米澤穂信 『満願』他感想

 ご無沙汰しております。 最近、夜も暑くて本を読む気になれず、更新も延び延びになっておりました。
 そんなこんなで、久しぶりの更新となりますが、よろしくお願いします。


新刊
・米澤穂信    『満願』            ☆4

・川上稔     『境界線上のホライゾン GT 緑と花』 ☆3.5
・葵せきな    『ゲーマーズ 8』             ☆4
・青山剛昌    『名探偵コナン 93』           ☆3.5
・赤坂アカ    『かぐや様は告らせたい 6』       ☆4


既刊
・九曜       『槙坂涼は退屈を好まない。』     ☆3.5
・――       『槙坂涼は退屈を好まない。2』    ☆3.5
・川瀬千沙    『-ねぇ、柴田。』             ☆2.5
・恒川光太郎   『雷の季節の終わりに』        ☆4
・――       『南の子供が夜行くところ』       ☆4
・竹本健治    『トランプ殺人事件』           ☆3.5
・東野圭吾    『片想い』                 ☆4
・永井荷風    『濹東奇譚』                ☆4
・北村薫・宮部みゆき編  『名短編、ここにあり』     ☆4
 

感想


『満願』
 最近文庫化されたので購入。単行本では持っていなかったのです(へそ曲がりなのでw)。
 多くの受賞歴も納得の、珠玉の短編集。6編収録されていますが、つまらないものが見当たらない。話の展開の妙と驚きの結末で、飽きさせない。各作品は趣向が異なっているので、その点でも読者を退屈させない。
 個人的には、失踪した恋人を探して訪れた宿で妙な事態に巻き込まれる「死人宿」、美しい姉妹による戦慄と官能の物語「柘榴」、伊豆の旧関所にある寂れたSAを守る老女の話「関守」の三篇が気に入る。

『ホライゾン ガールズトーク 緑と花』
 今回は外伝。 アルマダ海戦後、IZUMO着港までの裏側の出来事を女子連中で回想する。

『ゲーマーズ』
 アニメも放送され始めた模様。
 衝撃の展開となった修学旅行後、混沌状態となったゲーム部の人間関係をめぐり新たな動きが! というか、今回は心春(このは)を愛でる回ですね。いい子過ぎるわぁ~。もう心春で、FAでいいんじゃないでしょうかw

『コナン』
 ポアロ事件の解決編、英理誘拐事件、キャンプ場での若狭先生、鬼丸登場の4編です。 鬼丸まで登場させてどうする気だw

『かぐや様』
 安定の面白さ。 早坂さんの奮闘や、ポンコツかぐや様の脳内会議など。 生徒会選挙直前の話までを収録。
 今回も早坂さんが可愛い。

『槙坂涼~』
 ドストレートな青春恋愛小説。 108円だったので買ってみました。
 ナルシストな主人公の男の言動に目をつぶれば、普通に面白く読めました。 主人公がもう少しまともであったら、☆4上げてもいいのに。槙坂さんの小悪魔っぷりが最高です。小悪魔ぶって誘ってくるのに耳年増なだけだったりするギャップが良い。
 既刊2巻で打ち切りだそうですが、2巻以降の話はweb上で公開されていて無料で読むことが出来ます。二人の物語の結末を読みたい人はどうぞ。 「小説家になろう ○ttp://mypage.syosetu.com/49002/」(○にhを入れてください)

『ねえ、柴田』

 ↑の流れで買ってみた作品。 青春ミステリーとのことだったが、よくある「人間関係に傷ついた」登場人物たちの馴れ合い話だった。物語の核心に『セカチュー』の様な胡散臭さを感じてダメだった作品。

『雷の季節~』、『南の子供~』
 『夜市』で気に入った恒川さんの作品。 『秋の牢獄』が三作目にあるのだけれど、まだ手に入れていないので…。
 『雷の季節~』は、『夜市』に併録されている異世界の道をめぐる話を拡大したようなお話。道具立ては似ているが、こちらの方が世界が広く、読み応えがあって面白い。
 『南の子供~』は、魔法が存在するある南の島を舞台にした連作短編集風の作品。こちらはよりファンタジックな、極彩色の悪夢の世界といったところ。
 どちらも少年が主人公で、彼らの喪失と再生の物語といった面もある。

