仙波ユウスケ 『ハロー・ワールド ―Hello World―』 (講談社ラノベ文庫)

ハロー・ワールド ――Hello World―― (講談社ラノベ文庫)ハロー・ワールド ――Hello World―― (講談社ラノベ文庫)
(2014/05/02)
仙波 ユウスケ

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 ライトノベルです。
 「講談社ライトノベル文庫新人賞大賞受賞」に乗せられて購入しました。

評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 クリスマスイブの夜、バイト帰りの池野朋生(いけのともき)は自宅玄関前で行き倒れている少女を発見する。麗奈(れな)と名乗った彼女は、元居た場所に戻りたくないと言った。朋生は、仕方なく麗奈を自宅に泊めることにする。
 一般常識には疎いが、PCには詳しいなどなにか事情を抱えている麗奈。彼女と暮らし始めて数日後、麗奈の姉を名乗る人物が朋生の家を訪れる。麗奈の姉、純(じゅん)曰く、麗奈は巨大PMC「エイジス」の重要人物だという。
 「帰りたくない」という麗奈を守るため、朋生と麗奈、二人の逃避行が始まる。

感想
 そこそこ面白かったです。
 突拍子のない展開、無理やり付けた現実味のない設定、そのどちらもなく綺麗にまとまっていたと思います。

 一方で、非常に宙ぶらりんな読後感を得ました。例えるなら、5巻ぐらいの続きものの小説の3巻目だけを読まされたような感じです。なんだかよく分からない内に話だけは進んでいく…。

 完全には説明されない主人公たちの背後関係、主人公陣営でも「エイジス」陣営でもない第三者の存在。唐突に語られる「神」。こうした投げっぱなしの要素が多くあり、不安定な感じを受けます。
 まぁもちろん、この作品は続編を前提としたものだということでしょう。
 これで続編が出版されなかったら、最低ですが…。未完成のものを出版したという訳ですから。

 お話としては純粋なボーイミーツガールものかと思いきや、終盤ではなぜかガンアクションが。またPC関係の用語、プログラミング用語が出てくるなど、SFものの要素も多分に含んでいます。
 ガンアクション部分は不要ではないでしょうか…。必要性を全く感じませんでしたし、「エイジス」側の咬ませ犬が咬ませ犬らしく死んだだけの話でした。

 続編が出版されるなら続編を見なければ、この作品の評価を下すことはできませんが、現状ではこのような評価にならざるを得ないと思います。
 ぶっちゃけ、現状なら高橋慶太郎さんの『ヨルムンガンド』を見た方が良いです。ガンアクション、PMC、スパコンなど本作のほとんどの要素が高レベルでまとまって、詰まってます。

ヨルムンガンド 1 (サンデーGXコミックス)ヨルムンガンド 1 (サンデーGXコミックス)
(2006/11/17)
高橋 慶太郎

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ヨルムンガンド コミック 1-11巻 セット (サンデーGXコミックス)ヨルムンガンド コミック 1-11巻 セット (サンデーGXコミックス)
(2012/04/26)
高橋 慶太郎

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麻耶雄嵩 『隻眼の少女 』(文春文庫)

隻眼の少女 (文春文庫)隻眼の少女 (文春文庫)
(2013/03/08)
麻耶 雄嵩

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 麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』を読んだので感想を書きます。
 ミステリーです。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 ふらりと訪れた、とある山奥の山村で種田静馬(たねだしずま)は殺人事件に巻き込まれる。しかも静馬は殺人事件の容疑者として警察に疑われることに。窮地に陥った彼を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女御陵みかげ(みささぎみかげ)だった。
 彼女は「探偵」を名乗り、殺人事件の調査を買って出る。みかげの推理で窮地から救われた静馬は、みかげとともに事件の調査を開始しする。犠牲を払いつつも、二人は何とか殺人事件の解決にこぎつける。しかしその18年後、同じ村で再び同様の惨劇が幕を上げる…。

感想
 「日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞のダブル受賞!」の煽りに惹かれて購入しました。
 が、そこまで面白い作品だとは思えませんでした。
 もちろん作品内では様々な技巧が凝らされており、作品の構成もきちんとしています。特に作品内に見られる、「対象関係」というか「鏡像関係」は独特の雰囲気を作品にもたらしていると思います。

 こうした構成面、技巧面はさすがだと思うのですが、いかんせんトリックがいただけませんでした。このトリックは、「禁じ手」でしょう…。
 探偵である御陵みかげの推理は、基本、論理的で的を得た推理手法を採っているにも関わらず、最後の最後で梯子を外された気分にさせられます。

 同様に犯人の犯行動機、犯行理由が突拍子もなく感じます。意味がわからない。
 そもそも論として、犯人の犯行動機を達成するために採った方法が不要だろうという感じがします。もっと簡単に、もっと容易に目的が達成できるはずです。わざわざ「ABC」的犯行を実行する必要性が皆無です。
 第一の事件はまだしも、第二の事件に関してはそもそもの犯行動機がおかしいです。「死んでいると思っていたけど死んでいなかったから自分が殺す」。どういうことでしょう???

 本書の「解説」では、「横溝正史の『獄門島』が連想される」と書かれていますが、殺人事件の様から見れば、どちらかといえばクリスティの『ABC殺人事件』の方が近しいのではないでしょうか?
 旧家の因習、娘殺しといった諸要素は『獄門島』に近いでしょうが。

 あともう一点、苦言を。
 本書では物語のメイン舞台となる、琴折(ことさき)家の屋敷の平面図が掲載されていません。事件はこの屋敷内ならびに周辺の敷地内で起こるのですが、それぞれの現場同士の位置関係が非常に把握し難くなっています。
 せめて琴折家の屋敷の平面図は掲載していて欲しかったところです。


 読んで損になるような作品ではないと思いますが、あまり期待されていると肩透かしを食うかもしれません。
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