三津田信三 『蛇棺葬』 (講談社文庫)

蛇棺葬 (講談社文庫)蛇棺葬 (講談社文庫)
(2013/10/16)
三津田 信三

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百蛇堂<怪談作家の語る話> (講談社文庫)百蛇堂<怪談作家の語る話> (講談社文庫)
(2013/12/13)
三津田 信三

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 今回はちょっと変則的です。 評価は、二つ合わせてのものとなっています。

評価(☆5が満点)
☆4 (『蛇棺葬』☆3.5、『百蛇堂』☆4)

あらすじ
 (『蛇棺葬』
 幼い頃、引き取られた百巳家(ひゃくみけ)で蛇神を祭る奇習と怪異のただなかに「私」は過ごす。成長した私は、訳あって再びその地を訪れることになる。百巳家にある開かずの離れ、「百蛇堂」。そこで行われる、百巳家の葬送百儀礼で何が起こるのか……。

 (『百蛇堂』
 作家兼編集者の三津田信三(みつだ・しんぞう)が紹介された男、龍巳美乃歩(たつみ・みのぶ)が語ったのは、とある地方の旧家、百巳家での真に迫った実話怪談だった。数日後、彼から送られてきた怪談の原稿を読んだ三津田と周囲の人々を次々と怪現象が襲う。 龍巳が語った長い長い怪談、『蛇棺葬』からの謎と怪異が繋がり、広がる……。


感想
 二冊合わせての紹介ですが、この二冊は前後編などの二分冊の関係にはありません。
 個々の作品自体は独立しているので、どちらか一つだけを読んでも一つの作品として楽しむことができます。  ただ、『蛇棺葬』を読んだ後で『百蛇堂』を読んだ方がより怖さが増すのではないかと思います。


 『蛇棺葬』では、幼い「私」が地方の旧家、百巳家で遭遇した恐怖体験と、長じてから再び百巳家を訪ねることになった「私」の体験から構成されています。
 あらすじを見ていただければわかるかと思いますが、この恐怖体験の語り手が『百蛇堂』での登場常人物、龍巳美乃歩ということになります。
 『百蛇堂』では、その龍巳の怪異譚がもたらす怪異現象を軸に、作家・三津田信三が怪異に挑むという形式です。
 創作と現実、過去と現在が混沌と入り乱れ、恐怖心を煽ってきます。 個人的には、怪異の発生が具体的な場所(「百蛇堂」)に限定されていないため、こちらの方が身近に感じられ、こちらの方が怖かったですね。
 
 
 とは言え、ホラーでありながら単純なホラーだけではないところが三津田さんの作品の面白いところです。
 先に紹介した『のぞきめ』の時にも書きましたが、ホラーと謎解きがこの作品でもミックスされています。 というか、謎が解けたら解けたで、怖さが増すということもままあるんですが(^_^;)

 今回の『百蛇堂』はこちらのパターンでした。
 fictionとnonfictionが混然としているのもあって、今にも自分の所にも来るんじゃないかとも思ったりしました。 最後に明かされたオチもなかなか面白かったです。
 普通なら叩かれそうですが、この作品ではそんなことはなく、むしろより魅力的にしているように思いました。


 あまり書いてしまうと、読んだ時の恐怖感がだいなしになってしまうと思うので、この辺にしておきます。
 あとは是非、ご自身の目で確かめてください。
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三津田信三 『のぞきめ』 (角川ホラー文庫)

のぞきめ (角川ホラー文庫)のぞきめ (角川ホラー文庫)
(2015/03/25)
三津田 信三

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評価(☆5が満点)
☆4

あらすじ
 長期休暇を利用したアルバイトで、辺鄙な貸別荘地を訪れた成留(しげる)たち。 バイト中、仲間がであったという謎の巡礼の母娘に導かれるように彼らは禁じられた廃村に紛れ込み、恐るべき怪異に見舞われる。
 民俗学者・四十澤(あいざわ)が昭和初期に残したノートからその村が「弔い村」という異名を持ち、「のぞきめ」という付きものの伝承が残る忌み村だということが明らかになっていく。
 作家である「僕」が出会う二つの怪異譚。その衝撃の関連と真相とは。

感想
 最近ハマりだした、三津田信三さんの作品です。
 『首無~』などの感想は、読み終えているのでまた後で上げる予定です。 どれも面白かったです♪


 この作品は、上記「刀城言耶シリーズ」でも、「死相学探偵シリーズ」でも「作家シリーズ」でもない独立した作品となっています。 作家シリーズのようではありますが、ちょっと違う感じです。

