阿部智里 『玉依姫』他感想…

 それでは、今回の分の紹介と感想です。

新刊
・阿部智里      『玉依姫』       ☆4
・小路幸也      『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』   ☆4

 ラノベ・コミックス

・葵せきな      『ゲーマーズ! 10』     ☆4
・末次由紀      『ちはやふる 38』     ☆4


既刊
・東野圭吾      『ラプラスの魔女』      ☆3
・藤原伊織      『テロリストのパラソル』   ☆4
・竹本健治      『将棋殺人事件』       ☆2.5
・島田荘司      『聖籠の海 上・下』     ☆3.5
・萩尾望都      『11人いる!』          ☆4
・シギサワカヤ    『九月病 下』         ☆3.5
・ギブスン、スターリング  『ディファレンス・エンジン』   ☆3
・コクトー        『恐るべき子供たち』     ☆3.5


感想

『玉依姫』
 「八咫烏シリーズ」の最新刊。
 「山内」の秘密、山神の正体、失われた先代金烏の記憶、などなどこれまでのシリーズ内で残された数々の謎が明かされる。女性はというか、「母は強し」という格言を再確認w さて、フレイザーよろしく王というか神が交代したわけだが、山内はどうなるのだろうか。一部完となる次巻「弥栄の烏」が待ち遠しいところ

『東京バンドワゴン』

 こちらもシリーズ最新刊。 「呪いの目録」を巡って事件再び。とは言え、「呪い」所以となったような切った張ったの事件ではない。 が、巡り巡ってロンドンへ行くことになったものの、当地でもべらんめぇな勘一さん、流石ですw
 他にも花陽の受験を巡るあれこれ、研人デビュー(?)などなど。ふじしまんはすごい(色々な意味で)。

『ゲーマーズ!』

 魔王攻略後、レベルアップした人による一波乱の回。 作中ではバレンタインを巡るドタバタがメイン。
 個人的には、コトハが想いを口にしたことが若干意外。黙って身を引くのかとも。ただ、このままフェードアウトして出番が少なくなりそうなところが気になる(;´Д`) 

『ちはやふる』

 代表決定戦始まる。
 今巻の見どころは、不穏な出だしの新VS.太一。 ぶちぎれる原田先生。 詩暢ちゃん初めてのお出かけ、の三本立て。
 
『ラプラスの魔女』
 東野版『ネクサス』というか、『ジェノサイド』と言おうか。 ポストヒューマン・テーマのようなミステリー作品。 『プラチナ・データ』の様なSF寄り作品。 超人的な計算能力を犯罪行為に使う男と、それを止めようとする同類の少女の話。 どこかで読んだような感じで、イマイチ盛り上がれず。映画の方も推して知るべしか…。

『テロリストのパラソル』

 ミステリー作品。 爆弾テロに遭遇、そこで過去の恋人がテロに巻き込まれたことを知り、事件を追うことになる元過激派の男の見た真実とは。
 ミステリーではあるが、逃亡犯を主人公に据え、社会の裏側を描く社会派小説のようでもあり、アル中のダメ主人公がハードボイルドを感じさせる不思議な作品。見どころが沢山ある、魅力的な作品と言うことです。 乱歩賞と直木賞を受賞
 
『将棋殺人事件』
 以前、他の作品を読んだと思ったので、それと同じく「ゲーム三部作」の一つである本作を読んでみた。 随所にみられる詰め将棋の蘊蓄は、事件の本筋とはほぼ無関係という…。 なんとも微妙で地味な作品。 

『星籠の海 上・下』

 「御手洗潔シリーズ」。 今回の舞台は瀬戸内、鞆。 村上や忽那水軍、幕末の国難、現代のカルト教団などなど、時間もテーマも縦横に横断するエンタメ作品。 映画化前提に書かれたものらしい(解説より)。
 いつもよりも読みやすかったが、いつもよりエンタメ感が強く、違和感も強かった。架空ではあるが歴史ミステリーの謎解きを絡めたところが面白く感じた。一方で、カルト教団に妙に執着する御手洗の態度が謎だった(『ネジ式ザゼツキー』以降を読んでいないせいか)。 これまでの様な本格推理小説というよりも、エンタメ小説として読んだ方が楽しめるか…。

