相沢沙呼『スキュラ&カリュブディス: 死の口吻』 (新潮文庫nex(ネックス))

スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex(ネックス))スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex(ネックス))
(2014/09/27)
相沢 沙呼

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 以前紹介だけしていた相沢さんの作品です。
 予定通り出版されたので、購入しました。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 初夏。
 街では少女連続変死事件が相次いでいた。まるでオオカミにでも喰いちぎられたかのような凄惨な死体。同時期に広まったクスリ。恍惚の表情のまま死んでいく少女たち。
 自身も死を願う高校生、此花ねむり(このはなねむり)は、同級生の少女・鈴原楓(すずはらかえで)との出会いをきっかけに事件に興味を持ち始める。
 生と死、エロスとタナトスのその果てに垣間見えるものとは。

感想
 相沢さんの作品は、これが三作目なのですが、読む作品ごとに違う作風を見せてくれていますね。

 『午前零時のサンドリヨン』では青春ミステリ。
 『ココロファインダ』では少女たちの青春群像劇。
 そして今作、『スキュラ&カリュブディス』では伝奇。

 結構作品の幅が広い、作風が広いですが、それぞれがきちんとまとまっていて面白いのはすごいと思います。


 さて、上記した通り、今作は伝奇ものです。
 どうも、伝奇というと「奈須きのこ」を思い出すのですが(^_^;) というか、伝奇ものをあまり読んでいないからですかね?
 本作はその奈須きのこ風(特に『空の境界』)で、ミステリー仕立ての伝奇ものとなっておりました。
 というか、相沢さんはミステリー出身なので自身の分野に引きつけた結果なのかもしれませんね。

 ただ、伝奇ものということで異能者が当然のように存在している世界観となっているので、ミステリーとしての面白さはそこまでありません。
 犯人当てはかろうじて可能かもしれませんが。
 ということで、本作はあくまで伝奇ものとして読まれる方がいいと思います。
 作品は十分に伝奇としての雰囲気を持っているので、楽しめると思います。生と死が混沌と入り混じった作品世界を楽しめるでしょう。


 異能者が登場すると言いましたが、「異能」そのものは作品の背景としてある程度で、表にはそこまで出てきません。ですので、異能バトルものが苦手な方でも読めると思います。
 他方奈須きのこ的なものがお好きな方には物足りないと思います。
 伝奇的世界観を持ったミステリー作品として考えてください。

 相沢沙呼によるラノベな感じですかね?
 というか、このレーベル自体がそんな感じ。
 ラノベ作家による一般書籍であり、文芸作家によるライトノベル。

 次は谷川流『絶望系』です。
※※前回「新作」と紹介しましたが、「レーベル移行で改題の上再販」が正しいようです。
   誤解を招くようなことをしまして申しわけありませんでした。
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小川一水『天冥の標 2 救世群』 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)
(2010/03/05)
小川 一水

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 以前紹介した『天冥の標』シリーズの続きです。

評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 西暦201x年、未知の疫病発生との知らせを受け、国立感染症研究所の児玉圭伍(こだまけいご)と矢来華奈子(やらいかなこ)はパラオへと向かう。そこで二人が名にしたものは、肌が赤く爛れ、目の周りに黒い斑紋を浮かべた人々の無残な姿だった。
 圭伍や華奈子、さらにはWHOの意志たちの懸命な処置をよそに、次々と息絶えていく罹患者たち。感染源の特定もままならない中で、自体は最悪の方向へと進みつつあった。世界的なパンデミック。人類の運命を変えたすべての始まりを語る第二巻。

感想
 二巻目です。 やっぱり複数巻を想定したシリーズものですので、だんだんと面白くなってきますね。

 一巻目「メニー・メニー・シープ」では疑問とわだかまりの残る終わりでしたが、巻を追うごとに、次第に一巻目の最後に至る因縁が明らかにされていくようです。
  一巻の世界が西暦にして29世紀のことだそうですので、ざっと800年。惑星メニー・メニー・シープでの悲劇にいたる様々な因縁が次々と語られていきます。

 そして今作はそのすべての因縁の始まり、冥王斑の流行の話です。
 「救世群」ということで「プラクティス」と冥王斑のお話です。 舞台が現代の地球ということで、パニック小説のようなものとしても読むことができるかもしれませんね。
 冥王斑と言えば、一作目序盤で猛威をふるったあの疫病ですね。イサリが広めた病気です。その病気の最初の広がりと、それに伴って発生した「救世群」と呼ばれる人々の始まりの話でした。


 実は三作目、「アウレーリア一統」を読まずに四作目、「機械じかけの子息たち」を読みましたw
 「機械じかけの子息たち」は、「恋人達(ラバーズ)」の話でした。前回予測したような、SFと聞いてイメージするような近未来技術のようなものは特に出てきませんでした。
 ラゴスたち、「ラバーズ」と「プラクティス」の交流の始まりのとなるある事件の顛末が描かれます。
 こちらはこちらで、メニー・メニー・シープの秘密にかかわりそうな出来事がいくつか出てきましたね。ハニカムがハーブCということなんでしょうか?

