瀬川コウ 『謎好き乙女と奪われた青春』 (新潮文庫nex)

謎好き乙女と奪われた青春 (新潮文庫nex)謎好き乙女と奪われた青春 (新潮文庫nex)
(2015/02/28)
瀬川 コウ

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評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 藤ヶ崎高校一の美少女、早伊原樹里(さいばら・じゅり)は恋愛に興味が無い。友情にも、部活にももちろん興味が無い。 「恋愛、友情、部活? なんですか、それ。クソみたいな青春ですね」。
 彼女が愛してやまないこと、それは日常に潜む謎だ。衆目の面前ですりかえられた花束。一学年全員に送りつけられた告発メール。教室の端と端での不可能なカンニング事件。
 僕の過去が明らかにされる時、事件の様相は一変し……。

感想
 むしろラノベ?

 ミステリーかと思っていたら、ミステリーではなかったです。 「謎が提示されていれば、それはミステリーだ」というのならミステリーなのでしょうが。 

 少なくともこの作品は、読者が謎解きを楽しむようなつくりの作品ではなかったかな。 ですので、「青春ミステリー」とありましたが、青春小説の分類にしました。
 まぁ、何が言いたいのかというと、「ミステリー作品として読むと肩透かしを食らうかもしれません」ということです。 特に本格好きな方にはおススメしません。

 ヒロインである樹里の毒舌っぷりは良かったのですが、それだけだったのが残念。
 謎を追及する理由が「ミステリー好きだから」では、誰も納得しないと思います。普通の学校生活に興味が無い、どころか否定的な理由に至っては不明でした。



 特に楽しめたという訳でもなく、かと言ってまったく面白くなかったという訳でもない、何とも感想を書きにくい作品でした。
 六月には二巻が刊行されることが決まっているようですが、どうなんでしょうか?
 掲載元の「エブリスタ★」で予習しておくべきですかね…。
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赤城大空 『二度めの夏、二度と会えない君』 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)
(2015/01/20)
赤城 大空

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 突然やって来た転校生、森山燐(もりやま・りん)は不治の病を患っていた。オレ、篠原智(しのはら・さとし)は彼女と一緒に、彼女に引きずられバンドを結成し、ライブを演り、最高の時間を一緒に過ごした……そして、燐は死んだ。
 俺に残されたのは、取り返しがつかない、たった一つの後悔だった。決して伝えてはいけなかった言葉。あんなことを彼女に言わなければ、燐はきっと最後まで笑顔でいられたのに…。
 後悔に押しつぶされそうになっていた俺にチャンスが。突然のタイムリープ、二度めの夏。そこで俺はもう一度燐と出会う。奇跡が与えてくれた、再びの夏。俺は嘘をつく、彼女の最後の時間が笑顔で過ごせるように。

感想
 買ってみて驚いたことは、『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』の作者さんの作品だということ(笑)

 この『二度めの夏~』は、ド真ん中真直ぐな青春小説です。 あらすじを読んでもらえれば分かるとは思いますが。
 一方、『下ネタ~』の方は、タイトル通りのとてもではないですが万人に勧められるような作品ではない作品なのです。下世話もここに極まれり、といった内容の作品。何より表紙絵が…。

 という、読んでみて驚いたというお話


 あらすじにあるように、ぱっと見、お涙ちょうだいの良くある話なのかと思いましたが、そう単純な話ではなかったという。
 全体のトーンがそこまでセンチではなく、どちらかというとラブコメのノリに近いです。
 それもじれったく感じるタイプのラブコメです。


 ヒロインである燐(りん)が、常に明るく、全力投球で、笑顔でいるところが大きいですね。彼女が陰鬱になっていたら、この作品はつまらなかったでしょう。
 その彼女のために嘘をつくことを決めた主人公の覚悟、迷いも、ストーリーに彩りを加えています。

 中心にいる二人の人物造形がとても魅力的で、作品を読ませてくれました。





 ※※以下、話の結末部分のネタバレを含みます※※

 結末も、ご都合主義的なものではなく、悲しみを悲しみのままで終えているところがよかったです。
 奇跡的なことが起きて、燐が死なずにすんでハッピーエンドということが無いところにも好感が持てました。
 逆にこの作品で、「実は…」とかやられていたら、駄作になった気がします。

 ※※終わり※※
 

 失礼ながら、『下ネタ~』止めてこういった青春モノの方にシフトしても十分にやっていけるんじゃないかと思いました。
 と言うか、もっと読んでみたいと思いました。
 次も、青春小説を書きませんかね?

