相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』 (創元推理文庫)

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
(2012/10/20)
相沢 沙呼

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 ポチこと須川(すがわ)くんが一目惚れしたクラスメイトの女の子、不思議な雰囲気を纏う酉乃初(とりのはつ)は、凄腕のマジシャン。彼女は放課後になると、レストラン・バー『サンドリヨン』で腕を磨いている。そんな彼女は、学内で起こる謎を抜群のマジックテクニックを駆使して解決していく。
 マジックをしている時は凛々しくて、お客さん相手にも物おじしない酉乃さん。そんな彼女は、実は人間関係には臆病で、心を閉ざしがち。須川くんは、酉乃さんとの距離を縮められるのか。


感想
 Amazonのおススメで、似鳥鶏さんと並んで表示されていたので期待して購入w 期待は裏切られませんでした♪
 
 本書は、ミステリーとマジックを融合した作風です。
 女子高校生、酉乃さんが探偵として日常の謎を解いて行く、その意味では王道のミステリー作品。ですが、その酉乃さんがマジシャンでもあるというところに特徴の一つがあります。
 またミステリーでありながら、ボーイミーツガールものの恋愛小説の要素も兼ねているところも本書の面白さの一つです。 

 構成は、短編集という形になっています。
 一つ一つの短編には、それぞれの結末がきちんと用意されている。けれども実はそれらの短編は、相互に作用し合っていて、最後の一遍で綺麗に一つの作品としてもまとめられています。
 短編としても楽しめるし、長編としても楽しめる。そうした作りになっています。

 ただ、マジック、マジシャンとしてトリックを駆使して華麗に事件を解決するタイプの小説ではありません。
 マジシャンとしての知見を利用して、発想の妙を活かして推理をしていく小説です。
 もちろんマジックは出てきますが、あくまでマジックショーとしての領域に留まっています。
 ちなみにですが、殺人事件は発生しません。
 また、ホワホワしただけの小説ではなく、締めるところはきちんと締まっていますし、甘いだけのお話にもなっていません。時に甘く、時に苦い。そのバランスがとてもいいお話でした。


 ワトソン役でもある主人公、須川くんもいい味出してます。
 思春期の男子のモジモジ感と、ドキドキ感が上手に表現されていて、好感が持てるます。どうしてあだ名が「ポチ」なのかはわかりませんでしたが。

 酉乃さんは、ギャップ萌えですね。須川くんはすっかりやられてしまったようですw
 まぁ、普段は表情が乏しい子が良い笑顔で笑ったらやられるでしょう。
 物おじしないマジシャンとしての自分と、引っ込み思案で暗い自分とのギャップに本人は苦しんでいるんですが。須川くんとなら幸せになれるのではないかと思います。今後の展開に期待。


 ミステリーとしては若干物足りないかもしれませんが、それを補うだけのものがある作品でした。
 次巻となる『ロートケプシェンこっちにおいで』、別シリーズ『マツリカ・マジョルカ』も気になります。『ロートケプシェン~』文庫になってくれないと、若干の高いのがネックですが(2000円に届く)。

 以下にあげたのは、相沢さんの他の購入を考えている作品です。
 『ココロ・ファインダ』は11日に文庫版が刊行、『スキュラ~』は27日に発売です。

ココロ・ファインダ (光文社文庫)ココロ・ファインダ (光文社文庫)
(2014/09/11)
相沢 沙呼

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スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex(ネックス))スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex(ネックス))
(2014/09/27)
相沢 沙呼

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小川一水『天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉』 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)
(2009/09/30)
小川 一水

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 前回紹介しただけで終わった小川一水さんの『天冥の標』の感想です。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ(あらすじは上巻のものです)
 西暦2803年、植民惑星メニー・メニー・シープは入植300年を迎えようとしていた。しかし植民惑星臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠っている植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの圧政を加えつつあった。
 そんななか、セナーセー市に住む医師カドムは、『海の一統(アンチョークス)』のアクリラから緊急の要請を受ける。アクリラによれば、街に謎の疫病が蔓延していると言うのだが…。


感想
 全十巻構想で書かれた、一代SF作品の第一作です。
 しっかりとした構想のもと、きちんと書かれているので安心して読めました。
 短編集『フリーランチの時代』でその辺は分かっていたので、素直に読みました。


 舞台は地球から数十光年離れた惑星メニー・メニー・シープ。
 そこである時起こった奇妙な疫病を発端に、物語の幕があがります。メインはその疫病をきっかけにした、植民地を支配している臨時総督との対決ということになります。下巻では、臨時総督の植民地の入植者たちのことを考えていない圧政に耐えかねた人々の蜂起とその結果が描かれます。
 
 下巻の最終盤で、「えぇー」となること請け合いですw
 シリーズがどう続くのか、非常に気になる終わり方をしています。パンドラの箱が開けられてしまった惑星メニー・メニー・シープは今後どうなっていくのでしょうか。
 また謎や伏線が張られたまま、回収されていないものもあるので次の巻が気になる仕様です。

 シリーズ最初の巻ということもあり、上記のような未消化な感じがありますが、一つのエピソードとしては綺麗に完結している作品でした。
 植民惑星での一つの反乱の勃発とその結末。 そのような話として捉えるといいかと思います。他の巻をまだ読んでいないので、全体としてこのエピソードがどの様に位置付けられるのかはわかりませんが。


