佐藤多佳子『黄色い目の魚』 (新潮文庫)

黄色い目の魚 (新潮文庫)黄色い目の魚 (新潮文庫)
(2005/10/28)
佐藤 多佳子

商品詳細を見る



評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 周囲に溶け込まず、イラストレイターの叔父にだけ心を開いている村田みのり。
 絵を描くのが好きで、絵だけ描ければそれだけでいいと考えている木島悟(きじまさとる)。
 海辺の高校で、同級生としてそんな二人は出会った。美術の時間、みのりをデッサンしてから気が付くと彼女のことを目で追ってしまう悟。それは恋なのだろうか。
 友情でもなく恋愛にも至っていない、名づけられないけれどそこにある真直ぐな思い。16歳というもどかしく切ない季節を描き出す。

感想
 少し山田詠美『ぼくは勉強ができない』を思い出しました。内容は違いますが、同ジャンルですし、海沿いの高校が舞台ですし。

 青春小説としては面白いと思います。
 まぁ、あまりこのジャンルの作品を読んできている訳ではないので断言はできませんが(^_^;)
 
 解説の方が書いていましたが、登場人物は魅力的な人物造形になってます。興味を引かれる人たち、といった方が正確でしょうか。が、そんな奴いねぇと言いたくなるような人物が居るのも確かですが。

 二人の主人公、みのりちゃんと悟くんには、残念ながら管理人は感情移入できませんでした。
 管理人の青春がダメすぎたせいかもしれませんが…orz
 この二人、行動がどこぞの芸人真っ青の破天荒ぶりなもので。

 途中までは面白く読んでいたのですが、後半から突然のように村上春樹臭がしました。
 どうしてだ?
 酒とセックスが出てきたからか…。 作者さんが、「青春だから酒とセックス」のような安易な考えでないことを祈ります。
 個人的にはこうしたガジェットは必要無いと思います。現在そんな高校生、そんなにいないでしょう?


 不器用ながら一生懸命周囲と戦う思春期の二人には、好感が持てました。
 青春してる感じです。
 周囲とは衝突しながらも自己を形成していく。そんな思春期特有の青臭さを感じることができます。

 ただ主人公に感情移入がしにくいせいか、どうしても没頭することができない作品でした。
スポンサーサイト

野村美月 『陸と千星』 (ファミ通文庫)

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女 (ファミ通文庫)陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女 (ファミ通文庫)
(2014/06/30)
野村美月

商品詳細を見る


 こちらもだいぶ感想が遅くなってしまいました。実際は発売日に買っていたのですが、他の本を読んだりしている内に感想を書くことを忘れていました(^_^;) 今回のupはみんな同じ感じです…。済みません。

評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 夏休みの間別荘に来ていた千星(ちせ)は、無愛想な新聞配達の少年、陸(りく)と出会った。
 不仲な両親の間で、彼らの離婚話に心を削られていた千星。せめて自分は明るくなければ家族が壊れてしまうと、必死に頑張っていた。
 奔放な母親は家を顧みず、自由気ままに恋人たちの間を彷徨い、生活のためにアルバイトを続ける陸。「絵を描きたい」。その願いも叶えられそうにない。
 そんな二人が出会い、毎朝の新聞配達の度に少しずつ言葉を交わすように。お互いのことは何も知らないけれど、せめて相手だけでも幸せで会って欲しいと願いながら。

感想
 そこそこ面白かったです。
 他のシリーズものと比べての話ですので、決してそこまで面白くないという訳ではありません。

 淡々と話が進んでいった感が強いです。二人の純粋な思いを見ていくお話でした。
 でもどうしてこうした話にしたのでしょうか?

 不幸な二人の出会いと別れ。
 もう少し彼らの葛藤や衝突みたいなものもあっても良かったように思いました。
 恬淡とし過ぎていて、盛り上がりというかカタルシスが足りない気がします。

 次回の新シリーズの続刊には期待してます。

彩坂美月『少女は夏に閉ざされる』 (幻冬舎文庫)

少女は夏に閉ざされる (幻冬舎文庫)少女は夏に閉ざされる (幻冬舎文庫)
(2013/10/10)
彩坂 美月

商品詳細を見る


 感想を書くのを忘れていました(^_^;)
 思い出したので書きますね。

評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 高校生活の最後の夏休み。
 長期休暇中も帰省せず、学園の寮に残ることを選んだ渡辺七瀬(わたなべななせ)は、「寮に死んだ女子生徒の幽霊が出る」と言う噂を耳にする。
 他方、同じ寮の居残り組、果原日向・美夜子(かはらひなた・みやこ)の双子は、互いに腹に一物を抱えながら出かけていた。しかしその途上、自分たちの学園の教師・神埼が女性を撲殺している現場を目撃する。犯行現場を目撃されたことを知った神埼は、彼女たちを追いつめていく。
 何とか逃げのびた女子寮には、死んだ女子生徒の親友を名乗る「あかり」という女子生徒までが現れて…。
 青春群像ミステリー。

感想
 この作品、ミステリーなのかホラーなのか…?
 スリリングな展開は閉鎖空間でのホラーのようですし、「死んだ女子生徒の幽霊」の正体に迫る部分ではミステリー。
 かと言って素直なミステリーでもない。
 個人的には毛色の変わった青春小説だと思いました。

 本作のもう一つの特徴は、本編の語り手・視点が移り変わっていく点です。
 七瀬、日向・美夜子、あかり。
 この4人の視点を通して、ある夏の日の出来事が描き出されていきます。

 こうした多人数視点は、苦手な人はいるかもしれませんね。何を言ってるのか分かりにくくなって。
 ただ利点もあって、個々の登場人物の心理描写が密になると思います。それによって、物語の奥行きも出るのではないかと。
 それぞれの少女たちの悩み、そう言ったものが丁寧に書かれているとは思いました。その悩みの中身が何であれ。



※※以下若干のネタバレを含みます※※ 

 途中で唐突に発生した地震は、その必要性に疑問を感じました。
 舞台となる女子寮をある種のクローズド・サークルにしたかったのでしょうけど、必要あったのでしょうか。そもそも近所に建て物のない、山奥の孤立した学園の寮ですし…。嵐とか、土砂崩れぐらいで良かったのでは?

 クローズド・サークルそのものにも必要性が薄い気がしました。閉鎖空間内で事件が起こるわけでもなし、むしろ空間外部から殺人者が襲って来てましたし…。


 個人的には、寮の中の不思議な出来事だけで十分だった様な気がします。
 幽霊話の解明に付随した種々の出来事のみで十分だったのではないでしょうか。それだけでも十分面白かったです。
 神埼と地震が余計な付属物のように感じました。

 純粋な学園ミステリー・ホラー路線にして欲しかったです。サバイバル要素は不用でした。
検索フォーム
カテゴリ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR