはが奉仕部の面々に懐いててちょっとびっくりしました。 あとわりとまともになってたw

 あ、今回は、陽乃を表紙にしておきながら、メインの話は葉山です。
 雪のんの話なのかと思ったよ。とうとうか、って。
 「完璧超人」である葉山のちょっとした裏側というか、本心的・本音の部分が見られて少し好感度が上がりました。まぁ、裏は誰にでもあるよねぇ、って言うお話。とは言え、裏も綺麗めな葉山君でした。
 ヒッキーの解決方法が、今回はわりとまともかつ大人しめでびっくりしましたw

 次巻は、3年生に進級しての春以降の話ということになるんでしょうか?
 それとも「10・5巻」になって、春休みのアレコレを描く短編集みたいになるのでしょうかね?

相沢沙呼『ロートケプシェン、こっちにおいで』

ロートケプシェン、こっちにおいでロートケプシェン、こっちにおいで
(2011/11/19)
相沢 沙呼

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評価(☆5が満点)
☆4


あらすじ
 やっと酉乃(とりの)の本心を受け止めることができたと思ったクリスマスのあの日。勢いと雰囲気の力を借りて告白した僕は、なんと彼女の返事はおろか、連絡先さえ聞き忘れたまま冬休みに突入してしまった。
 「もしかして迷惑だった?」そう考えてしまい悶々と過ごす僕に、新年早々織田さんたちからのカラオケの誘いがかかる。そこで起こったちょっとした事件の謎を解くべく、ボクは『サンドリヨン』へ向かったのだが…。

感想
 やっと買えました(*_*)
 近所の本屋さんにはなくて、ちょっと出かけた時に立ち寄った書店で発見して購入。

 相沢さんの作品はちょくちょく読ませてもらいましたが、やっぱり「酉乃さんシリーズ」が好きです。
 文体のみずみずしさがちょうど作品世界にマッチしていますし、文章の読みやすさとテンポがすごくいい。他の作品も同じ感じはするのですが、こっちは作品の雰囲気にマッチしている感がより強い気がします。

 相沢さんは高校生を描くのがすごく上手な気がします。『ココロファインダ』とかでも思いましたが。
 ぶきっちょな酉乃さんは可愛いし、八反丸さんのツンデレっぷり(?)も好きですね。
 須川くんのへたれっぷりにも好感が持てますw
 登場人物たちのキャラクターが素晴らしいのも、この作品が好きな理由の一つです。読んでいて楽しいですし、次に彼らがどんなことを言い出すのかが気になります。

 特に今作は須川くんと酉乃さんのもどかしい恋愛模様を遠くから優しく見守りつつ、謎を楽しむことができました♪
 そりゃ帯にも「須川くんの『なかなか』進まない恋の行方も必見」とかって書かれますよw
 このもどかしい感じ、嫌いじゃないです。



 作品としては、今回もマジックのトリックの手法に因んだ短編連作集という形です。個々の独立した事件、話題が最後に綺麗に繋がって一つの結末を導くと言う大きな流れは前作を踏襲しています。

 手品に関する蘊蓄やあれこれは、今回も健在です。
 手品の手法をトリックに活かしているのも、このシーリーズの特徴ですね。そこも面白い点です。


 数ある学園ミステリー作品の中でも、高校生という多感な時期の姿を見事に描き出しているすばらしい作品だと思います。また無理のなりトリック、舞台設定と、作品自体が綺麗に整っているところもいいですね。

 学園ミステリーがお好きな方には是非一読をお勧めします

七菜なな『心理学者こころ女史の分析 卒業論文と4つの事件」 (富士見L文庫)

心理学者こころ女史の分析 卒業論文と4つの事件 (富士見L文庫)心理学者こころ女史の分析 卒業論文と4つの事件 (富士見L文庫)
(2014/11/13)
七菜 なな

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評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 「――キミ、本当にバカだね」
 大学三年生の柊正宗(ひいらぎまさむね)が大学の卒業論文保管庫で出会ったのは、変人の院生で心理学研究室助手の天童こころ(てんどうこころ)だった。わずかな手掛かりだけで正宗の探し物を言い当てる観察力と分析力を持つ彼女。
 正宗は、こころの世話係兼お目付け役を心理学教室の教授からいいつけられる。ゼミ幹にも任命された正宗は、同じゼミに所属するメンバーたちが絡んだ奇妙な事件に巻き込まれることに…。