 語りがとても練られていて、怖さが増していますです。
 序盤の一文がとても効いていて、読み終えた後も怖さが続きます (((゜Д゜)))ガクガクブルブル
 というよりも、読んでからの方が怖いかもw 上手に人間心理を突いた作品でした。


 イメージとしては、《洒落怖スレ》の「リゾートバイト」にちょっとだけ近いかなと思います。 話としてはまったくの別物ですが…。 「リゾートバイト」もなかなか怖い「お話」です。
 その上に、民俗学的な怪異の謎解きというスパイスが加えられています。
 ホラーとしても普通に怖いのですが、ただ怖いだけではなくそこに裏付けのように民俗学的な考察が重なるので怖さ倍増です。
 

 ホラーと謎解き。
 この二つの混じり具合が、とても良く、怖さと謎解きの快感を感じられるという面白い作風です。これは、三津田さんの他の作品にも共通している作風ですので、興味をもたれたら他の作品も読んでみることをおススメします。

 京極夏彦のような怪異+探偵ものに、ホラー要素が加わっていると言えば近いかと思います。
 「死相学探偵シリーズ」の方は手を出してはいないのでわかりませんが、「刀城言耶シリーズ」と「作家シリーズ」は上記のような作風です。 より謎解きの方に軸足が置かれている等の違いはありますが。

 ちなみにですが、映画化が決定しているそうです(オビ情報)。 映像化したらさらに怖くなるかもしれませんね。


 何かに覗かれている――そんな気がする時は、必ず一旦本書を閉じてください。(あとがきより)

佐島佑 『夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム』

夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム (角川ホラー文庫)夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム (角川ホラー文庫)
(2015/02/25)
佐島 佑

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評価(☆5が満点)
☆2.5

あらすじ
 道郎(みちろう)の通う帝陽美術大学の上空に、突如カラスの大群が現れた。教室で映画撮影の稽古をしていた道郎は、カルミンとともにカラス事件の解決に乗り出すが予想外の事実に行きあたる。
 ホラー映画から飛び出してきた謎の少女・カルミンと出会ってから、この世ならざる者が見えるようになってしまった道郎。この世ならざる者たちが引き起こす不思議な事件を解き明かしながら、道郎たちは自主作成映画を完成させることはできるのか。

感想
 なんだか益々ラノベ化したような気がします。


 今回は、計5つの短編が収められていました。
 「エンジェル・ペイン」。
 「夏風モノクローム」。
 「偏愛の箱」。
 「虚実の仮面」。
 「タナトスの困惑」。

 ラノベ化したと書きましたが、ホラー要素がうっす~くなっている気がします。
 怖さとかそういったものは特に感じませんでした。
 「角川ホラー文庫」なのに。

 「エンジェル~」で、人間の妄執を見せられて人間の怖さのようなものはありましたが、恐怖心ではありません。
 「夏風~」は、むしろいい話でしたし。いい話でしたが怖くはない。
 その他は特に感想はありません。


 ホラーミステリーとありましたが、前作よりホラーでもミステリーでもなくなっている気が…。 前作は面白いと思えた部分があったので今回も買いましたが、今後は検討します…。 

櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス』 (角川ホラー文庫)

ホーンテッド・キャンパス なくせない鍵 (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス なくせない鍵 (角川ホラー文庫)
(2015/02/25)
櫛木 理宇

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評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 年の瀬も迫ったある日、オカ研に奇妙な依頼が舞い込んだ。絵画同好会の卒業展示会で、『モナリザ』を主題にしたある絵にだけクレームが殺到したという。同好会の男子学生が、婚約者でもある彼女をモデルに描いた絵だというのだが…。
 「嗤うモナリザ」、「仄白い街灯の下で」、「薄暮」、「夜に這うもの」の四編で送る、青春オカルトミステリー第七巻。

感想
 「リア充爆発しろ!」と言いたくなるような表紙(笑)
 まぁ、中身も似たようなものですが。


 今回の話の中では、「嗤うモナリザ」がよかったかなと思います。 この中では一番オカルトっぽく、ホラーしていたので。
 オチとしてはイマイチなのが残念でした。
 てか、あのオチはどうなのかとも。 別にいいのですが、人道にもとるような気がしましたが。