『ディファレンス・エンジン 上』
 名作と名高い作品。 が、個人的にはイマイチぴんと来ない作品。 上巻のみで下巻をまだ読んでいないのは、そのため。 下巻を読み終えれば、また違った感想になるのかもしれないが、今は下巻に手が伸びない。

『恐るべき子供たち』
(岩波文庫版)
 「アンファン・テリブル」。 子供の世界の無邪気な残酷さを、悲劇的に描く。 個人的には、一部の方が好き。

『11人いる』
 SF漫画。 試験の最終テスト、受験生は10人のはずが、会場には11人の受験生が。ニセモノは誰だ。
 萩尾さんの代表作の一つ。 偽者を探るミステリー要素あり、反目と友情という少年漫画の王道ありと、非常に面白い作品。今回は漫画文庫版で手に入れたので、表題作の他、後日談である「続・11人いる」、「スペース・ストリート」の二編も併録。主人公とパートナーのその後も見れて、お得。

『九月病 下』
 シギサワカヤさんの『ファムファタル』が好きで、探している途中で見つけて購入してみた作品。 上巻は見当たらず、下巻から読むという暴挙に出るw 面白かったですけど、やはり上巻も読みたいところ。 『ファムファタル』もだいぶ前に読んだきりだったので、読みたいのだが3巻が見当たらない…。 通販すればいいのだけどメンドイ…。


 今回はこんなところです。
 少し前に、漫画版で『冷たい校舎の時はとまる』を久々に読んだら、キングの『ランゴリアーズ』が読みたくなり買い、その後同じく読みたくなって富樫義博『レベルE』を買ったところ。
 『レベルE』は漫画文庫で買い直し。 『レベルE』のいい感じでぶっ飛んでるところが最高。 一連のルナとの話が好き。 作中の他の話の中で「ランゴリアーズ事件」モチーフの話が登場する。
 なお、辻村美月、S. キング、富樫義博と、共通点のなさそうな作家三人の作品の共通点が「ランゴリアーズ事件」。

 『レベルE』の「E」は、「エイリアン」の頭文字の「E」から採った。だが、ご存知のように「エイリアン」のスペルは「alien」である。というコメディの様な富樫と編集さんとのやり取りが、ジャンプブックス版のあとがきのようなところにあった記憶が。

 それではまた次回。
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早瀬耕  『グリフォンズ・ガーデン』他感想…

 新刊の刊行タイミングと、読書スピードの都合からまた遅くなりましたが、今回の分の紹介と感想です。


新刊
・早瀬耕    『グリフォンズ・ガーデン』          ☆4
・長沢樹    『リップステイン』               ☆3.5
・宮部みゆき  『あやかし草子 三島屋変調百物語 五之続』  ☆4.5

コミックス
・赤坂アカ  『かぐや様は告らせたい 9』         ☆4
・紙魚丸   『惰性67パーセント 4』            ☆3.5


既刊
・ラメズ・ナム    『ネクサス 上・下』           ☆4
・津原泰水     『11』                    ☆4
・藤木稟    『ラプラスの悪魔 バチカン奇跡調査官』  ☆3.5
・早見和真     『イノセント・デイズ』           ☆4
・貫井徳郎     『慟哭』                   ☆4
・内藤了      『MIX』                    ☆3
・笹本祐一     『放課後地球防衛軍 1』        ☆3.5   
・神林長平     『機械たちの時間』            ☆3



感想
『グリフォンズ・ガーデン』
 前回『未必のマクベス』を紹介した時に、非常に楽しみだと書いたが、楽しみにしていた甲斐はあった。
 作品としては、『プラネタリウムの外側』の時系列に属する物語。時間的には、過去の物語。『プラネタリウム』が、どちらかというと思弁的、哲学寄りなSF作品だったが、今作はより純粋にSF要素の強い作品だった。早瀬耕という作者さんらしさが、随所にみられる面白い作品だった。『プラネタリウム』の前日譚ではあるが、直接の繋がりはほぼないため、この作品から読んでも大丈夫。
 おススメ。