感想
 「――キミ、本当にバカだね」の台詞に惹かれて購入w
 が、予想していたのと少し違いました。

 というか、色々広告倒れなのでは?
 「心理学フィールドワークミステリー」と銘打たれていながら、心理学的なものはあまり見れらず。フィールドワークも別にしていないし。
 「卒業論文と4つの事件」とありながら、卒業論文はとってつけたような扱い。
 あ、ヒロインさんはちゃんと辛辣口調で扱いづらいキャラでしたw


 個人的に最もいただけなかったのは、主人公ですね。
 性格が個人的に合いませんでした。
 「おせっかい」、「正義感ぶっている」。それだけならまだしも、それらに自覚的であることが手に負えないですね。
 単なる善意の押し売りじゃないのかと。しかも「余計なお世話」というと燃える手合い。

 もう一点、ゼミ幹としてゼミの進行を仕切るのはまだいいとして、他の同級生の論文制作にまで発言・支持するとか。しかも院生でもなく学部の3年…。
 他人の論文のダメ出しなんて、学部生に出来るのか? そもそもお前、自分の論文はどうなんだよw

 等、主人公君のキャラ設定には色々不満がありました。


 肝心の謎解きですが、普通でした。
 心理学的な知識を基にして推理するのかと思いきや、先に書いたとおり別にそんなことも無い。フィールドワークは、主人公がノコノコ他人の行動を観察する程度。
 期待していた心理学的な、認知的な盲点を突いた読者の目を明かすようなトリックなどもありませんでした。推理自体にもそうした知見を含めたものではありません。

 ヤンデレの話、BLが絡む話、めんどくさい女(こころ)、めんどくさい男(正宗)の4編でお届けされています。
 BLの話の時、あの夜正宗には何があったんですかね(アッー

 キャラクターミステリーとしてはもう一つ、弱いお話だったかと思います。

大森藤ノ 『ダンジョンに出会いを~ 6 』(GA文庫)

【Amazon.co.jp限定】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)【Amazon.co.jp限定】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)
(2014/11/14)
大森 藤ノ

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 限定版のアイコンしか見当たらなかったので限定版での紹介です(^_^;)
 私は通常版を購入。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 「戦争遊戯」――それは対立する神々の派閥が総力戦を行う、いわば神の代理戦争。勝者は敗者からすべてを奪うことができる。
 「ベル・クラネルをもらう!」
 対立する神アポロンが提示したのはなんとベル。戦争開始までの起源は一週間。さらに追い打ちをかけるように、ソーマ・ファミリアにリリが連れ去られてしまうという緊急事態に。圧倒的に不利な状況の中、これまでに結ばれてきた絆がベルの力になる。

感想
 今回は、ダンジョンが出てこないダンジョン探検小説でしたw
 でも面白かった。
 今回は熱い巻でしたよ~。

 「あの子が欲しい、あの子じゃわからん、相談しようそうしよう~♪
 といった昔ながらの遊びじゃないですが、ベルくんの身柄を掛けての一大争奪戦でした。それと、何気にベルくんの貞操的なものも掛けられていた気がしますw

 表紙絵は作中のとある場面でのアイズさんとのダンスシーンです。 ↑↑のあらすじとの落差がすごい。
 ヤスダさんは相変わらずいい仕事してますね♪

 
 内容はと言いますと、今回は「仲間との絆」「平穏の終焉」といったところですかね。

 リリ、ヴェルフ、命(みこと)、リューさんなどなど、これまでに出会ってきた人たちとの絆が確認されていました。特にリリとヴェルフについてはこれまでのいざこざが収束を見せ、新しい段階に入りましたね。
 これで心おきなく、仲間として今後も頑張って行ってくれるものと思います。

 また今回は、ベルくんの戦闘シーンがとある事情により全都市的に生中継されたりなんかして、これまであくまで噂の中の存在でしかなかった「レコードホルダー」の実力が知られるようになりました。
 ということは、否応なく注目をされてしまう訳で、今後ますます波乱に満ちたストーリー展開が待ち受けているものと思われます。

 てか、ヘスティアはヘルメスにベルくんのステータス情報とか喋ってたけどいいのか?
 神様繋がりでいえば、こんかいはフレイヤ様が大人しかったですね。
 次あたり大奮起したりしてw


 とまぁ、ストーリー的には一波乱あり、次回以降さらなる波乱がありそうな予感を見せつつの熱い巻でした。
 ヘスティアはむろん、アイズさんとの恋の方はまだまだな感じでしたが(^_^;)

 てか、アイズさんの折に触れての態度がなんかもう可愛いです。恋してるの?

