神西亜樹『坂東蛍子、屋上にて仇敵を待つ』 (新潮文庫nex)

坂東蛍子、屋上にて仇敵を待つ (新潮文庫nex)坂東蛍子、屋上にて仇敵を待つ (新潮文庫nex)
(2015/01/28)
神西 亜樹

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 坂東蛍子(ばんどう・ほたるこ)は桐ケ谷茉莉花(きりがや・まりか)が嫌いだった。容姿端麗、運動神経抜群にして、自身と並び称される彼女のことが許せなかった。だが、何故嫌いで許せないのか、判らなかった。故に彼女は果たし状を書く。
 その日、学園に大スターは屋上にて決闘する。学舎がお化け屋敷と化し、テロリストに占拠されようと、その程度の事件では彼女たちの青春は止められない!

感想
 前作も面白かったですが、今作も前作の勢いはそのままに面白かったですね♪
 前回はロボットやら、宇宙人やら、喋るぬいぐるみやらが登場して賑やかでしたけど、今作もそれらに加えて幽霊やらが登場して賑やかです。

 本文が基本的に登場人物の独白で埋められているので、登場人物が多いと「今誰の視点で物語が語られているのか」がわかりづらいのが難点といえば難点ですが(^_^;)


 今作で意外だったのは、蛍子が運動会の短距離走で敗北したことお化けが苦手なことですかねw
 あのハイスペック人間に勝利する人間がいようとは。
 そして怖いもの知らずに見えるのに、幽霊が怖いとか可愛いじゃないかw

 肝試しシーンは良かったです。
 友人たちと蛍子のドタバタ喜劇っぷりが最高でした。
 キャーキャー言っている彼女たちが可愛かったです。


 個人的には、作劇上、学園占拠事件はべつに要らなかったんじゃないかなと思いました。
 CIAだかのおっさんと、ロボを出すのには必要だったのかな?
 もしくは蛍子の知らないところで進行する世界規模の事件の一つってところかな。

 他には、蛍子の親友であるところの結城満(ゆうき・みちる)の蛍子愛の半端なさに今回もびっくりですw
 行き過ぎていて、ちょっと怖いですが…。


 300P超と、そこそこのボリュームの本作ですが、テンポ良く進んでいくので意外とサクッと読めてしまえるところもいいところです。
 続編も出そうな気がするので、今後も期待です。
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宮部みゆき 『悲嘆の門』

悲嘆の門(上)悲嘆の門(上)
(2015/01/15)
宮部 みゆき

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評価(☆5が満点)
☆3.5

あらすじ
 世間では、殺害した人間の死体から、一部を切り取るという戦慄の殺人事件が発生していた。しかもその殺人事件は、複数発生し、メディアでは連続殺人事件として連日大きく扱われていた。
 そんな中、ネット監視のアルバイトでこの事件に行きあった大学生の孝太郎は、やがてこの事件に飲み込まれていく。一方で街には「動くガーゴイル像」の噂が広まっており、定年退職した元刑事・都築は、知人の頼みでその噂を調査することになる。
 徐々に憎しみに染められていく世界。二人と《異形》が出会う時、「悲嘆の門」が開かれる。

感想
 『英雄の書』の続編でした。
 『英雄の書』自体を読んだのがだいぶ昔で、記憶があやふやなので断言はできないのですが(^_^;)
 物語自体には直接の繋がりはなく、世界観を共有した別のお話といったところが正確でしょう。

 さて、物語自体は『英雄の書』がそうであったように、純粋な現代劇ではなく、ファンタジー要素をその根幹に据えた、ファンタジーと現代劇のハイブリッドになっています。

 ですので、純粋な現代劇、ミステリーとしての作品を期待されている方には違和感があるかと思います。「これはこういうお話だ」という割り切りが必要で、そういった割り切りが無理そうであれば、おススメできません。
 例えば、最近の宮部さんの作品で言うと『ソロモンの偽証』のような、現代ミステリーを期待されて購入を検討されている方は、再考された方が良いかもしれません。

 個人的には結構楽しく読めましたが、ファンタジー部分と現代劇部分の比率というか、混じり具合が微妙だったかなとも思いました。
 もう少し、ファンタジー要素を減らしてくれていたら良かったなと。
 ファンタジー要素を無くしてしまっても面白い作品になったと思いました。もしくは『ブレイブストーリー』のようにファンタジー部分に軸足を置いてしまっても良かったかな、とも。
 ファンタジー部分が付けたしの様になっていまっていて、少しもったいない気もしました。