※※「機械じかけの子息たち」は、ストーリー上性的な描写が多めの作品になっていますので苦手な方は注意です※※


 次は順番通りに行けば5作目の「羊と猿と百掬の銀河」ということになるかと思いますが、飛ばして六作目に行くかもしれません。「羊飼い」の話は微妙そうです。最終的には読むことになるでしょうが、今は置いておこうかなと思っています。
 というのも、六作目のあらすじを見ると確かイサリが出てくるようなので。
 フェロシアンとは何なのか。
 それと彼らが人間に敵対的な理由。
 こうしたことが明らかにされていくことを期待です。が、六作目は三冊もあるので高い…(2700円ぐらいになる?)。
 プラクティス内の一派がフェロシアンなのでしょうか? だとしたら少し悲しいです。二巻を読んだ後だとさらに。


 され、他にも重要な集団になりそうな「アンチョークス」の話(二作目)もどうしましょうか。こちらも保留です。
 しっかり作り込まれた作品ですので、じっくり読んでいきたいと思います。面白いですよ♪ 長いですがw

天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)
(2011/05/20)
小川 一水

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相沢沙呼『ココロ・ファインダ』 (光文社文庫)

ココロ・ファインダ (光文社文庫)ココロ・ファインダ (光文社文庫)
(2014/09/11)
相沢 沙呼

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 高校の写真部に在籍している4人の少女、ミラ、かおり、秋穂、シズ。それぞれの目線、ファインダーで世界をのぞく彼女たち。
 それぞれの少女たちの見る世界を、写真を通して描き出す。彼女たちの胸にはそれぞれの悩みがある。写真を通して浮かび上がる悩みを乗り越え、成長する4人の少女たちの姿を描く。

感想
 『サンドリヨン~』がおもしろかったので、手を広げてみました。
 こちらは『サンドリヨン』とは異なり、ミステリーの要素はあるものの基本的には青春小説となっております。
 それぞれの悩みを、写真という媒介を通して浮かび上がらせ、それを乗り越えていく少女たちの成長物語です。

 4人の登場人物が織りなす、4つの短編集です。
 彼女たちの悩みは、誰でもが経験したことがある悩みであり、乗り越えてきたものだと思います。そしてどこにでもある、ありきたりな悩みです。
 その点を見れば、この物語は何の変哲もない物語です。舞台も何の変哲もない普通の高校で、普通の写真部です。

 かと言ってつまらないお話ではありませんでした。
 それぞれの登場人物たちがきちんと描かれているので、話もまとまっていて、読みやすいです。ハリウッドの映画を見ているような盛り上がりや興奮はありませんが、楽しめる作品でした。


 が、ミステリーとしては少し弱く、『サンドリヨン~』のような作品ではありません。 謎解きはあくまで日常に留まりますし、それがメインではありません。
 本作はあくまで青春小説として読むべきだと思いました。

相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』 (創元推理文庫)

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
(2012/10/20)
相沢 沙呼

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 ポチこと須川(すがわ)くんが一目惚れしたクラスメイトの女の子、不思議な雰囲気を纏う酉乃初(とりのはつ)は、凄腕のマジシャン。彼女は放課後になると、レストラン・バー『サンドリヨン』で腕を磨いている。そんな彼女は、学内で起こる謎を抜群のマジックテクニックを駆使して解決していく。
 マジックをしている時は凛々しくて、お客さん相手にも物おじしない酉乃さん。そんな彼女は、実は人間関係には臆病で、心を閉ざしがち。須川くんは、酉乃さんとの距離を縮められるのか。


感想
 Amazonのおススメで、似鳥鶏さんと並んで表示されていたので期待して購入w 期待は裏切られませんでした♪
 
 本書は、ミステリーとマジックを融合した作風です。
 女子高校生、酉乃さんが探偵として日常の謎を解いて行く、その意味では王道のミステリー作品。ですが、その酉乃さんがマジシャンでもあるというところに特徴の一つがあります。
 またミステリーでありながら、ボーイミーツガールものの恋愛小説の要素も兼ねているところも本書の面白さの一つです。 

 構成は、短編集という形になっています。
 一つ一つの短編には、それぞれの結末がきちんと用意されている。けれども実はそれらの短編は、相互に作用し合っていて、最後の一遍で綺麗に一つの作品としてもまとめられています。
 短編としても楽しめるし、長編としても楽しめる。そうした作りになっています。

 ただ、マジック、マジシャンとしてトリックを駆使して華麗に事件を解決するタイプの小説ではありません。
 マジシャンとしての知見を利用して、発想の妙を活かして推理をしていく小説です。
 もちろんマジックは出てきますが、あくまでマジックショーとしての領域に留まっています。
 ちなみにですが、殺人事件は発生しません。
 また、ホワホワしただけの小説ではなく、締めるところはきちんと締まっていますし、甘いだけのお話にもなっていません。時に甘く、時に苦い。そのバランスがとてもいいお話でした。