青柳碧人『ブタカン!: 〜池谷美咲の演劇部日誌〜 』(新潮文庫)

ブタカン!: 〜池谷美咲の演劇部日誌〜 (新潮文庫)ブタカン!: 〜池谷美咲の演劇部日誌〜 (新潮文庫)
(2014/10/28)
青柳 碧人

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 都立駒川台高校演劇部は、個性あふれる奇人変人揃い。幼馴染で親友のナナコに誘われ、美咲(みさき)は演劇部への入部を決める。誘ったナナコ本人が入院して休部になる中、舞台監督として変わり者ぞろいのメンバーと演劇するべく美咲の奮闘劇が始まった。
 失踪する先輩、消失した台本の行方、部活の顧問の恋模様まで!?
 演劇部の講演成功の鍵は何処に?

感想
 青柳さんの別シリーズである『浜村渚の計算ノート』はあらすじと表紙を見て読まずにいた人間です。
 ロリ…って。

 そんな私ですが、この作品は帯を見て決めました。劇中劇である、『走るなメロス』という作品が気になったからです。
 少々長いですがあらすじを。

   シラクスへ走り始める朝を迎えたメロスの腰には、なんと時速8キロ以上で走ると爆発すると言う装置が!!
   作動すればメロスばかりか故郷の町を破壊してしまうほどの威力。むざむざ殺されるためだけに出ていこうとする
  メロスを思った村人たちの必死の策だったのだが、頑固者のメロスはなんとしても友の待つシラクスへ向かおうとする。
   守るべきは一体? 

 この作品がどう展開するのかが気になったので購入してみた次第です。メロスに「走るな」という作品が、どんなものなのかが気になったのです。
 作中で結末部分が明らかにされましたが、面白いシナリオだったと思います。


 本編はというと、ミステリーというか青春部活小説ですね。
 日常の謎をちりばめてあり、『氷菓』とか『ハルチカ・シリーズ』のような部活+ミステリーものになっています。謎とはいっても、本格的な失せもの探しや実被害あるような事件を解くようなものではなく、ホントのちょっとした謎です。


 謎解きと部活動、新入りの美咲の部活への溶け込み具合とストーリーの進展具合、など色々考えて作られている作品だったと思います。
 それぞれの要素が、独立して存在しているのではなく、キチンと連動していてまとまりのある作品でした。

 
 高校二年生の女の子が主人公ということで、もう少し恋愛要素が強めなのかと思っていたら、意外とあっさり風味でした。一山ありましたが、後引くことも無くあっさりと終わってしまいましたし。
 高校生の女の子が多く登場しているのですし、もう少しぐらいそうしたお話があっても良かったのではないかなぁと思います。
 続刊するようでしたら、次回に期待ですかね?


 最後になりましたが、本作は演劇に疎くても楽しめるようきちんと作られた作品でした。
 「演劇のことは知らないし」という方が読んでも楽しめるかと思います。何せ、私がそうですからw

出口きぬごし『サディスティックムーン』 (電撃文庫)

サディスティックムーン (電撃文庫)サディスティックムーン (電撃文庫)
(2014/11/08)
出口きぬごし

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 他に買いたいものが無かったので購入した作品。
 冒険のし過ぎは良くありませんorz

評価(☆5が満点)
☆1.5

あらすじ
 幸徳秋水(こうとくしゅうすい)は、稀に見る美女である。
 彼女の腰まで伸びた黒髪はしっとりとした光沢を放ち、切れ長の瞳と端正な顔立ちは男女を問わず人を引き付ける魅力がある。汚れのない真白の肌は、ほのかに光って見えるほどだ。
 彼女は美しい―――薄気味悪く、イタイという点に目を瞑ればだが…。
 これは彼女に目を付けられた不幸な少年、久遠久(くおんきゅう)が自身の青春を取り戻すまでの愛と感動の(卑猥でゲスな)物語である。

感想
 いやぁ、ヒドイですwww
 こんな作品をよく販売する決心したな。すごいよ、電撃文庫(笑)


 何より性質が悪いのは、話が成り立っていないとか、物語として破たんしているとか、作者も意味分からなくなっているとか、そうした物語自体の問題は特にないと言うこと。
 つまり話はきちんと作られている。

 にも関わらず、何がいいたいのかがまったく伝わってこない作品でした。
 良くいわれるところのオ○ニー小説という奴でしょうか?