『リップステイン』

 続発する連続暴行事件を追う、ミステリー作品。 複数の登場人物の視点を交えて事件を描き出す手法で書かれており、サスペンスフルな雰囲気を演出していて面白い。
 ただ、ファンタジックな要素が混ざっているので好き嫌いは分かれそうな作品。ミステリー作品としては面白い。

『あやかし草子』

 こちらも楽しみにしていた、「三島屋変調百物語シリーズ」の最新刊。 背筋が寒くなる怖い話から、ほっこりする人情話まで、幅広く揃っている。
 「開けずの間」人間の業の深さにぞっとする話「だんまり姫」は、言葉を喋らない姫の謎を追っていくうちに登場するとある人物の器の大きさに圧倒される。感動の話「あやかし草子」では、ようやくおちかにも変化が。
 これまで語られてきた語りを通してお近の中に積もって来たものが、彼女の心の底に凝ったものを溶かしたよう。これにて第一部完とのことですが、今後も続くとうれしい。

『かぐや様~』

 石上回(運動会篇)。 恒例の藤原による白銀特訓回も。

『惰性67パーセント』
 いつも通りのゆる~い下ネタ系美大コメディ。 今巻は、新キャラが登場。

『ネクサス』
 「科学技術による人類の人工的な進化は許されるのか」をテーマにした、超人類・ポストヒューマンを巡る、サスペンスSF。
 現在可能な技術の先にある人類の進化を扱っている点が、興味深い。作中のアメリカと中国のポストヒューマンを巡る立場が、逆の様に感じるが、現在のアメリカの閉鎖的な雰囲気に対する皮肉だろうか。
 謀略モノ、SF、サスペンス。どう読もうが面白い物語になっているので、SF好きにはおススメ。三部作の一部目ということなので、続編が早く読みたいところ。

『11』
 『バレエ・メカニック』、『ブラバン』などで知られる津原泰水さんの短編集。
 とても面白い作品集。中でもやはり>「五色の舟」が素晴らしかった。 未来を予言するという妖怪「件(くだん)」を巡り交わされる悲喜交々を描く。

『ラプラスの悪魔』
 シリーズ第6弾。 今回は憑霊現象の謎を解く。安定の面白さ。

『イノセント・デイズ』
 女性確定死刑囚と、彼女の無罪を信じる友人たちの奮闘を描く。 控訴も再審請求もすることなく、粛々と死刑が執行されるのを待ち望む田中幸乃の、不可解な心情を様々な証言から追うサスペンスミステリー。
 世論・マスコミ報道の虚妄とは乖離した真実の田中幸乃の姿とは。 読後のやるせなさが凄い作品

『慟哭』
 連続幼女誘拐事件を追うミステリー。警察の捜査視点と、怪しい「私」の視点とを通して描かれる。
 捜査の鬼気迫る描写と、新興宗教にのめり込むなど徐々に怪しい動きを見せる「私」の動きと事件との関連が気になり、飽きない。タイトルの「慟哭」の理由が分かった時は、ぞくりとした

『MIX』
 シリーズ8弾。 相変わらずの微妙さ。 事件が薄いのか? 残虐性は事件の濃さとは無関係だろう。

『放課後地球防衛軍』

 『妖精作戦』の笹本さんの新シリーズ。 『妖精作戦』シリーズが好きな人は楽しめるはず。他シリーズは未読だが、笹本さんらしさが詰まっている作品だと思う。

『機械たちの時間』

 サイバーチック・ハードボイルドSF。 仮想と現実、認識・意識をテーマにした作品。 1995年の作品のせいか、若干古めかしさを感じる。
 TVアニメ版『攻殻機動隊』のどこかで、「機械たちの午後」という話があったがタイトルの元ネタはこれかな?