『トランプ殺人事件』

 コントラクト・ブリッジというカードゲームに材をとったミステリー。 ゲームを知らずとも楽しめる趣向になっているので、不案内の方々でも大丈夫です。
 が、ミステリーとしてはイマイチかなと。特に謎解きはちょっとがっかりでした。 終盤は、メタ・ミステリーとしては面白いと感じた。『匣の中の失楽』を思い出した(同じ作者の過去作品。日本のミステリーの四大奇書の一つ)。

『片想い』
 割と古い作品。性同一性障害に真正面から取り組んで、ミステリーの仕掛けに取り込んだ意欲作。 表面だけ触れるだけで、事件の本筋とは関係ないネタの一つ、悪く言えば流行りのネタに飛びついただけかと思ったら、いい意味で予想を裏切られて、予想外に面白かった。
 殺人を告白した親友のために奔走する、熱い友情物語・(かつての)青春物語でもあり、サスペンスとしてもおススメできる作品。

『濹東奇譚』
 作家の大江匡と娼婦お雪との交流を通して、日華事変(日中戦争)直前の失われつつある古き良き風俗への感傷を随筆風に描き出した名作。 小品ですので、純文だからといって遠慮せずに手にとってみられることをおススメします。

『名短編、ここにあり』
 「意外な作家の意外な一品、胸に残る名作をお楽しみください」(背表紙の作品紹介より)。
 いろいろな作家の色々な作品が収められていますが、個人的に気に入ったのは以下の作品です。
 半村良のコミカルなファーストコンタクトSF「となりの宇宙人」吉村昭の死んだ少女が淡々とした口調で自身の死後、解剖から埋葬までの様子を語る「少女架刑」井上靖の不思議な格好をした即身仏をめぐる物語「考える人」。 松本清張「誤訳」、円地文子「鬼」も意外性という意味でも面白かった。
 他にも小松左京、戸板康二、吉行淳之介などなどの作品もあります。
 続編『名短編、さらにあり』もこれから読みます。



 熱いのはほんとに読む気を無くさせますね。 クーラーをかけ続けていると頭が痛くなる人間なので、盛夏は鬼門w
 『君の名は。』のDVDレンタルが7/26に始まったので、早速借りて観た挙句に購入しました|д゚) (ちなみに、映画そのものは去年の公開日に見ております)

 それではまたノシ
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森博嗣 『青白く輝く月を見たか?』他感想

 今回の分の紹介です。 今回は少なめ。

新刊
・森博嗣      『青白く輝く月を見たか?』      ☆3.5

・丸戸文明    『冴えない彼女の育て方 GS3』   ☆4

コミックス
・石田スイ     『東京グール Re: 11』       ☆3
・仲谷鳰      『やがて君になる 4』        ☆4
・得能正太郎   『NEWGAME! 6』           ☆4

既刊
・佐々木丸美   『風花の里』              ☆3.5
・芥川龍之介   『地獄変・偸盗』            ☆4
・大友由貴美   『死墓島の殺人』           ☆3
・宮美あや子   『あまいゆびさき』           ☆3.5


感想

『青白い月を見たか?』
 今回は、北極海に眠る引き籠りのAIの調査・暴走の抑止とのこと。しれっと、マガタ博士とか出てくるけれど気にしたら負けだw
 テーマは、AI、超知性との対話といったところでしょうか。
 今後のこのシリーズの到達点は分かりませんが、面白いものが見れることを期待。


『冴えない彼女~』

 エリリや詩羽先輩、そして加藤はあの時裏で何をしていたのか、12巻ラストシーンに至るまでの裏側が見れます。 エリリと詩羽先輩の態度(諦めというか認めた感)の理由が分かりました。 加藤の正妻オーラのせいだったのですw

『グール11』
 ピエロマスクのCGC襲撃と、アキラさん治療編が終了したところまで。
 だんだんダレて来た……。 トーカちゃんが死亡フラグをガンガン立てているようですが、大丈夫か…。
 12巻がすぐ出るようですが、収録話数足りるのか? 未収録話掲載で埋めるのか?