 冒険はしない方が良いですよ~。

七尾与史『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』 (幻冬舎文庫)

ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 (幻冬舎文庫)ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件 (幻冬舎文庫)
(2013/04/10)
七尾 与史

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 最近読んだ『圏内ちゃん』がおもしろかったので、久々に七尾さんの他の作品も購入。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 静岡県浜松市近郊で起こった残虐な連続放火殺人事件。被害者は元ヤクザ、詐欺師、OLとなんら共通点のない人々ばかり。さらには「ドS」で知られる美人上司の黒井マヤ(くろいまや)は死体に萌えるばかりでまったくやる気なし。
 一方で、そんな上司に振り回されているばかりの彼女の相棒・代官山脩介(だいかんやましゅうすけ)は、共通点の見えない被害者の間で「悪意のバトン」が受け渡されているのではないかと気付き…。

感想
 本作は、『圏内ちゃん』で折に触れて人物紹介がされていたコンビが主人公ということで購入しましたが、面白かったです。七尾さんは、こういったコメディタッチのミステリー作品が上手ですね。


 さて、ドS刑事の黒井マヤですが、「ドS」と言うよりかは「毒舌家」と言った方が合っている気がします。
 部下の代官山君をいじめて喜んだりしていませんからねw
 『謎解きはディナーの後で』等に見られるような毒舌家さんでした。彼女の特徴は、ドSとか性格的な面ではなく、どちらかと言うと嗜好の問題でしょうね。
 猟奇趣味の刑事とか、とんだブラックです。現場は荒らさないでくださいね!
 
 代官山君は、どうしてあれだけの推理力と言うか思考力があるのに巡査でいるのでしょうか?(刑事機構の中では最も下の階級。しかも30代で)
 昇進試験が性に合わないとかあるにしても、もう少し昇進していてもいいのではとおもったり。現に同期で警視になっている人間がいると言う設定もあるし(ノンキャリで)。
 最新刊では、警視庁の捜査一課に引き抜かれていたりしているそうなので出世はしているのか?
 マヤのおかげか?(彼女の父親は警察庁の副長官という話)


 謎解き、キャラクターともに面白いお話でした。とってつけたような無理やりな展開も無く、綺麗に読ませてくれました。
 サブタイトルと表紙絵がヒントですね。
 マヤの言行に首肯しかねる部分があったことぐらいが、気になるところでしたかね。

 続編がもう二冊ほど出版されているそうなので、追いかけてみようかなと思います。

歌野晶午『絶望ノート』 (幻冬舎文庫)

絶望ノート (幻冬舎文庫)絶望ノート (幻冬舎文庫)
(2012/08/02)
歌野 晶午

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 中二の太刀川照音(たちかわしょおん)は、いじめられる悲しみを日記帳に綴っていた。ある日いじめのあまりの苦しさに「神よ、是永(これなが)を殺してください」と記した。すると間もなく、いじめの主犯格だった是永が死んだ。しかし一向にいじめは止む気配が無い。次々にいじめをするクラスメイトの名前を書いた。彼らも死んだ。警察は関係者の一人として照音を取り調べるものの、どの事件に関してもアリバイが成立。
 犯人は一体誰だ?まさか、神が?

感想
 『葉桜の頃に君を想うということ』と同じ系統でしたね。
 ただ、個人的にはこの『絶望ノート』の方が好みですが。ちなみに売れたのは前者の方だそう。

 叙述トリックですので、内容にはあまり触れないことにします。
 ぜひ読んでみて、驚いてください。
 全容を把握してからストーリーを振り返ると、これまでの物語が全然違ったものに見えて驚けるかと思います。『葉桜』でもそれはありましたが、こちらの方は180度違って見えるのではないでしょうか?

 これまで見せられていた物は一体何だったんだろうか?

 そんなことを思ったり。
 ここまできれいに決まっている叙述トリックと言うのも珍しいのではないでしょうか?