 まぁ、よくよく考えてみると、付け足し部分は現代劇の方のような気もしますが。
 「連続死体損壊遺棄事件」がメインとして描かれているのですが、実のところ、事件そのものは作品の中心ではない気がします。少なくともミステリーや警察小説のように、事件そのものが作品のキモではないので。
 そうした点でも、ミステリー作品として本書を楽しむことは難しいかと思います。

 
悲嘆の門(下)悲嘆の門(下)
(2015/01/15)
宮部 みゆき

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はやみねかおる『モナミは世界を終わらせる?』 (角川文庫)

モナミは世界を終わらせる? (角川文庫)モナミは世界を終わらせる? (角川文庫)
(2014/10/25)
はやみね かおる

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 真野萌奈美(まのもなみ)、普通の高校二年生…だったはずが、突然現れた見知らぬ男が身辺警護を申し出たことから事態は少々不思議な方向へ。彼曰く、世界の出来事は学校で起こる出来事と連動している。そればかりか、私は世界の行く末を担っているんだとか。
 ある日突然命を狙われることになった私の運命はどうなっちゃうの!?

感想
 個人的には、久しぶりのはやみね作品でした。
 『僕と先輩のマジカルライフ』以来かな?
 ↑の作品は面白かったので、書店で見つけた時にこの作品を購入。


 内容は、よくある世界系のお話でした。
 上記のあらすじを見てもらえば分かるかと思いますが、これでもかと言わんばかりの王道ど真ん中w
 モナミちゃんはの性格も底抜けに明るくて、読んでいて元気になれる感じがしました。
 ちなみにモナミちゃんの名前は、フランス語の「友達 mon Ami」からだそうです。

 お話そのものは、モナミちゃんの性格を反映してか明るくハイテンションで進んでいきます。
 え、そんなことがそう繋がるの! といったお話がてんこ盛り。
 基本的にはモナミちゃんを狙う人間たちに気を配りながら、世界を混乱に陥れる可能性がある校内の事件を未然に防ぐことをメインにしています。

 児童文学畑出身というはやみねさんらしく、文章も平易で読みやすいです。
 テンポもいいですし、するする読み進めることができます。


 が、いくら世界系とは言えちょっと話の展開が突飛すぎる気がします。いい意味でも悪い意味でも「え、そんなことがそう繋がるの!」です。
 学校運営が気に食わないからと言って爆弾を仕掛ける生徒とかあり得ますか?
 所々、あまりに突飛すぎることが少々気になりました。が、それが気にならなければ楽しめるかと思います。


 続編の文庫の刊行も決まっているようですので、そちらに期待してみてもいいかもしれません。
 次回は『モナミは時間を終わらせる?』だそうです。
 「モナミが時をかける」とアオリにあるので、タイムトラベルものになるのでしょうか?

仁木英之 『僕僕先生』 (新潮文庫)

僕僕先生 (新潮文庫)僕僕先生 (新潮文庫)
(2009/03/28)
仁木 英之

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 今さら感がありますが、仁木さんの『僕僕先生』を読みました。
 読んでいなかった理由は特にないのですが、今読んだ理由も特になかったりしますw

 「僕僕」と言うのは、主人公の師匠にあたる仙人の少女(?)の名前です。
 では、感想。

評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 唐代の中国。元県令として下級官吏ながら成功した父の財産に寄り掛かり、無為・怠惰な日々を謳歌していた王弁(おうべん)。ある日、道教に傾倒している父の使いとして、最近仙人が現れたという黄土山へ出かけた王弁は、そこで少女と出会う。「ぼくは、僕僕だ」と自己紹介する不思議な少女、実は仙人で見た目に反して数千年を生きる本物の仙人だった。
 不老不死に飽きた口の悪い美少女仙人と、道楽青年の世界を巡り、世界を知る旅が始まった。

感想
 噂にたがわぬ面白いファンタジー小説でした。

 僕僕先生、面白いです。
 あ、タイトルでは無くて仙人でヒロインの僕僕先生の方です(^_^;)
 「辛辣」、「口が悪い」と紹介されますが、悪戯っぽいだけな気がします。
 意地悪ですが、意地が悪い訳ではないので、まっとうなことしか言ってません。が、時に正論過ぎて王弁なんかは冷たいとか思ってしまってますが。

 そして主人公の王弁くん。
 彼には非常に親近感を覚えますw 決して実家は金持ちではありませんが、彼の生活ぶりはオレですねw
 現代でもダメ人間の烙印を押される王弁くんですが、もちろん当時でもダメ人間です。
 ただ、彼は素直な人間で、決して世間を斜に構えて見て批判だけしている人間ではないので、やる気になれるものがあれば大成するのではないでしょうか。そこが俺とは違いますねorz