『やがて君になる 4』
 生徒会劇編に本格突入。 こよみのシナリオと姉の友人のセリフに揺れる燈子。侑の側にも本格的な変化が出てきて、面白い。
 合宿でのお風呂場シーンが面白かった。 みんなオヤジが入ってるよ~。 「合宿ってすごい…」がウケた。

『NEWGAME 6』

 新メンバーを加えての新年度が始まりました。 序盤のギクシャクしていた頃はどうなることかと思いましたが、無事打ち解けた様で一安心。 シリアスシーンは別に望んでないので…。
 青葉がキャラデザしたゲーム開発も終盤に差し掛かりましたが、ここにきてまさかの展開が。 どうなる○○さんw


『風花の里』
 これまでのヒロインたち3人が幼い時に一緒に居たことを見てしまったことから、その後の人生を翻弄されることになる少女が主人公。 そのため、若干毛色が違い、シンデレラチックな展開は控えめ。 ヒロインに逆境に立ち向かう意気などの魅力が薄く。残念。
 シリーズ最終巻ということで、シリーズ全体の結末みたいなものを提示するのかと思ったら、はっきりした形では無かったのが惜しい。

『地獄変・偸盗』
 未読短編を求めて。 「偸盗」、「六の宮の姫君」、「竜」、「往生絵巻」。
 「偸盗」、「六の宮の姫君」が面白かった。 「竜」も毛色が違う商品だったが、コミカルで面白い。 「六の宮~」は、北村薫『六の宮の姫』(円紫さんシリーズ)を見てから読みたかったので、読めてよかった。

『死墓島の殺人』

 横溝正史賞受賞作家の二作目とのこと。シリーズものの第二巻。
 「横溝的世界観」に魅かれたものの……。 世界観は良い、推理も無理はない。 けれど、何かが物足りない気がする。 多分殺人の動機や、犯人の人物造形に横溝ほどの迫力がないからかもしれない。 シリーズの残りをどうしようか……。
 同じ「横溝的世界観」風なら以前紹介した『長い腕』の方が個人的には好きかな。

『あまいゆびさき』
 百合作品こと、女性の同性愛をメインに描いた作品
 こうしたジャンルに馴染みがなくとも、純粋に恋愛小説としても楽しめると思います。二人の少女の恋愛模様を描いた作品であり、二人の成長物語でもあるので、読んでいて楽しめました。
 ただ、性描写が割と露骨にあるので、ゆる~い百合や性愛描写を好まない人にはお勧めできないかも。「それでもOK」という人、百合好きな人などにはおススメ。


 今回はこんなところです。

 そういえば今更ですが、ラノベの『魔法科高校の劣等生』、『ダンジョンに出合いを求めるのは間違っているだろうか』など最近新刊の紹介をしていなかったものは切りました。
 『ベルセルク 39巻』(最新刊)は、購入を悩み中。

 それではまた次回も、宜しくお願いしますノシ

夢枕獏 『陰陽師 蛍火ノ巻』他感想…

 それでは今回の分の紹介です。

新刊
・夢枕獏        『陰陽師 蛍火ノ巻』         ☆3.5

既刊
・神林長平      『だれの息子でもない』        ☆4
・川崎草志      『長い腕』                ☆3
・――         『呪い唄 長い腕Ⅱ』         ☆3
・倉橋由美子     『パルタイ』               ☆3.5
・佐々木丸美     『花嫁人形』              ☆4
・大倉崇裕      『福家警部補の報告』         ☆4
・――         『福家警部補の再訪』         ☆4
・道尾秀介      『花と流れ星』              ☆3
・ギャリコ       『スノーグース』             ☆4


感想


『陰陽師』
 14巻目です。 今回は道摩法師が活躍してました。彼がメインの話が3話もw どれも面白かった。「山神の贄」の法師が良い人でちょっと面白かった。
 安吾に寄せた「花の下に立つ女」などもあり、いつもと若干毛色の違う感じの巻だったが、それがよかったかな。
 
『だれの息子でもない』
 初の講談社からの出版作だそうで、若干びっくり。あんなに作品が多いのに、大体早川からなんですねぇ。
 SF。 故人のネットアバターの消去を仕事としている主人公のもとに、死んだ親父のアバターが現れて…。とよくある感じの出だしですが、内容は神林節全開と言った感じです。「ヒト」、「機械」、「言葉」、「意識」をキーワードに縦横無尽に暴れてくれております。初レーベルだからか、文体も優しく読みやすい。

『長い腕』、『呪い唄』

 横溝正史ミステリ大賞受賞作。
 現代の田舎を舞台にしつつも、それこそ横溝的世界観で事件を描き出している作品。『呪い唄』は正当続編。 あの執念というか怨念は、ミステリーというかもはやホラーかもw
 『長い腕』の終盤で、世界というか主人公の思い込みが鮮やかに反転するところは見事でした。