 犯人はヒドイ奴だ。
 普通の犯人に輪を掛けてヒドイ。
 ネタバレになるので言えませんが、最低の部類の人間でしたね。欠片も同情出来ない犯人も珍しい。


 本筋とは特に関わりませんが、本作はザ・ビートルズの影響が色濃いです。
 私は殆ど曲などを知らないので、サッパリでした(^_^;) TVでよく流れる曲程度しか知りません。『鑑定団』とかw
 解説を読んで納得した口です。
 主人公の照音は、ジョン・レノンの息子ショーンから取っていたり、章題が楽曲名だったりしているそうです。

 今でいうキラキラネームでしょうね。
 「そりゃいじめられるだろう」と容易に想像出来ますよね。 あだ名は「立ちション」だそうな。

浦賀和宏『こわれもの』 (徳間文庫)

こわれもの (徳間文庫)こわれもの (徳間文庫)
(2013/05/02)
浦賀 和宏

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 婚約者の里美(さとみ)を突然の交通事故で失った漫画家の陣内龍二(じんないりゅうじ)は、衝撃のあまり連載中の自身の作品のヒロインを作中で死なせてしまう。人気作品の人気ヒロインであったこともあり、当然ファンからは罵倒の嵐を浴びる。しかしその中に、どうやってか里美の死を予言する内容の手紙があった。送り主の神崎美佐(かんざきみさ)とは何者なのか?本当に死を予知する能力を持っているのか。永遠に失われてしまった愛しい人への思いの果てに、陣内が辿りつく結末とは。

感想
 「浦賀さんの作品」でした。 いつものように独特の読後感を与えてくれます。
 ただ、今回はどんでん返しに重きが置かれているような感じがしました。

 今作は普通にミステリー
 『彼女のため生まれた』のような、気味の悪さのようなものはありませんでした。
 キモイ登場人物は出てきますがw


 筋としては、陣内のもとに届いた婚約者の死を予言したようなファンレターの謎と、その送り主に関しての謎が主です。もう一つの視点として、陣内作品の熱烈なファンというかマニアというかオタクくん視点が、サブとして置かれています。
 両者の視点は途中で混じり合い、物語の結末へと向かっていきます。

 サブ視点であるオタクくんが、これまた典型的ないわゆる「キモオタ」として造形されていて、とてもキモイですw
 どうしてこんなキャラクター付けにしたのか…。
 普通の熱烈なファンでよかったのでは、とか思ったり。
 浦賀さんはオタクに何か含むところでもあるのでしょうか(笑)


 本筋に戻しますと、相変わらず丁寧に伏線がはれている等、しっかりとした構成の作品でした。
 「あ、それがここでそう繋がるのか」と気付かされたりします。
 それ故にと言うか、途中で先の展開がある程度予測できてしまったりはします。それぐらい丁寧に書かれています。


 が、最後のどんでん返しは結構な大業でした。驚きが大きいと言うか、大仕掛けですね。

 「最後の1ページであなたは何を思いますか」

 と背表紙の「あらすじ」にありますが、最後の最後で考えさせてくれました。
 あの人はあの後どうしたのだろうか。
 色々想像させられます。幸せになれていればいいなと思いますが。

榎宮祐、暇奈椿『クロックワーク・プラネット3』 (講談社ラノベ文庫)

クロックワーク・プラネット3 (講談社ラノベ文庫)クロックワーク・プラネット3 (講談社ラノベ文庫)
(2014/10/31)
榎宮 祐、暇奈 椿 他

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 巨大兵器が放ったEMPによって、世界は停止した。リューズも、ハルターも、グリッド・秋葉原も。保身、欺瞞、虚偽、理想。現実を顧みない人々の「総意」による破滅を前にしてナオトはそれらをあざ笑う。
 現実は想像を超える。
 「行こうぜマリー!邪魔するヤツは全部ぶっ壊せばいい」。

感想
 前巻から少し時間が空いたせいで、話を忘れてましたw 読んでいて思い出していましたよ。
 

 「時計仕掛けのオレンジ」ならぬ「時計仕掛けの惑星」という設定に面白みを感じて読んでいるのですが、少しダレましたかね。
 主人公たちのヒロイズムというか正義感にちょっと飽きた。ちょっとナオト達の行動を正当化しすぎな気がしています。 彼らの特異性ばかりが強調されていて、「俺スゲー」感が強くて今回は特に鼻につきました。


 まぁそこを気にしなければ、アクションあり、設定の妙あり、キャラクター性有りで面白い作品です。
 特に「時計仕掛けの惑星」という設定の仕掛けが気になります。
 どうやったら星そのものを機械仕掛けにして作れるのか。想像が膨らみますねぇw

 今回は新しく仲間になったチビッ子のお披露目回ということになるでしょうか。Yシリーズ肆番機のアンクルです。
 12体いるであろう機体の内、二機を手に入れた訳ですが、全機集めるんでしょうか?
 イギリスに参番機がいるというフラグを立てていましたが…。


 今回は上述のような負の側面が目につきましたが、面白い作品だと思います。
 最後になんだか黒幕みたいなやつも出てきましたし。
 てか、この黒幕さん、三下臭が半端なかったですwww
 喋りすぎですよ。そのせいで凄味が半減…。すぐにやられるんじゃね?