 イラストも作品に合っていて、良かったです。
 燐の笑顔が可愛い♪ 
 表紙絵が素晴らしいですね。
 読後に見ると悲しくなりますが…。

三秋縋 『三日間の幸福』 (メディアワークス文庫)

三日間の幸福 (メディアワークス文庫)三日間の幸福 (メディアワークス文庫)
(2013/12/25)
三秋縋

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 寿命を買い取ってもらった、一年につき一万円で。
 困窮し、本CDなど換金できるものは換金した。その時訪ねた古本屋、CDショップで「人生を換金してくれる店」の話を聞かされた。胡散臭く思いつつも尋ねたその店で査定された俺の残りの人生は、一年に付き一万円だった。
 未来を悲観して、残りの寿命を三カ月だけ残して売り払った俺は、僅かな余生で幸せをつかもうと躍起になるが、すべて裏目に出る。そんなオレのから回りっぷりを冷静に監視する女性、ミヤギ。残りわずかな人生を彼女とすごすうちに、彼女のために生きることが幸せなのではないかと気付いた。しかしそう気付く頃には、残りの寿命は二カ月を切っていた。

感想
 人生を査定して換金するというアイデアに惹かれて買ってみました。
 三秋縋さんは、ウェブ小説界では有名な人なのですかね?帯などの紹介を見るに。

 さて、感想ですが、面白かったですよ。
 上述のアイデアがきちんとストーリーに活かされていて、企画倒れというか、見かけ倒しの作品ではありませんでした。
 「『お前の人生はロクでもない』と評価されてしまった時、人はどうするのだろうか?
 この作品は、そういった問いに対する答えの一つなのではないでしょうか。


 クスノキという男が主人公なのですが、作品冒頭の小学校時代の回想シーンがヒドイですw なんていうか、ロクな大人にならないんじゃないか的な雰囲気が漂っています。 「鼻もちならない」ってこういう時に使うんだな、という凡例になりそうなお子様です。
 が、作品中盤から確実に「まとも」な方向に向かっていましたね。自分勝手な人間が、周りに目を向け始めた感じです。

 一方で監視ミヤギさんですが、色々謎な人でした。
 ただ監視対象者がやけを起こして問題行動に走らないかを監視しているだけで、死神のようなものでもない。というか、人間だそうで。 でも監視対象者以外には姿を認識されないとか。
 その謎も魅力の一つになっている不思議な人でした。 それらの謎は謎のままで放置されていますが、特に気にはなりませんでした。



 基本的には、この二人を中心にした変則的ボーイミーツガールものです。
 命がかかった状況でのラブストーリーですが、一昔前に流行った「病気で相方が死ぬ」タイプ、携帯小説タイプの物語ではありません。
 そういった自己陶酔型の物語ではないので、それらが苦手な人にもおススメです。

 また、そういった作品にありがちな鬱屈した空気はほとんどありません
 むしろ作品終盤になり、リミットが近づくにつれて前向きになっていく作品です。 でもそれもカラ元気とか、諦めから来る明るさではないところがこの作品の魅力だと思います。


 個人的には、このクスノキ・ミヤギコンビの話だけではなく、他の人間のエピソードも見たかったですが。
 ミヤギ自身のエピソードや、これまで担当してきた人たちの話はありましたが、そうした人たちにも焦点を当てたと言うか、彼らを主人公にしたお話もあったら良かったです。
 オムニバス形式で。

 単純にこの世界観での、他の物語も読んでみたいなという単なる願望です(^_^;)
 『世にも奇妙な物語』にありそうな、面白い世界観だと思ったので。

有川浩『キケン』 (新潮文庫)

キケン (新潮文庫)キケン (新潮文庫)
(2013/06/26)
有川 浩

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 去年買ったのに「積ん読」になって忘れていた作品w
 思い出して読んで見ました。