 今回の☆4以上の作品は、どれも面白く、お勧めです(コミックス除く)。
 それではまた次回。

米澤穂信  『真実の10メートル手前』他感想…

 今回の分の紹介と感想です。 またまた間が空いてしまい済みません(;´Д`)

新刊
・米澤穂信   『真実の10メートル手前』             ☆4
・櫛木理宇   『ホーンテッド・キャンパス 墓守は笑わない』 ☆3
・早瀬耕    『プラネタリウムの外側』              ☆4

ラノベ・コミックス
・丸戸史明   『冴えない彼女の育て方Memorial』       ☆4
・鏡貴也    『終わりのセラフ 16』               ☆4
・画・矢吹健太郎 『ダーリン・イン・ザ・フランキス 1』      ☆3.5

既刊

・八木圭一   『一千兆円の身代金』    ☆3
・辻堂ゆめ   『いなくなった私へ』      ☆3
・林譲治    『ウロボロスの波動』     ☆3.5
・笹本祐一   『カーニバル・ナイト』     ☆4
・――      『ラスト・レター』        ☆4
・早瀬耕    『未必のマクベス』       ☆4.5
・原田マハ   『楽園のカンヴァス』      ☆4
・市川拓司   『ねぇ、委員長』        ☆3.5
・大村友貴美  『霧の塔の殺人』       ☆2.5
・プリ―モ・レーヴィ 『天使の蝶』       ☆3.5


感想

『真実の10メートル手前』
 『さよなら妖精』、『王とサーカス』の太刀洗万智を主人公に据えた短編集。ジャーナリストとして真摯に事件に向かい合う彼女の姿勢には好感が持てますし、取材の過程で、事件が当初とは異なる様相を呈していく様も非常に面白い
 一方で、彼女の自罰的に過ぎる傾向には危うさを感じる。「ナイフを失われた思い出の中に」で、多少なりとも解消されていればいいのだが。なお、この話には『さよなら妖精』のマーヤの兄が登場。

『ホーンテッド・キャンパス』
 通常営業。帯は煽っていますが、特にいつもより怖いということはない。表題作でもある「墓守は笑わない」が、おススメ。

『プラネタリウムの外側』
 SF連作短編集。「有機素子コンピューター」により、失われた人との会話を再現する仕組みを考案した南雲助教授と、彼に依頼する人々を通して、仮想と現実、恋愛を描く。 表題作となる「プラネタリウムの外側」と、それに続く関連作(「忘却のワクチン」、「夢で会う人の領分」)がおススメ。

『冴えない彼女の育て方』

 発表済みの店舗特典SSを収録したファンブック。他にはキャラクター紹介、作者・絵師のインタビューなど。高校受験時のエピソードを語る書下ろし小説も併録。差し絵が完全に事後ですたい。

『終わりのセラフ』
 キ・ルク戦決着。蘇る変態と、新章。だんだんと謎が明かされていくのかな。

『ダーリン・イン・ザ・フランキス』
 アニメ作品のコミカライズ作品とのこと。PVを見たら面白そうだったので購入。ロボットものだが面白い(個人的にはあまりロボットものは好きではない)。『グレンラガン』とかの人たちが関わっていた気が(記憶が曖昧)。

『一千兆円の身代金』
 社会派ミステリー。 インパクトは抜群だが、若干荒唐無稽な感も否めない。憂いはヒシヒシと伝わってくるが、犯人の思考は極端。誘拐事件(子供一人の誘拐)と身代金の額(憂国の部分)との落差がありすぎる。無差別テロ(国民全員が人質)と一千兆円ぐらいなら、つり合いがとれたのでは。 語り手を変えて、物語を様々な視点から語る手法は作品に合っていて面白さを増していた。

『いなくなった私へ』

 「死んだ記憶がないのに死んだことになっている」状況の謎を解くミステリー。作中に挿入されている「謎」の核心となるあるモノに関わる挿話は不要だと思った。それがなぜそうなのかを説明しないのなら、ただ邪魔なだけで、作品の雰囲気を乱している気がする。 ストーリーは奇抜で面白かっただけに残念。