『パルタイ』
 短編集。 「パルタイ」、「貝のなか」、「密告」が面白かった
 ただ、安保闘争、学生運動、日本赤軍といった、60’~80’ぐらいの社会情勢を頭に入れて置いたり、気に留めておいた方がこの作品の皮肉などを楽しめるかと。あとサルトルとか。 知識はなくとも楽しめますが(楽しめました)。

『花嫁人形』
 四部作第三作。 3人のいとこたち最後の一人、昭菜の物語。 前作で「敵地に置かれた子」として紹介されていたが、実は3人の中で一番幸せだったのではないか疑惑が。とうとう3人の人生が交差し始めましたが、どういった結末になるのでしょうか。 早く読みたいような、読み終わりたくないような気持ちですね。
 奈津子、どこにでも出てきて常に嫌なやつとかある意味凄い…。

『福家警部補の報告』、『福家警部補の再訪』

 シリーズ第二弾と第三弾。
 今回も福家警部補はキレッキレでした。そりゃ「あんなんに狙われてた、犯人もたまらんで」と言われますよ。 そしてシリーズを追うごとに混迷の度を深める福家警部補の人物像。漫才が好きで、アクションヒーローが好きで、漫画が好きで、ヤーさんに貸しがあるとか、どんな人間なのかw しかも好きなものの知識が凄い、オタク。

『花と流れ星』
 真備シリーズ短編集。 シリーズの接戦すの詰まった作品集かと。 「流れ星の作り方」、「オディ&デコ」が、個人的には面白かった。

『スノーグース』
 大人のための童話。 表題作の「スノーグース」他、「小さな軌跡、「ルドミーラ」を収録した短編集。
 どれも面白いのですが、中でも表題作の「スノーグース」はおススメ。 孤独な男ラヤダーと少女フリースとの心温まるが、少し悲しい物語。



 今回はこんなところです。 『妖怪アパートの幽雅な日常』を全巻読み返したりしていたもので、若干少なめです。 毎回るり子さんの賄が食べたくなる…。
 それではまたノシ

有栖川有栖 『江神二郎の洞察』他

 今回の分の紹介です。 今回は新刊は一冊です|д゚) それではどうぞ。

新刊
・有栖川有栖     『江神二郎の洞察』         ☆4

感想
・佐々木丸美     『雪の断章』             ☆4.5
・――          『忘れな草』             ☆4.5
・山尾悠子       『ラピスラズリ』            ☆4
・萩尾望都       『トーマの心臓』           ☆4.5
・大倉崇裕       『福家警部補の挨拶』        ☆4
・北村薫        『紙魚家崩壊 九つの謎』     ☆3.5
・――         『謎物語』               ☆3.5
・――         『覆面作家の愛の歌』        ☆3.5
・――         『覆面作家の夢の家』        ☆3.5
・泡坂妻夫      『11枚のトランプ』           ☆3.5
・梨木香歩      『家守綺譚』              ☆4
・玄侑宋久      『中陰の花』              ☆4
・ポー, E. A.      『モルグ街の殺人・黄金虫』     ☆3.5
・カー, ディクスン   『夜歩く』                ☆3.5


感想

『江上二郎の洞察』
 「江上さんシリーズ」初の短編集。収録内容は、作中の時系列順に、学生アリスの入部から翌年のマリアの入部までの約一年間の出来事を描いたもの。『月光ゲーム』以前から『孤島パズル』までの間ということになります。
 EMCの面々の活躍も楽しめ、作品間の隙間うめもされている良い短編集でした。

『雪の断章』、『忘れな草』
 すごかった。読みだしたら止まらず、最後まで一気に読んだ。 孤児を主人公に据えた、『シンデレラ』タイプの物語ですが、侮るなかれ、物語の力、ヒロインの魅力が凄いのです。グイグイ作品世界に引き込まれます
 4巻もののシリーズで、『花嫁人形』、『風花の里』と既に購入済み。一巻ごとに個々の話は完結していますが、シリーズを通して徐々に明らかになっていく作品世界の謎もこの作品の魅力の一つです。
 少女小説風味かもしれませんが、未読の方はぜひ読んでみてください。

『ラピスラズリ』

 冬の間眠り続けなければならない「冬眠者」をめぐる幻想小説。 冬眠者、ゴースト、使用人、人形。 豊かなイメージで紡ぐ、春の眼覚めの物語。 個人的には冬眠の途中で目覚めてしまった少女とゴースト出会いを描く「閑日」が好き。

『トーマの心臓』(コミックス、小学館文庫)
 「これが僕の愛、これが僕の心臓の音」。不思議な遺書を残して死んだ少年トーマ。 彼の死をめぐり展開される、少年たちの愛と試練の物語。 傑作。 少女漫画ですが、男性も読むべし。 読まないなんてもったいない。

『福家警部補の挨拶』
 倒叙ミステリー作品。つまり「刑事コロンボ」「古畑任三郎」風。かつてドラマ化もされたのでご存知の方も多いかもしれません。
 今更ながら原作に手を出しましたが、これが面白かった。 コロンボ、古畑と同じく、そうは見えない福家警部補の切れ味鋭い推理の魅力で読ませます。

『紙魚家崩壊』、『謎物語』

 『紙魚家』は、ノンシリーズのミステリー短編集。『世にも奇妙な物語』風の「俺の席」、童話『カチカチ山』をミステリー仕立てにしたが「新釈おとぎばなし」おススメ。特に後者のブラックな感じが最高でした。
 『謎物語』は、日常の中の謎=ミステリーについて縦横無尽に語るエッセイ。

『覆面作家の愛の歌』、『覆面作家の夢の家』
 「覆面作家シリーズ」の完結巻。 「外弁慶」なお嬢様作家と編集者くんのお話は、コミカルだけどしっかりしたミステリーで面白く読んでいたので、終わってしまうのが残念です。 が、二人+αの関係も完成したのでいいか。

『11枚のトランプ』

 奇術をモチーフにした著者の代表作の一つ。 作品内小説『11枚のトランプ』になぞらえた事件が起こる。
 ミステリーのトリックもですが、作品内で登場するマジックの数々もまた作品の眼目で、マジックを追っているだけでも楽しい。細やかに張り巡らされた伏線に脱帽。

『家守綺譚』
 新米精神労働者と家の不思議な交流を描くファンタジックな作品。 香月日輪とか好きな人にはおススメ。
 不思議な雰囲気を持つ家と、そこにやってくる不思議な者どもとの交流が見もの。香月さんのような毒はないw

『中陰の花』
 生と死を仏教的な独自の視点で描いて、芥川賞を受賞した作品。 優れて物語的でありながら、しっかりと作者の仏教観というか、死生観が伝わってくる。決して説教臭くはなく、ある夫婦の再生物語としても楽しめる。

『モルグ街の殺人・黄金虫』

 「モルグ街の殺人」が読みたくて買った本。面白半分に語られることも多い気がする「モルグ街」ですが、読んでみるとしっかりした作品でした(トリック除くw)。
 他の併録作は、「盗まれた手紙」、「群衆の人」、「お前が犯人だ」、「ホップフロッグ」。表題作は除くと、「お前が犯人だ」、「ホップフロッグ」が面白かった

『夜歩く』
 ミステリー。 秀逸なトリックが光る有名作
 カーの作品はあまり読んでいないので、とりあえずは有名どころを抑えていく予定です。この作品は前知識がほぼなく読んだのですが、密室殺人のトリックがよかった。 あれやこれやの仕掛けを弄した物理トリックとは違う、潔さを感じましたw


 駆け足の紹介になりましたが、今回はこんなところです。
 佐々木丸美にハマった今回でした。
 次回も佐々木丸美ですw

 それではまたノシ

ケン・リュウ 『紙の動物園』他感想

 今回の分の感想です。

新刊
・ケン・リュウ        『紙の動物園』         ☆4.5
・――            『もののあわれ』        ☆4
・野崎まど・大森望編   『誤解するカド』         ☆3.5
・高田大介         『図書館の魔女 烏の伝言 上・下』  ☆4

既刊
・谷崎潤一郎    『春琴抄』    ☆3.5
・倉橋由美子    『聖少女』    ☆3.5
・多島斗志之    『症例A』     ☆3.5
・東野圭吾      『むかし僕が死んだ家』           ☆3
・ウッドハウス    『ジーヴズの事件簿 大胆不敵の巻』  ☆3
・ガルシア・マルケス 『エレンディラ』  ☆3.5