 本作は、あまりSFな感じはありません。
 この惑星は植民に失敗しており(正確には植民船の着陸失敗による不調)、進んだ科学技術の使用が制限されているということになっています。アンドロイドなどは出てきますが、惑星全体が科学の恩恵を受けられている状態にはありません。
 ですので、高度に進んだ科学技術を土台にした話はシリーズの別の巻に期待するといいかもしれません。 4巻目のサブタイトルが「機械の子弟たち」だったと思います。


 全体的に上述したように長大なシリーズの第一作ということで、通常の作品とは違っていますので評価は難しいですね。他の作品も読んでから、判断すべき作品だと思います。
 次回作以降も舞台は同じ惑星なのでしょうか? 『エウレカセブン』的なオチではないことに期待しつつ、他も読んでみますw

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)
(2009/09/30)
小川 一水

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海羽超史郎『バベロニカ・トライアル 西春日学派の黄昏』(電撃文庫)

バベロニカ・トライアル 西春日学派の黄昏 (電撃文庫)バベロニカ・トライアル 西春日学派の黄昏 (電撃文庫)
(2014/09/10)
海羽超史郎

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評価(☆5が満点)
☆1.5

あらすじ
 研究都市、西春日市。
 「学派」と呼ばれる集団が都市の地下で夜な夜な実験をくり返す。こうした都市は他にも全国各地に存在し、各学派間で鎬を削っている。
 箒場葉柄(ほうきばようへい)の許に、以前離れ離れになっていた幼馴染、八重垣櫻(やえがきさくら)がやって来た。白いワンピースに麦わら帽子に整った容姿という、いかにもなお嬢様然とした彼女は、葉柄にとっては頭痛の種だった。彼女はその見かけとは裏腹に自由奔放で、葉柄は櫻に振り回される日々。そんな自由気ままな櫻には、実は目的があって…。

感想
 お金がもったいなかったです(泣)
 知らない作家さんでしたが、あらすじを見てSF的作品を期待して購入してみました。まぁ、期待は裏切られましたが。
 実はこの作家さん、13年前に電撃文庫で本を出していたらしいです。


 ボーイミーツガールものでしたが、それはおまけ的な感じがしました。というか、ストーリー自体がおまけのような気も。
 「メモリにでたらめなビットを並べていったら、どこかで偶然PC自体がバグる」ような話が書きたかったらしいです。
 ボルヘス『バベルの図書館』の中で展開されている議論のような作品だとか。

 なに言ってるかわかりませんでしたw
 『バベルの図書館』の要点ではなく、この作品で何が言いたいのかがわかりませんでした。
 申し訳ないのですが、書きたいことありきであって、それをストーリーに上手くとり込めてないのではないかと。
 ですので、ストーリーがおまけに堕している気がしました。

 あと、不良に対して終始「アホアホ」言っている主人公はいかがなものかと。そのため、主人公に感情移入することは不可能でした。
 他にも色々説明不足だったり、作者さんの言語センスに合わなかったりしました。素直に読めませんでした。
 ツッかえるというか、引っかかりを覚える部分が多々ありました。

 ということで、この作品の評価は☆1.5です。
 購入は考えてみてもいいかもしれません。

佐島勤『魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上)』 (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)
(2014/09/10)
佐島勤

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 『九校戦』の裏で暗躍していた、周公瑾(しゅうこうきん)が逃亡し、京都に潜伏した。 「パラサイドール事件」から二カ月が経ち、今年も『全国高校魔法学論文コンペティション』の季節がやって来た。今年の開催地は奇しくも京都。その論文コンペの準備で忙しい一校生たち。
 そんな中、司波達也(しばたつや)の元に四葉真夜(よつばまや)の書状が届けられる。手紙には、「周公瑾の捕縛に手を貸して欲しい」という異例の依頼の要請だった。普段とは違う以来という形に戸惑いを覚えつつも、任務達成のため京都の九島烈(くどうれつ)の邸宅へ協力を取り付けるため赴くことに。そしてそこで、もう一人の「作られた魔法士」と邂逅を果たす。

感想
 新編スタートですね。 が、内容的には、良くも悪くも「いつも通り」ですので特にコメントがありませんw

 今巻も新キャラが登場しますが、どうなんでしょうかね?
 インフレしていませんか??
 最早巻頭のキャラ紹介無くしてはキャラクターの名前を把握するのが大変です(^_^;)
 
 でも、これまでのメンツ内では色々動きが出てきそうなので楽しみではあります。
 幹比古と美月とか、会長(真由美)とか…。


 佐島さんの癖というか、説明が少々くどいのが玉に瑕ですよね、この作品。
 その説明要らないから、というのがよくあります。
 直す気はないのでしょうか?
 読みやすくはなると思うのですが、編集さんなどは気にしないんですかね。


 下巻の刊行は、まだ後のようです。
 『ドウルマスターズ』の2巻を先に出すみたいです。 個人的には正直のこちらの作品に面白さを感じないので、さっさと『劣等生』の続巻を出して欲しいところです。
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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