『ウロボロスの波動』
 宇宙に進出した人類の宇宙開発の様子を物語るSF短編集。きちんとした説明もなくどんどん繰り出される用語に面食らうかもしれませんが、それさえ乗り越えれば楽しめる。仮に分からずとも楽しめるし、ストーリーに引き込まれる。

『カーニバル・ナイト』、『ラスト・レター』

 前回紹介したので、省略。実は『ラスト・レター』は前回の時点では読み終えていなかったのでした(*_*;
 非常に面白かったが、ラストシーンが…。

『未必のマクベス』
 『プラネタリウムの外側』が面白かったので前作を購入。最高。 犯罪小説にして恋愛小説。帯にある「読後、ただ立ち尽くした」、「本の形をしたラブレター」の文句は嘘ではなかった。 未読の方は是非。
 出向先の香港の会社で待ち受けていた陥穽に主人公と友人が立ち向かっていく様に手に汗を握り、胸を躍らせる。一方で通奏低音のように流れる忘れられぬ初恋の人への思いと、『マクベス』。綺麗に組み合わさって、結末へと向かう。終盤は一気に読まされる。

『楽園のカンヴァス』

 ルソー『夢』を巡る美術ミステリー。 作品の背景(時代、関係者)を丁寧に描き出すことで、面白味が増している。また、事実と虚構、過去と現在を交互に描き出す手法で、作品の真の姿が徐々に明らかにされていく手法が見事だった。
 美術に興味はなくとも、ミステリーとしても面白い作品。

『ねぇ、委員長』
 恋愛小説。短編二編と、表題作の中編一編の三編を収録。 不良と委員長のような、ギャップのある恋愛関係、壁のある恋愛模様を描く。 いずれも似た傾向の作品。

『霧の塔の殺人』
 以前紹介した『死墓島の殺人』に続く作品。 横溝的世界観の作品と言われていますが、特にそんな感じがしないのは、前作と同じ。 ミステリーとしては、唐突に解決された感。終盤まで新たな展開で広げて引っ張りながら、最後に一気にまとめた感じが。

『天使の蝶』
 自身の体験をもとにした『アウシュビッツは終わらない』で知られる作家の、科学知識を生かした幻想短編集。 毒というか、人間を冷徹に見通した言葉が魅力。科学の光だけではなく闇も描く。


 長くなりましたが、今回はこんなところです。
 『未必のマクベス』、『楽園のカンヴァス』がとても面白い。
 早瀬耕さんは、4月18日にデビュー作が復刊されるのでそちらも楽しみ。

三津田信三 『誰かの家』他感想…

 今年も花粉症が辛い季節がやってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 飛散量は少ないそうですが、目鼻にはキます。 薬のおかげで、何とか凌げていますが、花粉の季節が早く終わるといいです。
 そんなこんなで、久々の更新ですが、今回の分の紹介と感想です。


新刊
・三津田信三      『誰かの家』             ☆3.5
・森博嗣         『血か、死か、無か?』        ☆3.5
・澤村伊智        『ぼぎわんが、来る』        ☆4
・河野裕         『夜空の呪いに色はない』     ☆3.5
コミックス
・濱田浩輔       『はねバド! 12』           ☆4

既刊
・山本弘        『神は沈黙せず 上・下』       ☆3.5
・笹本祐一       『妖精作戦』              ☆3.5
・――         『ハレーション・ゴースト』        ☆4
・――         『カーニバル・ナイト』          ☆3.5
・――         『ラスト・レター』             ☆3.5
ラノベ
・川上稔        『境界線上のホライゾンⅩ(中)』   ☆4
・――          『境界線上のホライゾンⅩ(下)』    ☆4


感想

 『誰かの家』
 怪談形式で送る、ホラー短編集。「作家シリーズ」、「家シリーズ」のように、日常の延長線上にある恐怖を切り取った6篇。
 パニックホラーとは違って、ぞくりとする正統派怪談の趣。
 「ドールハウスの怪」、「御塚様参り」が気に入る。「あとあとさん」の四谷怪談考も面白い。

『血か、死か、無か?』

 「Wシリーズ」第8弾。「人間を殺した最初のAI」との対話を巡る話。時を同じくしてナクチュから一体の遺体が盗み出される。
 今回は、「百年シリーズ」との繋がりが見えてきた回。既出シリーズとの繋がりが見えてくるのは、楽しい。「百年シリーズ」は、登場人物の名前が思わせぶりなくせに、他作品から浮いていたように思っていたので、今回ですっきりしたw
 シリーズ未読でも楽しめるとは思います。

『ぼぎわんが、来る』

 ホラー作品。非常に面白かった。
 三章構成になっており、始まりは正当はホラー物語として始まる。ところが二章では、一章で見た景色が一変し、その様相がまるっきり逆転する。最後の三章では、二章での怒涛の展開の勢いのままに解決へと突き進む。
 ストーリーテリングが見事なうえ、上記の様な構成の妙もあり、ちっとも読み飽きないし、ダレない。非常に面白いホラー小説だった。三章の若干非現実的な部分が気に入らない人もいるかもしれないが、作品全体としては調和がとれているので別に構わないと思う。

『夜空の呪いに色はない』
 「階段島シリーズ」久々の新刊。
 大地を救うべく、奮闘する七草たち。安達と真辺との対立と、七草の「帰還」。窮地に立たされる魔女・堀と、先代魔女・時任とのやり取りの内に明かされる、「魔女の呪い」とは。「大人になる」とは何か。
 やはり堀ちゃんが可愛い。

『はねバド!』
 益子との試合に決着。 なぎさ対コニーもいよいよ本気モードへ。 追い詰められたなぎさに逆転の芽はあるのか。
 雑誌上だと、コニーが変態化してて笑った。

『神は沈黙せず』

 数々の実際に報告されたオカルテックな事象(UFO、超能力、超常現象)などから、理論的に導出可能な神の姿を描き出すSF作品。
 作中で徐々に神の実在が推測・証明されていく様は楽しめる。が、結果明らかにされた「神」の姿は、何の面白みもないかと。『マトリックス』、『フェッセンデンの宇宙』などの他作品のアイデアを足してみた感じ。「現実が何らかのシミュレーションかもしれない」という話。
 結論と作中での未来予測(刊行は2003年)の陳腐さは別にしても、神の正体を明らかにするというミステリー趣向のストーリーは面白かった。

『妖精作戦』、『ハレーション・ゴースト』、『カーニバル・ナイト』、『ラスト・レター』(いずれも創元SF文庫版)
 学園SF作品。「ライトノベルのはしり」とも言われる四部作(『妖精作戦』の刊行は1984年)。 学園もの、SF(超能力、異星人)、ミリタリー(兵器、乗り物)、秘密組織と、様々なネタをこれでもかと詰め込んだ作品。
 活き活きとしたキャラクターたちの個性と、彼らが織りなすドタバタ劇が魅力の作品。現在でもその魅力はそれほど色褪せてはいないと思う。
 以降の作品や作家への影響の度合いは、各巻の解説(有川浩、小川一水、谷川流)に詳しいかと。

『境界線上のホライゾンⅩ(中)、(下)』
 対羽柴総力戦の一つの結果と、その後の再起の話。
 下巻では、とある事情から死んだトーリを蘇らせるため、浅間とミトがあの世で1501回を致す。長年ためていたせいか、ハッスルしすぎです(前準備も含めてだが200Pほどが費やされるとか…。あと、あのイラストはアウトでは)。
 ともあれ、物語のクライマックスに向けての準備が整ったようで、あとはどんな結末になるのかが楽しみ。十本槍の皆の残念も解消されたみたいだし。トーリとホライゾンの子の正体も明らかになりました。