 とりあえず次巻に期待です。

浦賀和宏『彼女のため生まれた』 (幻冬舎文庫)

彼女のため生まれた (幻冬舎文庫)彼女のため生まれた (幻冬舎文庫)
(2013/10/10)
浦賀 和宏

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 母親が高校時代の同級生に殺されるという事態に見舞われたフリーライターの桑原銀次郎(くわばらぎんじろう)。犯行後に自殺した犯人・渡部(わたべ)が残した遺書には、高校時代、銀次郎が犯した罪により自殺した女子生徒の恨みを晴らすためだと書かれていた。
 何故母は殺されなければならなかったのか。母の死と自身にかけられた身に覚えのない汚名を晴らすため奔走するぎんじろうを次々に襲う新たなる事実。真実は一体?

感想
 実はこれ、読んでから気付いたんですが、連作ものの二巻目に当たるみたいですね。一作目が別にあるようです。『彼女の血が溶けていく』だったかな。一作目を読んでいませんが(^_^;)
 一作目を読んでいなくとも十分話は分かるので特に苦にはなりませんでしたが。強いて言えば、主人公の銀次郎と元妻との間のあれこれについての予備知識が無くて読んでいて少し気になる程度です。それ以上の関わりは特にありませんでした。


 作品自体は、どんでん返しが続く目が離せないミステリー作品でした。ジェットコースターミステリーとでも言うんでしたか。次々に新しい事実が明かされ、主人公がそれに翻弄されていく作品です。
 実際、事件によって主人公は翻弄されているので、作品の内容にも会った作風だと言えるんじゃないでしょうか。

 ミステリーとして感想を書いていますが、この作品は結末まで読んでいくとホラーなんじゃないかと。
 犯人の動機が怖すぎます。
 シリアルキラー的な動機という訳ではなく、冷静な狂気とでも呼べるぞっとしない動機です。


 謎解きは主として、母親の死の謎と汚名を雪ぐことに費やされています。決して派手な連続殺人事件を扱ったような作品ではなく、その意味では華が無い作品です。
 派手な解決を求めている人にとっては、地味で面白みのない作品に写るかもしれません。
 ですが、じっくり一つの事件に腰を据えているので、より一層犯人の狂気を描き出すことができていると思います。


 「安藤シリーズ」の新刊をまだ読んでいないので、そちらも読んでみようかなと思います。 
 今度もなんだかすごそうですが(^_^;)

京極夏彦編『遠野物語remix』(角川文庫)

遠野物語remix遠野物語remix
(2014/06/20)
京極 夏彦、柳田 國男 他

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 岩手県遠野に伝わる不可思議な説話を、柳田國男が集め、記した『遠野物語』。その『遠野物語』が、京極夏彦の手により現代版として甦る。

 願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。

感想
 「そう言えば『遠野物語』をきちんと読んだことが無かったなぁ」と思いたち購入。

 原著でもよかったんですが、旧仮名使いなのでより読みやすいこちらにしました。
 原著と異なる点は仮名使い以外にもありまして、話の掲載順も変更されています。京極版では、類似した話を付近にまとめてあり、そのためより分かりやすくなっているかと思います。

 『遠野物語』は功罪相含めて日本の民俗学の発展に大いに貢献した名著ではあるので、一読する価値はあるかと思います。
 中には柳田の誤解、誤用等もあり、正確性には欠けるという批判もあるようなので、興味がある方はさらなる探求を進めることもいいのかもしれませんね。
 
 先週(10月29日だったかな?)のNHK『歴史秘話ヒストリア』も『遠野物語』の話で、面白かったです。
 オクナイサマやオシラサマの実物も見ることができましたし、とても参考になりました。映像があるとやっぱり違いますね。


 個人的には、せっかく京極さんが編集されたということなので、京極さんによる解説などもあるといいのになぁと思いました。それが少し残念でした。
 というか、そうしたことが無いのなら「京極さんでなくても良かったのでは?」と思わざるを得ません(^_^;)
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ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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