 ワトソン役でもある主人公、須川くんもいい味出してます。
 思春期の男子のモジモジ感と、ドキドキ感が上手に表現されていて、好感が持てるます。どうしてあだ名が「ポチ」なのかはわかりませんでしたが。

 酉乃さんは、ギャップ萌えですね。須川くんはすっかりやられてしまったようですw
 まぁ、普段は表情が乏しい子が良い笑顔で笑ったらやられるでしょう。
 物おじしないマジシャンとしての自分と、引っ込み思案で暗い自分とのギャップに本人は苦しんでいるんですが。須川くんとなら幸せになれるのではないかと思います。今後の展開に期待。


 ミステリーとしては若干物足りないかもしれませんが、それを補うだけのものがある作品でした。
 次巻となる『ロートケプシェンこっちにおいで』、別シリーズ『マツリカ・マジョルカ』も気になります。『ロートケプシェン~』文庫になってくれないと、若干の高いのがネックですが(2000円に届く)。

 以下にあげたのは、相沢さんの他の購入を考えている作品です。
 『ココロ・ファインダ』は11日に文庫版が刊行、『スキュラ~』は27日に発売です。

ココロ・ファインダ (光文社文庫)ココロ・ファインダ (光文社文庫)
(2014/09/11)
相沢 沙呼

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スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex(ネックス))スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex(ネックス))
(2014/09/27)
相沢 沙呼

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小川一水『天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉』 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)
(2009/09/30)
小川 一水

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 前回紹介しただけで終わった小川一水さんの『天冥の標』の感想です。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ(あらすじは上巻のものです)
 西暦2803年、植民惑星メニー・メニー・シープは入植300年を迎えようとしていた。しかし植民惑星臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠っている植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの圧政を加えつつあった。
 そんななか、セナーセー市に住む医師カドムは、『海の一統(アンチョークス)』のアクリラから緊急の要請を受ける。アクリラによれば、街に謎の疫病が蔓延していると言うのだが…。


感想
 全十巻構想で書かれた、一代SF作品の第一作です。
 しっかりとした構想のもと、きちんと書かれているので安心して読めました。
 短編集『フリーランチの時代』でその辺は分かっていたので、素直に読みました。


 舞台は地球から数十光年離れた惑星メニー・メニー・シープ。
 そこである時起こった奇妙な疫病を発端に、物語の幕があがります。メインはその疫病をきっかけにした、植民地を支配している臨時総督との対決ということになります。下巻では、臨時総督の植民地の入植者たちのことを考えていない圧政に耐えかねた人々の蜂起とその結果が描かれます。
 
 下巻の最終盤で、「えぇー」となること請け合いですw
 シリーズがどう続くのか、非常に気になる終わり方をしています。パンドラの箱が開けられてしまった惑星メニー・メニー・シープは今後どうなっていくのでしょうか。
 また謎や伏線が張られたまま、回収されていないものもあるので次の巻が気になる仕様です。

 シリーズ最初の巻ということもあり、上記のような未消化な感じがありますが、一つのエピソードとしては綺麗に完結している作品でした。
 植民惑星での一つの反乱の勃発とその結末。 そのような話として捉えるといいかと思います。他の巻をまだ読んでいないので、全体としてこのエピソードがどの様に位置付けられるのかはわかりませんが。


 本作は、あまりSFな感じはありません。
 この惑星は植民に失敗しており(正確には植民船の着陸失敗による不調)、進んだ科学技術の使用が制限されているということになっています。アンドロイドなどは出てきますが、惑星全体が科学の恩恵を受けられている状態にはありません。
 ですので、高度に進んだ科学技術を土台にした話はシリーズの別の巻に期待するといいかもしれません。 4巻目のサブタイトルが「機械の子弟たち」だったと思います。


 全体的に上述したように長大なシリーズの第一作ということで、通常の作品とは違っていますので評価は難しいですね。他の作品も読んでから、判断すべき作品だと思います。
 次回作以降も舞台は同じ惑星なのでしょうか? 『エウレカセブン』的なオチではないことに期待しつつ、他も読んでみますw

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)
(2009/09/30)
小川 一水

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海羽超史郎『バベロニカ・トライアル 西春日学派の黄昏』(電撃文庫)

バベロニカ・トライアル 西春日学派の黄昏 (電撃文庫)バベロニカ・トライアル 西春日学派の黄昏 (電撃文庫)
(2014/09/10)
海羽超史郎

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評価(☆5が満点)
☆1.5

あらすじ
 研究都市、西春日市。
 「学派」と呼ばれる集団が都市の地下で夜な夜な実験をくり返す。こうした都市は他にも全国各地に存在し、各学派間で鎬を削っている。
 箒場葉柄(ほうきばようへい)の許に、以前離れ離れになっていた幼馴染、八重垣櫻(やえがきさくら)がやって来た。白いワンピースに麦わら帽子に整った容姿という、いかにもなお嬢様然とした彼女は、葉柄にとっては頭痛の種だった。彼女はその見かけとは裏腹に自由奔放で、葉柄は櫻に振り回される日々。そんな自由気ままな櫻には、実は目的があって…。