 んで、本作品は仙人である僕僕先生と、王弁くんのトラベル小説であり、王弁くんの成長物語です。
 世界を旅するなかで、王弁くんは知らなかったこの世の中を知ることになり、僕僕先生も人間を再発見していきます。
 
 舞台は唐代の中国ですが、作品世界そのものは現実を基にした創作世界で、犬頭人身の種族などの異種族も共存している世界になっています。
 また道教的世界観も持ち込まれていて、道教の神々も実在するものとして登場します。この辺りの知識は、あまり身近なものではないので新鮮味がありますよ。

 ちなみに僕僕先生は仙人ですが、なんと天仙だそうです。驚き。
 仙人にも貴賎があって、天仙は最上位です。尸解仙(しかいせん)⇒地仙⇒天仙となります。
 僕僕先生は、原始天尊などにも会えるほどの上位の仙人のようです。

 唐代の中国と言いましたが、より正確には玄宗皇帝の治世序盤と言うことになっています。未だ楊貴妃に傾倒し、国を傾けていく前、唐代の最盛期の一つを創り出す前です。
 これから玄宗による傾国の困難を控えている時代なので、そうした時代の混乱が王弁と僕僕先生にどのように影響してくるのかも楽しみの一つになると思います。


 続編の『薄妃の恋 僕僕先生』は、これから読んでいく予定です。まだまだ続編があるので、楽しみなシリーズです。
薄妃の恋―僕僕先生 (新潮文庫)薄妃の恋―僕僕先生 (新潮文庫)
(2010/08/28)
仁木 英之

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櫛木理宇 『ドリームダスト・モンスターズ』 (幻冬舎文庫)

ドリームダスト・モンスターズ (幻冬舎文庫)ドリームダスト・モンスターズ (幻冬舎文庫)
(2014/05/15)
櫛木 理宇

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 『ホーンテッド・キャンパス』の櫛木理宇さんの新シリーズということで購入しました。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 悪夢に悩まされている女子高校生、石川晶水(いしかわあきみ)。数ヶ月前の事故と最近毎日のように見る悪夢からくるストレスで、自己の内に閉じこもりがちになり、晶水はクラス内で孤立していた。しかしそんな彼女に何故かまとわりついて来る、お調子者の同級生の山江壱(やまえいち)。壱は、晶水の冷たい態度にもめげず、彼女にアプローチを繰り返す。
 実は壱は、他人の夢に潜り、その人間の悩み(悪夢)の解決を手助けする「夢見」の能力を祖母から受け継いでいた。彼は晶水の悪夢を取り除くために、彼女の夢の中に潜り込む。
 壱が晶水の夢の中で見つけるものは…。

感想
 作品のジャンルは、前シリーズである『ホーンテッド・キャンパス』と同じくオカルトです。
 相違点は、舞台が大学から高校に変わったことぐらいですかね。なので、やっていることはほとんど同じでした。
 ただ、登場人物が高校生中心ということで、よりライトノベル寄りになっています。まぁもともとキャラクター小説ですので変わりはないかもですが(^_^;)

 「夢見」の能力は、あまり超常じみておらず、どちらかというと「夢診断」に近いものになっていました。ですので、オカルト方面によりすぎることもなく、地に足の着いたものになっています。映画『インセプション』のような、夢の中に入ってドンパチする、冒険するといったような展開はありませんので、その点には注意してください。

 『ホーンテッド・キャンパス』もそうですが、オカルトというよりも「少し不思議」話であり、『世にも奇妙な世界』のような作品になっています。オカルト的な部分と科学的というか、合理的思考のバランスのとり方が、相変わらず上手な作家さんだと思います。


 ただ、ここに問題もあるように思います。
 言ってしまえば新シリーズとは言え、やっていることは前シリーズと同じなので、新シリーズを刊行するなら『ホーンテッド・キャンパス』の続編を書いて欲しいというのが正直なところです。
 良かった点は、登場人物が違うところでしょうかw
 とはいえ各話それぞれのまとめ方、面白さといったものはきちんとしているので、面白くないということはありませんでしたので、ご安心を。

 もう一点。「甘酸っぱいオカルト青春ミステリー」とか「胸キュン100%保障」などと帯に書かれてたりしますが、シリーズ一巻目ということもあるのであまり期待しないよう。
 まだ始まったばかりですので、壱と晶水の関係も始まったばかりです。そもそも恋愛小説ではないので、ポンポン進展しませんしw 二人の恋愛関係はこれからに期待です。


 以上、管理人個人としては、『ホーンテッド・キャンパス』の方がおススメです。
 本作品も一つの作品として決して悪くはないのですが、先に述べた理由から前シリーズの方をおススメします。
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