櫛木理宇 『ドリームダスト・モンスターズ』 (幻冬舎文庫)

ドリームダスト・モンスターズ (幻冬舎文庫)ドリームダスト・モンスターズ (幻冬舎文庫)
(2014/05/15)
櫛木 理宇

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 『ホーンテッド・キャンパス』の櫛木理宇さんの新シリーズということで購入しました。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 悪夢に悩まされている女子高校生、石川晶水(いしかわあきみ)。数ヶ月前の事故と最近毎日のように見る悪夢からくるストレスで、自己の内に閉じこもりがちになり、晶水はクラス内で孤立していた。しかしそんな彼女に何故かまとわりついて来る、お調子者の同級生の山江壱(やまえいち)。壱は、晶水の冷たい態度にもめげず、彼女にアプローチを繰り返す。
 実は壱は、他人の夢に潜り、その人間の悩み(悪夢)の解決を手助けする「夢見」の能力を祖母から受け継いでいた。彼は晶水の悪夢を取り除くために、彼女の夢の中に潜り込む。
 壱が晶水の夢の中で見つけるものは…。

感想
 作品のジャンルは、前シリーズである『ホーンテッド・キャンパス』と同じくオカルトです。
 相違点は、舞台が大学から高校に変わったことぐらいですかね。なので、やっていることはほとんど同じでした。
 ただ、登場人物が高校生中心ということで、よりライトノベル寄りになっています。まぁもともとキャラクター小説ですので変わりはないかもですが(^_^;)

 「夢見」の能力は、あまり超常じみておらず、どちらかというと「夢診断」に近いものになっていました。ですので、オカルト方面によりすぎることもなく、地に足の着いたものになっています。映画『インセプション』のような、夢の中に入ってドンパチする、冒険するといったような展開はありませんので、その点には注意してください。

 『ホーンテッド・キャンパス』もそうですが、オカルトというよりも「少し不思議」話であり、『世にも奇妙な世界』のような作品になっています。オカルト的な部分と科学的というか、合理的思考のバランスのとり方が、相変わらず上手な作家さんだと思います。


 ただ、ここに問題もあるように思います。
 言ってしまえば新シリーズとは言え、やっていることは前シリーズと同じなので、新シリーズを刊行するなら『ホーンテッド・キャンパス』の続編を書いて欲しいというのが正直なところです。
 良かった点は、登場人物が違うところでしょうかw
 とはいえ各話それぞれのまとめ方、面白さといったものはきちんとしているので、面白くないということはありませんでしたので、ご安心を。

 もう一点。「甘酸っぱいオカルト青春ミステリー」とか「胸キュン100%保障」などと帯に書かれてたりしますが、シリーズ一巻目ということもあるのであまり期待しないよう。
 まだ始まったばかりですので、壱と晶水の関係も始まったばかりです。そもそも恋愛小説ではないので、ポンポン進展しませんしw 二人の恋愛関係はこれからに期待です。


 以上、管理人個人としては、『ホーンテッド・キャンパス』の方がおススメです。
 本作品も一つの作品として決して悪くはないのですが、先に述べた理由から前シリーズの方をおススメします。
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新藤卓広 『秘密結社にご注意を』 (宝島社文庫)

秘密結社にご注意を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)秘密結社にご注意を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
(2014/04/04)
新藤 卓広

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 またまた「『このミス大賞』作品」です。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 ストーカー容疑を掛けられ、勤めていた会社をクビにされ、以来ひきこもり生活をしていた青野恵介(あおのけいすけ)。そんな彼の元にある日突然、採用通知が届けられる。しかも採用先は「秘密結社」!
 出勤した恵介に与えられた仕事は、「晴れの日に傘をさして歩く」、「商店街を3時間歩き続ける」、「ゲーム店の遊技台を誰にも譲らずに遊び続ける」など意味不明、予想外の仕事ばかり。しかし一見無関係に見えたこれらの仕事は、やがて重なり初めて…。

感想
 ドタバタコメディの要素を取り入れたミステリー。
 登場人物たちの個性も立っていて、テンポ良く読ませてくれる作品でした。

 まったく無関係、かつ無意味に思える青野くんの仕事が、やがて交錯し、異なる姿を現していくようになる過程は見事でした。まぁ、かと言って、それぞれにより大きな視点からの意味付けがされていたことが明らかになるだけで、それぞれの仕事が見た目通りの無意味なものであることに変わりはないのですがw