感想
 お金がもったいなかったです(泣)
 知らない作家さんでしたが、あらすじを見てSF的作品を期待して購入してみました。まぁ、期待は裏切られましたが。
 実はこの作家さん、13年前に電撃文庫で本を出していたらしいです。


 ボーイミーツガールものでしたが、それはおまけ的な感じがしました。というか、ストーリー自体がおまけのような気も。
 「メモリにでたらめなビットを並べていったら、どこかで偶然PC自体がバグる」ような話が書きたかったらしいです。
 ボルヘス『バベルの図書館』の中で展開されている議論のような作品だとか。

 なに言ってるかわかりませんでしたw
 『バベルの図書館』の要点ではなく、この作品で何が言いたいのかがわかりませんでした。
 申し訳ないのですが、書きたいことありきであって、それをストーリーに上手くとり込めてないのではないかと。
 ですので、ストーリーがおまけに堕している気がしました。

 あと、不良に対して終始「アホアホ」言っている主人公はいかがなものかと。そのため、主人公に感情移入することは不可能でした。
 他にも色々説明不足だったり、作者さんの言語センスに合わなかったりしました。素直に読めませんでした。
 ツッかえるというか、引っかかりを覚える部分が多々ありました。

 ということで、この作品の評価は☆1.5です。
 購入は考えてみてもいいかもしれません。

佐島勤『魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上)』 (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)
(2014/09/10)
佐島勤

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 『九校戦』の裏で暗躍していた、周公瑾(しゅうこうきん)が逃亡し、京都に潜伏した。 「パラサイドール事件」から二カ月が経ち、今年も『全国高校魔法学論文コンペティション』の季節がやって来た。今年の開催地は奇しくも京都。その論文コンペの準備で忙しい一校生たち。
 そんな中、司波達也(しばたつや)の元に四葉真夜(よつばまや)の書状が届けられる。手紙には、「周公瑾の捕縛に手を貸して欲しい」という異例の依頼の要請だった。普段とは違う以来という形に戸惑いを覚えつつも、任務達成のため京都の九島烈(くどうれつ)の邸宅へ協力を取り付けるため赴くことに。そしてそこで、もう一人の「作られた魔法士」と邂逅を果たす。

感想
 新編スタートですね。 が、内容的には、良くも悪くも「いつも通り」ですので特にコメントがありませんw

 今巻も新キャラが登場しますが、どうなんでしょうかね?
 インフレしていませんか??
 最早巻頭のキャラ紹介無くしてはキャラクターの名前を把握するのが大変です(^_^;)
 
 でも、これまでのメンツ内では色々動きが出てきそうなので楽しみではあります。
 幹比古と美月とか、会長(真由美)とか…。


 佐島さんの癖というか、説明が少々くどいのが玉に瑕ですよね、この作品。
 その説明要らないから、というのがよくあります。
 直す気はないのでしょうか?
 読みやすくはなると思うのですが、編集さんなどは気にしないんですかね。


 下巻の刊行は、まだ後のようです。
 『ドウルマスターズ』の2巻を先に出すみたいです。 個人的には正直のこちらの作品に面白さを感じないので、さっさと『劣等生』の続巻を出して欲しいところです。

小川一水『フリーランチの時代』 (ハヤカワ文庫JA)

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)
(2008/07)
小川 一水

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 もいっちょSF作品です。こちらは、小川一水さんの短編集です。
 SF、楽しいですね。

評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 火星に作られた日本のやまと基地の隊員4人が経験した、あまりにもあっけない異星人とのファーストコンタクトを描く「フリーランチの時代」。
 太陽系開拓時代に孤独な宇宙船を駆るニートの日常を描いた「Slowlife in Starship」。
 とある女性を通して描き出す、「人間とは何か」に挑んだ「Live me ME]。
 いつの間にか不老不死を実現してしまった人類の戸惑いを描く「千歳の坂も」。
 長編小説『時砂の王』に秘められた熾烈な戦いを描くスピンオフ「アルワラの潮の音」。
 人間たちの様々な「幼年期の終わり」を描き出す5つの短編を収録。

感想
 小川さんは、初めての作家さんでしたのでこの短編集から入ろうと思い購入。
 近所のブックオフですw


 感想ですが、とても面白かったです。
 様々な設定の妙、語り口、登場人物がそれぞれに個性のあるお話、それでいてSFの王道でもあるお話を彩っていました。

 個人的に気に入った作品は、「フリーランチの時代」と「Live me ME」の二つです。 もちろんどの作品も面白かったのですが、この二つが特に面白かったと思います。
 余談ですが、「アルワラの潮の音」は本編となる『時砂の王』を読んでいないので読んでいません。そちらの感想を知りたい方には申し訳ないのですが、ここでは取り上げませんのでご了承ください。


 「フリーランチの時代」は、あらすじにも書きましたがあっさりとしたエイリアンとのファーストコンタクトを描いた作品です。本当にあっさりしていて、笑えましたw 「そんなんでいいのかよ」と。
 でもまぁ、実際にエイリアンと人類が遭遇したらそんなものなのかもしれませんけどね。

 「Live me ME」は、事故により「閉じ込められ症候群」になった女性を主人公にした、人間の「自意識」を取り上げた作品でした。 脳死という実際にある問題にも関わっている、少し重めの作品です。
 そうした面と共に、人間とアンドロイドの違いみたいなものも考えさせてくれるSF作品でした。
 別に脳死ウンヌンについての作者さんの意見が書かれている訳ではなく、あくまでそうした知見からのアプローチとして用いられているので気になる方はご安心を。また決して脳死の問題を軽視している訳ではないところに好感が持てると思います。


 ということで、短編作品がおもしろかったので他の作品を読もうと思いまして、現在は「天冥の標シリーズ」を読んでいるところです。
 一作目の『メニー・メニー・シープ 上/下』を読み終えたところです。二作目の『救世群』は中古品が無かったので悩み中。
 それらの感想は、また後で書こうと思います。

フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』(ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
(1977/03/01)
フィリップ・K・ディック

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 有名所のSF第二弾。
 映画『ブレードランナー』の原作としても有名な作品ですね。『幼年期の終わり』と同じく、名前は知っていてもまだ読んでいなかった作品の一つでした。 

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 第三次大戦後、放射能灰に汚染された地球では、生きている動物を所有していることがステータスとなっていた。そんななか、人工の電気羊しか持っていないディックは、本物の羊を手に入れるため、火星から逃亡してきた「奴隷」アンドロイド8人にかけられた莫大な賞金を狙って、決死の狩りを始める。

感想
 『ブレードランナー』とは違うとは聞いていましたが、本当に結構違っていてビックリですw
 まぁ、その『ブレードランナー』の記憶そのものもだいぶ昔のものなので、曖昧なんですけどね…(^_^;)
 違っていたら、ごめんなさい。


 さて、肝心の本編の感想ですが、「よく分かりませんでした」というのが率直なところです。
 もちろん、面白くない訳ではない。
 ただ、手放しで面白かったと言いきるのも難しい。
 購入したのはハヤカワ文庫版でして、そのあらすじに「白昼夢の世界」とありますが、まさにそんな感じ。

 様々なことが次々と出てきて、めくるめく魅惑のSF世界を作っています。が、いかんせん何とも捉え辛い世界観のように感じました。
 「そもそも電気羊って何ぞや」と思ってます。
 どういったモノなのかはわかりますが、何故そんなものがいるのかとか、生の動物所有がステータスになるとか、どうしてそうなったかといった過程の方にも興味が出るんですが、そこら辺は省かれているので、モヤモヤしました。
 「全部を説明しろ」なんて野暮なことは言いませんが、もう少し世界観描写が欲しかったです。
 
 人間とは何か、アンドロイドとは何か。
 そしてその両者を隔てているものは一体何なのか。
 そう言った一連の疑問に対する、フィリップ・K・ディックの回答がこの本にはあると思います。
 これもまた或る種の『幼年期の終わり』なんでしょう。
 
 また時間を空けて読んでみると何か別のことに気付く種類の本なのかもしれません。
 少なくとも今はあまり良さがわからなかった。
 『ブレードランナー』は映像もある分、分かりやすくて好きな作品でしたけどね。

 そんな訳で、☆3.5という評価になっています。 個人的なおススメ度+世間的な評価ということです。

竹宮ゆゆこ『知らない映画のサントラを聴く 』(新潮文庫)

知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫)知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫)
(2014/08/28)
竹宮 ゆゆこ

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 新潮NEXから刊行された、竹宮ゆゆこさんの新刊です。
 ラノベではなく、一般書籍。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 錦戸枇杷(にしきどびわ)、23歳、無職。便所サンダルをひっかけて、夜毎に「泥棒」を追いかける日々。「泥棒」に奪われたのは、大切な親友からの贈り物。あまりにも綺麗で、完璧で、お姫様のような親友、清瀬朝野(きよせあさの)。
 枇杷は泥棒を追ううちに、気付くと朝野の元彼、森野昴(すばる)とであい、気付くと変人で、コスプレ趣味を持つそいつと同棲することに! 昴と暮らすうちに、親友である朝野とその元彼昴との間で揺れている自分に気付く枇杷。
 これは恋なのだろうか、それとも贖罪なのだろうか。

感想
 実は本作、最初は買う気がありませんでした(^_^;)
 と言うのもですね、竹宮さんの前作『ゴールデンタイム』が個人的に微妙だったからです。
 さらにその前作、『とらドラ』は最高だったんですけどね。

 が、本作は作風が以前の感じに戻っていて楽しめました。
 『ゴールデンタイム』は、何を言ってるのか分からない感じだったのですが、今作ではそうした感覚はなく、素直に読めました。 『とらドラ』の時のような、疾走感がありつつもしっかりとした感じが戻っていました。

 作品としては、恋愛小説なのでしょうか?
 紹介分にはそうあるのですが、個人的には恋愛小説と言うよりはロードノベルのような、主人公の成長をテーマにした作品だと思います。
 無職、彼氏なし、友達なしの可哀想な主人公、枇杷の人間としての成長の話です。彼女の心に影を落としているある出来事の克服を通じた、彼女の自立へのお話。


 枇杷は、なんと言うか竹宮さんが好きなダメ女子ですね。 『とらドラ』でいうところの「ゆりちゃん」とか。
 昴君は、いい人に見せた変人でしたw 一番心配な人ですね。

 てか、枇杷の家族が酷かった。
 なんだ、あれ。家から突然追い出すとか。まぁ、ちゃんとした訳があったのですが、読んでいる途中はクソ野郎どもだなと思ってましたw

 
 内容はもちろん違いますが、『とらドラ』が好きな方には本作は十分楽しめるものだと思います。
 何気に今回、新潮NEX関係で買った三作品の内では、一番面白かったかも。
 『いなくなれ、群青』、『坂東蛍子、日常に飽き飽き』、『知らない映画のサントラを聞く』。

秋★枝『俺の彼女が×××を期待していて正直困る 』(ヤングキングコミックス)

俺の彼女が×××を期待していて正直困る (ヤングキングコミックス)俺の彼女が×××を期待していて正直困る (ヤングキングコミックス)
(2014/08/23)
秋★枝

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 タイトルなげぇw

評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 タイトルから推して知るべし。
 オッパイ星人の先輩(男子)×努力家スイーツ女子とのほのぼの初体験奮闘記。
 作者の初百合作品50pも同時収録。

感想
 秋★枝さんの新作です。
 どういう訳か、結構真正面からのエロでしたw
 元々エロ描写はある作者さんでしたが、ここまでなのは珍しい、のか? 同人もされている作者さんなので、本人的には別に珍しい訳ではないのでしょう。

 あ、ちなみにエロ、エロ言っていますが、れっきとした一般書籍ですw 青年誌です。
 でもエロマンガと言う訳ではなく、Sexをテーマにしたラブコメディになっています。単なるエロマンガではないので、ご安心ください。


 同時掲載の、百合漫画もなかなかおもしろかったです。
 そこまで百合百合したお話ではなく、大人しめのお話。幼名馴染みが大好きだけど言いだせない司書さんが主人公。
 こちらにはエロスは皆無ですw

ぷよ 『長門有希ちゃんの消失 (7)』 (カドカワコミックスAエース)

長門有希ちゃんの消失 (7) (カドカワコミックスAエース)長門有希ちゃんの消失 (7) (カドカワコミックスAエース)
(2014/09/03)
ぷよ

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 『消失』長門のお話、最新刊です。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 キョンの家に行って、キョンと彼の妹と三人でゲームをすることになった長門。突然のお誘いにアタフタするものの、当日はとても楽しめていた。しかしゲームに熱中していると突然、彼の妹からキョンのことをどう想っているのかを尋ねられ…。
 そして今年もクリスマスの季節がやって来た。ゲームをした日のこともあり、ぎくしゃくする二人。今年のクリスマスには今度こそ思いは伝えられるのだろうか。

感想
 とてもよろしかったです。
 ずっとニヤニヤしながら読ませてもらいました。恐らく傍から見ている人がいたら気持ち悪かったと思います(^_^;)
 いや、それだけ良かったんですよ!

 長門がとてもかわいくて。 もう、最高ですw

 それ以外に言うことはない。
 原作とは結構違っているが、気にしてはいけない。作者も折り返し部分で言っているじゃないですか、「変わって何が悪い」とw 変わっていても、改悪している訳ではないので、構わないと思います。
 が、原作者の谷川さんは困るでしょうが。
 そうそう、谷川流といえば今月新刊が刊行されるようです。9月29日でしたかね。
 新潮社NEXから『絶望系』と言うタイトルです。

 来年はアニメ化されるようですが、本編は次巻で終わりになりそうですね。
 て、アニメの声優陣はオリジナルキャストでやるんでしょうかね? 変わったら変わったで暴動が起きそうですがw

アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』 (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))
(1979/04)
アーサー・C・クラーク

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 SFもの第5弾?です。
 とうとうやって来た大御所、アーサー・C・クラークですよ~。次はフィリップ・K・ディックですw

評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 人類が宇宙に進出しようとしたまさにその日、巨大宇宙船団が地球の空を覆った。やがて人の頭の中に一つの言葉がこだました――人類はもはや孤独ではない。
 それから50年、人類よりはるかに高度の知能と技術を有する異星人はその姿を人類の前に表すことなく、平和裏に地球管理を行っていた。彼らの真の目的は何なのか。人類の未来はどうなるのか。
 宇宙の知性との遭遇によって新たな道を歩み出す人類の姿を描き出した名作。

感想
 さすが巨匠の名作。
 評価されているだけのことはあって、とても面白かったです。

 一番驚いたのは、普通に読めたことです。
 1952年の出版で、その当時の技術予想を基に未来を描いているはずなのですが、60年以上経った今読んでも違和感が無いということが一番すごいですね。
 まぁ、宇宙人との遭遇があり得ないとかいう実際面での突っ込みはなしでお願いしますw