 『ぼぎわんが、来る』が期待通りの面白さで良かった。
 最近読むペースが落ちて来ているので、頑張りたいと思う。
 それではまた次回。

宮下奈都 『羊と鋼の森』他感想…

 更新が遅くなりまして、すみません。
 今回の分の紹介と感想です。

新刊
・宮下奈都     『羊と鋼の森』              ☆3

コミックス
・末次由紀     『ちはやふる 37』            ☆3.5
・いみぎむる    『この美術部には問題がある 9』   ☆4
・山本崇一朗   『からかい上手の高木さん 8』     ☆4


既刊
・鮎川哲也    『黒いトランク』         ☆4
・堀江敏幸    『雪沼とその周辺』      ☆3.5
・小路幸也    『東京バンドワゴン 2∼10』 ☆4


感想

『羊と鋼の森』
 2016年度本屋大賞受賞作。 ということで楽しみにしていた文庫化でしたが(単行本は未購入)、個人的にはそれほど楽しめず。「静謐な筆致で描く感動作」と紹介されていますが、文体と主人公の性格とがともに恬淡としているので、淡々と物語が進んでいった感触。 盛り上がりに若干欠けるかと。成長物語としてのカタルシスが薄いかもしれない。

『ちはやふる』
 予選準決勝、ちはや VS. 理音、太一 VS. 須藤戦決着。 盛り上がる二人の横で、田丸(妹)が勝ち残っていた(笑)
 東日本予選を共に通過し、舞台は挑戦者決定戦へ。 太一決意の断髪(一気に幼くなった…)。

『この美』
 ミス文化部ヒロインコンテストを始め、片想いが駄々洩れ中な宇佐美さんの日常。 久々の「すば子」も出るよw
 「ミス∼ヒロインコンテスト」って、冗長だな。

『高木さん』
 高木さんの「攻め」が強くなっている気がする。 今回は、時節柄かバレンタイン回を収録(2月14日発売[奥付表記])。

『黒いトランク』(創元推理文庫版)
 二つのトランクの謎と鉄壁のアリバイ崩しをメインに据えた、ミステリー作品。
 アリバイ崩しのための推理の精緻さが魅力。細やかな気配りが行き届いていて、無理がない。論理的な推理小説が好きな人は好きだと思う。 類似作品(クロフツ『樽』)があるそうだが、そちらも気になる。

『雪沼とその周辺』
 タイトルそのままの、雪沼という土地のその周辺で生活する人々の何気ない日常を切り取った連作短編集。 とは言っても、短編間の連絡はほとんどない。
 閉店日を迎えたボウリング場の老店主が、最後の客に1ゲームをプレゼントする「スタンス・ドット」、イラクサのスープを得意とした料理教室先生を回顧する「イラクサの庭」、魅力あるレコードショップを営む小柄な店主を描く「レンガを積む」が気に入る。

『東京バンドワゴン』
 前回紹介した1巻を気に入ったので、続編を読む。
 一巻で一年が経過するので、巻を経るごとに登場人物も年を取り、人間関係も変化していくのが良かった。固定された時間ではなく、この世界のどこかに実在しそうな気がしてくる。 読み進めるほどに、親戚の様な親しみが持ててくる。
 出会いもあり別れもある。嬉しいことも悲しいこともあるけれど、それが「LOVEだねぇ」。
 実は5巻と8巻が欠けているので、そちらも読みたいところ。


 今回はこんなところです。
 24日発売の、澤村伊智『ぼぎわんが、来る』、森博嗣『血か、死か、無か?』を購入したので読む。
 円城塔『プロローグ』、『エピローグ』、東野圭吾『ラプラスの魔女』も気になるが、円城塔は合ったり合わなかったりするので保留中。『ラプラス~』はあらすじを見る限りイマイチな気がして保留中。
 『ぼぎわん』は楽しみ。

 それではまた次回。
プロフィール

ゆーいち

Author:ゆーいち
ゆーいちです。

このブログでは特にジャンルを絞らず、自分が読んだ作品の感想を書いていこうと思います。
記事中の作品についての評価は、おススメ度と見てください。

出来るだけ週一程度のペースで更新していきたいと思います。

よろしくお願いいますm(- -)m

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