 この点で、本作は京極夏彦『絡新婦の理』と同じタイプの事件でした。『攻殻機動隊S.A.C.』の事件の構造と同じでもありますね。「スタンド・アローン・コンプレックス」ですか。個々の独立した事象が描き出す、より複雑な構造の事象です。
 とは言え、これらの作品ほど大掛かりすぎる事件ではありませんでしたけど。


 「秘密結社」という設定も面白かったです。
 秘密結社とは言っても、ダン・ブラウンの小説に登場するフリーメイソンなどのような組織でもなく、仮面ライダーのショッカーのような悪の組織でもないですw
 単に秘密の組織だから、「秘密結社」と名乗っているようですw で、「秘密結社なんだから謎のボスから指令ぐらい来るわよ」ということらしいです。
 この何とも言えない脱力感というか、気軽さが良かったです。


 キャラクターの個性の強さ、話のテンポの良さ、ミステリーの仕掛け、それぞれのバランスが上手く採られていて、面白い作品です。本格派の推理小説ほど堅苦しくなく、かと言ってミステリー部分がおもしろくないかというとそういう訳でもなく、ミステリー部分も面白い。今後の作品が楽しみになる作家さんです。

 ただ、最後というか本来の目的として置かれていた事件とそれまでの事件とのバランスは、微妙な気がしました。事件の毛色が、それまでの事件とは違って、一気に現実味を持つというか、生臭いものになっている気がしました。
 例えるなら、『ダイ・ハード』を見ていたら結末が山口豊子作品(『大地の子』とか)になった感じです。
 似たような毛色の事件にしていた方が、良かったのではないかと思いました。全体の繋がりというか、まとまりの点で。


 本作の解説を書かれている大森望さんが書いていますが、シリーズ化に期待出来る作品でした。

乾くるみ 『セカンド・ラブ』 (文春文庫)

セカンド・ラブ (文春文庫)セカンド・ラブ (文春文庫)
(2012/05/10)
乾 くるみ

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 前回の更新で紹介した、乾くるみさんの『セカンド・ラブ』を読了したので、感想を書きます。

評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 1983年元日、里谷正明(さとやまさあき)は、会社の先輩の紹介で内田春香(うちだはるか)と出会う。春香は、大学院に通う才女で、清楚なお嬢様だった。正明は、春香の清楚さ、知的さに惹かれ、やがて彼女と交際をするようになる。春香との交際は順調に進み、彼女の両親にも紹介され、結婚も視野に入るまでになる。
 しかしある日、正明は春香にそっくりな女性、美奈子と出会う。美奈子は春香とは正反対の、奔放で大胆な性格の女性だった。そして美奈子との出会いを切っ掛けに、正明の心は二人の女性の間で揺れ動き始める。
 春香と美奈子、二人の女性の間で揺れ動く正明の行きつく先とは。

感想
 え~と、ぶっちゃけ『セカンド・ラブ』は微妙でした(^_^;)
 そこまで悪いとか、面白くないとかではないのですが、前作の『イニシエーション・ラブ』には及ばないと思います。

 おそらくは、オチのインパクトが弱いからでしょう。
 前作のように「引っ張って、引っ張って、落とす」形式ではなく、あっさりしています。そのために最終盤でのインパクトに欠け、微妙な読後感になっています。
 前作のようなインパクトを期待していると肩透かしを食らいますので、気を付けてください。

 また少々胸糞悪い結論となりますので、その点も注意してください。
 前作は「怖い」という感想でしたが、今作は「クソ野郎」ですw


 べたべたの恋愛小説というものを殆ど読んだことがないのでわかりませんが、前作も今作も恋愛小説としては特に山なし谷なしの一本調子の作品なのではないでしょうか。
 普通に恋して、普通に交際してと、特に耳目を集める出来事も無いままに過ぎていくお話です。
 まぁ、『イニシエーション・ラブ』も『セカンド・ラブ』も、恋愛模様を描くことが主眼ではないので、個人的には気になりませんでしたが、恋愛小説として購入を検討するのは考えてみた方がいいかもしれません。あくまで本作は、「恋愛ミステリー」ということで見るべきでしょう。

 「二度読み必至」とのことですが、引っかかりの部分を確認するための読み返し、確認作業ということになると思うので、「二回も読まなければわからない」ということではありません。
 「難しそうだから遠慮したい」と思っている方、難しい本ではありませんよ。わかる人は読み返さずとも、分かるのではないでしょうか?

 少し趣向の変わったミステリー作品、として読まれるのが良いと思います。
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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