 タイトルの『幼年期の終わり』は、本書を最後まで読むと意味がわかります。
 それに合わせてですが、本書は「我々は何処から来て、どこへ行くのか」といった哲学的命題への答えの一つを提示しているのではないでしょうか。そうした哲学的考察を含めたSF作品は多くあると思いますが、この作品が嚆矢ということなんでしょうか。

 本作は、三部構成になっています。
 一部は、宇宙からやって来た知性体、オーバーロードと呼称される彼らとの接触を果たした第一世代の人類の話。
 二部は、オーバーロードの導きによりかつてない繁栄を謳歌するようになった人類の黄金時代の話。
 三部は、オーバーロードたちの目的と、人類のその後へと繋がる話。
 このように、各世代の人類を通して、オーバーロードと人類の交流、彼らの目的が何かが次第に明かされていくという構成になっています。
 作中の人類と同じように、読者にも次第に物語の真の姿が明らかにされていきます。


 SF色、特に科学技術的な話はそう多くはなく、むしろ「人類とは何か」といった哲学的考察が週に据えられている印象です。 その点で、科学技術考察が好きな方には少し物足りないものかもしれません。
 また、アクションといった点では、作中には全くありません。宇宙人との遭遇ということで、『インディペンデンスデイ』のようなものを期待してはいけません。

 そうした耳目を集めるものは薄いのに、読ませます。 とても楽しく読めました。
 SFはまだ読んだことないという人にも、おススメの一作です。

 個人的にはオーバーロードではない、「彼ら」(ネタバレ回避です)は何がしたかったのかという謎があります。
 人類を変容させて、どうするつもりなのか?
 そうした点まで描いても良かったのではないかなと思いました。まぁ理解不能な存在ということで、ああした書き方で終わっているのかもしれませんが。

 もう一つ、個人的には『Xenogears』のネタ元の一つ(確か)に触れられて良かったですwww
 カレルレンとフェイですね。 フェイが犬だったのは笑えましたが。
 

※※ちなみにですが、先に「宇宙人との遭遇があり得ない」と書きましたが、宇宙人の存在は否定しません。この広い宇    宙にむしろ人類だけしか存在しないと思う方が不思議。
   ただ単純に、地球にやって来ることが物理的に不可能だろうということは思ってます。
   光速でも数十年かかるのだから、生きて辿りつけるのかどうか疑問ですね。炭素型生命体でなければ可能?

河野裕『いなくなれ、群青』 (新潮文庫)

いなくなれ、群青 (新潮文庫)いなくなれ、群青 (新潮文庫)
(2014/08/28)
河野 裕

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評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 11月19日午前6時42分。僕は彼女に再会した。
 彼女は誰よりも真直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇(まなべゆう)。あるはずのない、あり得るはずのない彼女との出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。
 奇妙な島で起こる連続落書き事件。
 僕はどうしてこの奇妙な島にいるのだろうか、真辺由宇はどうしてこの島に来たのだろうか。やがて明かされるこれらの謎に関する真相は、僕たちの青春に残酷な現実を突きつけることに…。

感想
 奇妙な人間、奇妙な島、奇妙な事件。 謎に満ちたお話でした。
 河野さんの前作、『サクラダリセット』のような雰囲気の作品だと思いました。まぁとは言え、前作をすべて読んだ訳ではないので、正確には違った作風なのかもしれませんが。
 淡々として文体で書かれているので、平坦な印象というか、冷たさを感じさせる独特な文章です。

 
 主人公くんは、不思議な雰囲気の少年ですね。諦めと情熱がいい具合で同居している面白い性格。眺めている分には魅力的な性格だと思いますw
 打って変わってヒロインの由宇ちゃん。こっちは関わりたくないタイプですねw 真っ正直というか、正論魔人。さぞや生き難かろうと思います。気持はいいのですが、イラッとします。

 さて本作のメインは、彼らが囚われている奇妙な島の謎を明らかにすることにあります。
 が、そこまでミステリー仕立ての作品ではなく、ミステリーが苦手な方でも楽しめるかと思います。 個人的には落書き事件を大げさに取り上げてあるのはどうしてなのか不思議です。そこまでメインストーリーに絡むようなものでもない。

 メインどころの二人以外の登場人物も、結構面白かったです。
 個人的には、あまり喋りたがらない手紙魔の堀ちゃんが気になります。 ナドさんは、飄々としたつかみどころのないところがいい味出していると思います。友達にはなりたいとは思いませんがw
 まぁ、この島の正体を考えると彼らのことも気になるところです。


 奇妙な島の謎を解くこと、島の謎そのものが青春における悩みの解決にも繋がる構成は面白かったです。
 島の他の住人たちのお話も今後されていくと思うので、期待です。

野村美月『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる(2)』 (ファミ通文庫)