感想

『紙の動物園』、『もののあわれ』
 SF短編小説。もとは『紙の動物園』として単行本で刊行されたものの分冊文庫化したもの。 『紙の動物園』はそのうちファンタージー要素が強い作品群、『もののあわれ』はSF要素が強い作品群とのこと。
 どちらの収録作も素晴らしく面白かった。SF好きの方には是非ともご一読をお勧めします。以下は個人的なおススメ。
 『紙の動物園』では、「紙の動物園」、「結縄」、「太平洋横断海底小史」、「愛のアルゴリズム」、「文字占い師」
 『もののあわれ』では、「もののあわれ」、「円弧」、「波」、「良い狩りを」
 テッド・チャン『あなたの人生の物語』も読んでおくといいかもしれません。

『誤解するカド』
 野崎まどさん監修のアニメ『正解するカド』に合わせたSFアンソロジー。 ディックや筒井康隆をはじめとした、国内外のファーストコンタクトもの作品集。
 個人的には、筒井康隆「関節話法」、小川一水「コズミックロマンス with E」、スタージョン「タンディの物語」、ディック「ウーブ見重く横たわる」、円城塔「イグノラムス・イグノラビムス」、飛浩隆「はるかな響き」が面白く読めた。

『烏の伝言 上・下』
 ファンタジー。
 「図書館の魔女シリーズ」の続編です。文庫化されたので文庫で買いました。
 今回の舞台は一の谷ではなく、ニザマの辺境クヴァングヮン。前回引き起こされた、ニザマ政変を逃れるべく逃避行する姫とその一行が話の中心です。
 そのため前回とは作風が違ううえ、終盤までマツリカもキリヒトも登場しないので、ちょっとモヤモヤしますがさすがに読ませてくれます。 今回も名言が多い。 剛力衆と鼠たちがいい味出してる。
 シリーズ第三作が今年刊行される予定だそうですので、そちらも今から楽しみです。 キリヒトはどうしているのかなぁ…。

『春琴抄』
 未読だったので。 もっと変態変態しているのかと思いきや(だって谷崎だし…)、意外に素敵な物語でした。あとがきにありますが、「単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界」との形容がふさわしいものでした。

『聖少女』

 近親相姦をテーマに、独特の怪しいブラックユーモアで描き出した作品。 ことさらに性行為に焦点を当てたような作品ではなく、近親相姦の聖化、行為の昇華を目指した作品。 最終盤のヒロインのセリフ、「そしてとうとうあたしのなかにとじこもろうとなさるのね、そして、あたしのなかで、たぶん、あなたのゆっくりとした死がはじまるのでしょうね……」(p.232)が深い余韻を残す。

『症例A』
 ミステリー作品。 ただし犯人は病気であり、推理は診断。 ある少女の病状の診断・治療めぐる、精神科医である主人公と他の医師、臨床心理士とのやり取りをメインにした作品。
 解離性同一性障害、いわゆる多重人格を議論の中心に据えた作品だが、ことさらサスペンスチックに脚色されておらず、地に足のついた、医学的知見に基づいた丁寧な議論がされているところに好感が持てる作品。医学用語なども丁寧に説明されていて、難し過ぎるといった心配はいらない。

『むかし僕が死んだ家』

 ノンシリーズで、未読だった作品。 幼少期の記憶がないという元恋人の記憶を辿る為、彼女の祖父が遺した手掛かりをもとに記憶を探ることに。 特段これと言ったことはないが、ヒロインの最後のメッセージが良い。

『ジーヴズ』
 文春文庫版「ジーヴズシリーズ」の第二弾。
 今回もジーヴズ執事は素敵ですw 恋多き男ビンゴにとうとう年貢の納め時が来るとは…。

『エレンディラ』

 ノーベル賞作家ガルシア・マルケスによる、がたっぷり詰まった「大人のための残酷童話」短編集。 もう少し取っつき難い作品かと思っていたら、読みやすくてびっくりした。 ブラックだけれど、どこかユーモラスで、ファンタジックな作品。
 個人的には、表題作「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」、「大きな翼のある、ひどく年取った男」、「奇跡の行商人、善人のブラカマン」が気に入る。
 やはり「エレンディラ」は、桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』に似ている気がする。『砂糖菓子~』は大好きです。


 今回はこんなところです。 実は以前読んだ本を読み返したりしていたので、少な目です。
 それではまたノシ
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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