 「仄白い~」は、いい話系。
 「薄暮」は、地味なおっさんのお話。
 「夜に~」は、学生運動絡みのお話。

 と、他の三つは微妙でした。 ホラーにしては弱く、ミステリー的でもないかと。
 特に「薄暮」は、おっさんの一人称視点で語られることもあり、イマイチな感じの小品。


 あとは、巻を追う毎に益々ラブコメ化していっているのが気になりますね…。
 いや、恋愛分は別に嫌いじゃないですよ。 でも、昔ジャンプとかで見たようなダラダラした感じのラブコメなのが少し気になって来たかなぁと。
 あんまりグダグダしていると、飽きてくるのじゃないかな?


 「君たち、付き合っちゃえば?」
 と帯に煽りがあるのですが、まったくその通りでだと思います。
 ちなみに同じく帯にあるのですが、「片思いに急展開」はまったくありませんのであしからず…。


 てか、メディアミックスでコミック化もされたそうです。 アニメ化とか目指してるのかな?

佐島佑『ハサミ少女と追想フィルム』 (角川ホラー文庫)

ハサミ少女と追想フィルム (角川ホラー文庫)ハサミ少女と追想フィルム (角川ホラー文庫)
(2014/07/25)
佐島 佑

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 最近の角川ホラー文庫、キャラミスとかの作品の分類に困っている管理人です(笑)
 ホラーなのか、ミステリーなのか。それともラノベの変種なのか…。手法がライトノベルに似ているので、ラノベでもいいのかも。

評価(☆5が満点)
☆3

あらすじ
 美術大学になんとなく入学した草食系男子、都築道郎(つづきみちろう)は、ひょんなきっかけで知り合ったおかしな先輩、檜垣鷹士(ひがきたかし)に誘われ、どういう訳かホラー映画を作ることに。
 勉強のためにと渡されたホラー映画を見る羽目になった道郎が、あまり乗り気になれないままに映画を見ていると、再生していたPC画面から突如大ハサミを持った少女が現れる。カルミンと名乗る少女につきまとわれることになった道郎は、やがてこの世のものではないもの、カルミンが「ハザマ」と呼ぶ世界が見えるようになり…。
 映画作りに奔走しつつも、ハザマが起こす不思議な事件をカルミンとともに解決していく。

感想
 『ホーンテッドキャンパス』の二番煎じ系かと思いきや、二番煎じでしたw
 が、キャラクターたちが立っているので、別物として十二分に楽しめる作品になっていました。

 管理人的には、ヒロインの速水理緒(はやみりお)が好きですね。
 ヒロインを好きになれるかどうかが、こうした作品のキモだと思うのですが、成功していますねw
 女の子女の子しておらず、サッパリしているというか、べらんめぇ?
 そこはかとない漢(おとこ)を感じますw かと言って可愛さが欠片もないわけでもないという不思議な女の子です。

 お話そのものは、基本的に『ホーンテッドキャンパス』を思い出してもらえればいいと思います。ただ、より現実味は薄くなっていますね。
 また同じように短編連作集の形をとっています。間延びせず、テンポ良く話が進んでいてスイスイ読めます。が、難点としては、ホラー要素がますます薄くなっているので怖くはないですし、かなりライトノベル寄りです。

 そもそも論として「キャラクターノベル」として作り、売り出している時点でライトノベルに近くなりますし、人によってはライトノベルそのものだと言うかもしれません。
 だからと言って、面白くないとかいう訳ではありません。ラノベだから、ラノベっぽいからという理由で敬遠しないで欲しいなと思います。面白い作品ならラノベだろうと一般書籍だろうと構わないと思います。
 

 ちなみに本書(続巻が決定しているようですが)では、まったく映画の撮影には入りませんでした。そして、映画論や撮影論などの話もほとんどありません。キャスト選びと、シナリオ作成に入ったところです。
 映画の話を期待されていると、肩透かしを食う可能性があります。反対に、小難しい映画論のような理論考察はまったくないので、ド素人でも入りやすいと思います。
 
 それはさて置き、結局ぼっちだった道郎くんはぼっちではなく、草食系と言いつつクラスの女子に囲まれるリア充でした…。サギですねw よくある展開なので、別にいいのですが。

 個人的には、「黄昏ノート」の話がおススメです。
 イイハナシダナー。
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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