評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 「命の危険も顧みず、理系技術の探求に挑む熱き男たちの魂の記録である!」(嘘)。
 普通の工科大学である成南電気工科大学にあるサークル「機械制御研究部」(通称:キケン)。部長:上野(うえの)、副部長:大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人とは思えない所業による事件、犯罪スレスレの破壊的行為の数々から、「機研」=「危険」として恐れられていた。
 これは、理系男子達がその爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。

感想
 疾走感のある、爽やかなコメディ小説です。
 「こいつら、バカで~」と思うこと請け合いwww

 でもそのバカは、愛らしいバカなのが良いですよね。
 痛々しいバカっているじゃないですか。そういったのとは違う、一本筋の通ったというか、きちんと人間としての在り方をわきまえてるバカです。
 他人に迷惑を掛けて楽しんでいるような人間ではないということですね。


 それはさておき、本作を読んでいると学生時代やバカやっていた時期が懐かしくなると思います。
 「なんであの頃はあんな事に熱中してたんだろう」といった不思議な懐かしさと共に読めるかと思います。あとがきにもありましたが、みんながみんな自分の中の「自分のキケン」を多かれ少なかれ持っているからだと思います。

 てか、有川さんは本当は男なんじゃないかとたまに思いますねw
 良くもまぁここまで男のことを書けるなと。
 でも恋愛ものを見ると女性なんだなと思いますが。

 ちなみに本書では、機械工学的な専門知識はほとんど出てきません。ですので理系作品ということで敬遠されている方も是非読んでみてください。
 ロボットを作ったり、ラーメンを作ったりしていますのでw

 上野のようにどこまでも恥じることなく、自分というものを出して生きていけたら気持ちが良いんだろうなと思います。
 警察のご厄介になることも覚悟の上で、という前提付きですが。


 積ん読にしていたことをちょっと後悔しています。 もったいないことをしたものですorz
 それぐらいには面白かったです。

紫村仁『プシュケの涙』 (メディアワークス文庫)

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)プシュケの涙 (メディアワークス文庫)
(2010/02/25)
柴村 仁

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 夏休み、一人の少女が校舎の4階から飛び降りて自殺した。 彼女は何故飛び降り自殺をしたのか?
 謎を探るため、二人の少年が動き出した。 一人は少女が飛び降りるまさにその瞬間を目撃したという少年、榎戸川(えどがわ)。最近うまくいかないことばかりで鬱々とした学校生活を送っている受験生。もう一人は、「変人」として有名な由良彼方(ゆらかなた)。何を考えているのか分からない男。
 彼らが辿りついたのは残酷で、悲しい事実だった。

感想
 なんとなく何の予備知識もないままにきまぐれで手に取った作品。
 当たりでしたw


 哀しい物語でした。
 単なる悲劇、計算された悲劇ではなくて哀しい物語。 生々しさとはまた違ったものです。ドロドロしていないとでもいいましょうか。

 個人的には悲劇は好きではないのですが、この作品はよかったです。
 悲劇は悲劇の主人公が悲劇に浸ることがあるので嫌いなのですが、この作品ではそれが無い。悲しみを悲しみとして受け入れ、受け入れられないものは出す。
 主人公が陶酔的な自己愛に浸っていないところが良いところでした。


 「翅を片方失った蝶は
  地に堕ちるしかない
  涙を流す理由も分からない私は
  失った半身を求めて彷徨うだけ」(本書扉絵より)


 本書は二部構成のようになっています。
 前半のパートで、あらすじに書いたミステリ要素を含む全体の物語が提示されます。
 後半のパートでは、事件のもう一人の当事者の視点から事件に至るまでの物語が語られます。

 この構成、上手ですよね。
 前半で悲劇の全体像を明らかにしたうえでの、あの後半です。ずるいw

 帯の有川浩さんの推薦文に「世界が優しくないことをこれほど軽やかに語られたらいっそ心地良い」とありますが、まさにその通りの読後感でした。
 哀しい物語なのに、どこか綺麗な印象を持ちました。

 ちなみにですが、今作の主人公の一人、由良彼方を主人公にした作品が他にも出されているので興味を持った方はそちらもどうぞ。

ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
柴村 仁

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セイジャの式日 (メディアワークス文庫)セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
(2010/04/24)
柴村 仁

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 もう一作、由良を主人公にしたものを書店の新刊コーナーで見かけたのですが、タイトル等忘れました。
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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