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(2014/08/30)
野村美月

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 自身が吸血鬼になったことを克服し、春科綾音(はるしなあやね)のパートナーとして演劇で頑張っていこうと決意した原田詩也(はらだうたや)。演劇部の次の演目は『マイ・フェア・レディ』。性格から何から自分とはまったくことなった人物像であるヒギンズ教授役、しかもテンポが速いなが台詞を特徴としたその役に苦戦する詩也。一方、詩也は自分を吸血鬼にした赤い目をした少女の吸血鬼、雫(しずく)が詩也を見て涙を流したことも気になっていた。
 そんななか、不注意からライバルチーム「チーム・ベガ」に所属するアイドルと詩也のスキャンダルが持ち上がる。それを受け、綾音とのパートナー関係にも揺らぎが。さらには彩音とのコンビ解消の危機までもちあがり…。

感想
 登場人物たちにも色々と動きが出てきて、いよいよ面白くなりはじめましたね。
 演劇や舞台にはまったく詳しくないのですが、それは置いておいても十分に楽しめました。
 『マイ・フェア・レディ』も実物は見たことが無いのです(^_^;) あとがきにありますが、劇中劇としての『マイ・フェア・レディ』は後半から別物に再構成されていますが。

 綾音先輩と詩也くんは、どうなっていくんでしょうね?
 なんとなくですが、前巻でテーマにしていた『吸血鬼ドラキュラ』のストーリーのごとくなるのでしょうか。それとも克服して、幸せになるんでしょうか。
 本書冒頭をみると、上手く行きそうにはなさそうですが…。

 他の登場人物、中でも綾音先輩の妹ちゃん、理歌(りか)ちゃんがお気に入りです。
 ちょこまかした感じが、かわいくていいですよね(///▽///)
 もっとも報われなさそうな感じがしますが、頑張れ!w

 そんなこんなで、登場人物たちの心模様も動いてきましたし、今後の展開に注目です。
 前作は、詩也くんが鬱々しっ放しだったせいで全体として暗く、楽しめませんでした。が、今作は困難を克服して前向きになったせいで作品も明るくなっています。
 それもあり、綾音先輩のやきもちもありで、面白かったです。サービスカットもありますよw


 さて、話は変わりますが、野村さんの作品は名作をテーマとして、それを読み変えて作品にしています。かと言って、原作を破壊しているのではなく、上手に活かしているところがすごいと思います。
 都合のいいように改変をしている訳ではない。かと言って、作風だけ利用するのでもない。難しいことを上手にこなされていると思います。

 次回は『とりかえばや物語』がテーマだそうです。
 これまで名前しか出てこなかったライバルチームの方々も出てくるそうなので、ますます物語が動いて行くものと思います。次回にも期待です。

庵田定夏『アオイハルノスベテ』 (ファミ通文庫)

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 庵田さんの新作です。 前作『ココロコネクト』シリーズ完結から一年。早かったような、遅かったような。

評価(☆5が満点)
☆2

あらすじ
 輪月高校に入学した生徒だけが発症、体感する不思議な力。「シンドローム」と呼ばれるそれによって、横須賀浩人(よこすかひろと)は強制的に三年前の過去に時間を巻き戻された。どうしてそんな状況になったのか、誰のシンドロームのせいでそうなったのか、何も分からないまま、僅かな記憶だけを残して過去に戻されていた。
 そんななか、過去に戻された浩人が目的にしたのは、白紙に戻された高校三年間を最高の方法でやり直すことだった。幼馴染の少女、マニアックな友人、近寄りがたい美人のクラスメイト。彼らと再びの高校生活がスタートする。

感想
 個人的には、そこまで楽しめませんでした。
 というか、残念でした。
 
 ジャンルは前作『ココロコネクト』から変わらず、超常現象と学園ものでした。
 そこは別に良かったのですが、今作の作中で登場人物がその超常現象を否定するような言動をしたことですね。疑って否定するのではなく、存在そのもの否定だったことです。
 現象の有無を疑って否定するのではなく、存在することを前提としたとしてもその存在に価値を見いださない。「そんなバカなことにかまってないで、他のことに力を割きなさい」という感じ。

 それ自体はまったくおかしく話のですが、前作も今作も共に超常現象を前提としたストーリーであることを考えると、自己否定に聞こえるんですよね。
 そのせいか、ストーリーが白々しく感じられました。

 また、今作は部活動のようなミニサークルを中心にした話ではないため、キャラクター同士の掛け合いも少ないです。というか、淡々とした感じでした。
 そこそこ中の良いクラスメイト同士といった感じ。もちろん、主人公が二週目ということもあって、淡々としているせいもあると思いますが。

 もう一つ、今作の問題解決方法はないと思いました。
 前作の最終話でも同じような方法が取られましたが、あり得ないというか、ご都合主義的に過ぎるような気がします。ご都合主義が悪いとは言いませんが、これらの作品には合わないと思います。
 登場人物たちが真面目に一生懸命に考え抜いてそこに至ったはずなのに、解決方法があれではもったいないです。


 個人的には、前作『ココロコネクト』は好きな作品だったので新作となる今作にも期待していたこともあって、その分も含めて低評価になりました。
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